ウインク
今日の片山家の夕食は、サラダ、ブロッコリーと玉子のマヨネーズ炒め、カレー、具沢山の豚汁だ。
多分俺が野菜をあまり家で食べてないから、野菜を食べさせようとしているのだろう、有り難やー。
「やっべ、カレーうめー!」
カレーのルーは横浜〇〇亭という市販のモノだそうだが、入ってるのは豚肉とタマネギとニンジンだけ。
俺はジャガイモが好きではない。
嫌いではないが、ポテチとフライドポテト以外はまず食べない。
美味しいと思えない。
よく、世の中の男共は肉じゃがが大好きだから肉じゃがは作れる様にね、なんて言ってるテレビ等を見かけるが、俺は肉じゃがを食べなくても生きていける。
じゃがは遠慮する、肉だけでいい。
カレーの中に入っているジャガイモも、自分でよそう時は入れない。
始めから入っている場合は仕方なく食べるが…。
この話を職場でする事があるが、周りに賛同者がいない。
どうやら、少数派らしい。
でも死んだ父親もそうだったんだけどな。
なので、このカレーはメッチャ好みだ、味もサイコー!
「聞いたぞ真之、お主ん家はゴミ屋敷らしいの!
じゃから、有希を春休みの期間にお主ん家に派遣するから、掃除してもらえ。」
「えっ、俺そんな事、痛っ。」
スネが蹴られた。有希が何か言いたそうに婆さんの横から俺に一所懸命ウインクしてる。
俺、女の子にウインクしてもらうの初めてじゃね?
可愛い…
あっ、見とれてる場合じゃないな、
「言ったな、言った。
そんな酷くはないと思うけど、まぁ男の独り暮らしだしな。」
「仕方ないのぉ、まぁお主も仕事が不規則じゃし、疲れてると自炊とかもしたくないんじゃろ。」
「さすが、元警察官僚の嫁!
当たり!」
「当たり、じゃないわい。
まだ若いんじゃから、しっかりしろ。
あと、遠出したいとな?」
「あぁ、4月の始めに山梨の桃の花を有希に見せたいんだ。まぁ花見だな。」
「おぉ、懐かしいのぉ、爺さんと見に行った事があるわい…。
解った、行っていいぞ。
日程も都合があるだろうから2人で決めるんじゃな。」
「婆さん、いいのか?
俺の家は俺以外、誰もいないんだぞ?」
「この問答は以前やったからのぅ。
お主は人が嫌がる事はしない、とワシに言うたじゃないかぇ。
まぁ、もし万が一があったなら、お主が責任を取ってくれればえぇ。」
「まぁ確かにそんな間違いは起こらないと思うが。」
…アレ、何かスネが蹴られた様な…気のせいか。
「ワシはお主がココに来た初日に酒を飲ませたじゃろ。
アレはな、お主が酒乱でないか確認したんじゃ。
お主なら大丈夫。
お主を信頼しておるよ。」
ナント…
有希の父親の二の舞は御免という事か…。
策士どころじゃねぇ…
この婆さん切れ過ぎる、
カミソリババァだ…。
恐ろしいぜぇ、絶対に敵に回しちゃ駄目なお人だ。
「婆さん、期待しててくれ、お礼にオススメの日本酒とワインを山梨で買って帰るからな。」
「うむ、期待して待っていよう。」
この後有希と話し合い、明日は箱根湯本と小田原に行き、掃除をする体で俺の家に遊びに来る日は4月に入ってすぐに決定した。
俺の家に電車で来てくれるらしい。
俺も仕事があるから、箱根までは迎えに行けない。
帰りは有希の新学年の始業式に間に合う様に、俺の休みで山梨経由で箱根に送る事にした。




