佐藤係長
佐藤係長は昔からその辺にいる霊もハッキリ見えるらしい、でも自分では除霊出来ないそうだ。
どこで入手したか知らないが、左手首にかなり大きめの梵字が彫ってある数珠が2つ着けられている。
昔、奥多摩のとある橋にかなり強い力を持つ女性の霊がいて、その霊に取り憑かれ、頭の毛が全て抜けてしまった事があるそうだ。
その時だけは除霊を頼んだらしい。
除霊した後、髪は生えて来たそうだ。
そしてあの橋だけは2度と近寄りたくないと言っていた。
今でも橋の袂にいるそうだ、怖っ。
ある日、佐藤係長が俺と喋っていた既婚者の先輩に突然、
「お前、歯が痛くないか?」
と聞いていたが、先輩は身に覚えが無かった様で、
「痛くありません。」
と答えたが、その後急に何か思い出したらしく、
「あー、私の妻が歯が痛いと昨日言ってました!」
とビックリした様子で佐藤係長に返事をした。
佐藤係長は、
「そうか、奥さんの残留思念がお前に憑いてたんだろうな。」
ウンウン、と独りで納得して立ち去った。
怖っ、そんな事も解るんだな!
俺はこの人をホンモノだ!
と認定した日だった。
また違う日にパトカー勤務で一緒になった時、
「係長、山の中で俺が心霊体験した時に、何で霊がいるって言ってくれなかったんですか?」
と聞いたところ、係長は
「見たり感じたりした人しか信じないだろうよ。
お前はあの体験をする前に、俺があの山の上に強力な霊がいるぞ、って言っても信じたか?」
と言われ、確かにあの体験をもししなかった場合、ヘンな事を言う人だな、と思ったかもしれない。
「それにこの間、俺が数珠を着けてるのを署長に見付かって、外せ、と言われてな。
信じない人にとやかく言っても仕方ないから、署長の前でだけは外す事にしたよ。」
と言った。
確かにうちの会社はアクセサリーは禁止だが、亡くなった人を搬送したり安置したりする事もしなくてはいけないので、数珠くらいはいいんじゃないかと個人的には思う。
よく強い霊能者と一緒にいると心霊体験をする様になると言うが、やはりそうなのだろう。
俺も今後、何度も心霊体験をする事になる。




