心霊体験②
俺の初の心霊体験は警察学校だったが、ここ数年は無かったので、すっかり忘れていた。
俺は後にも先にもあれ1回きりだと思っていたのだ。
今日はパトカー勤務だ。
地域課は交番とパトカーの運用をするところだ。
休みや他部署等に応援に行ったりして係に人が少なくなると、人数の多い交番から応援でアチコチに行かされる都合のいい人が俺。
パトカー勤務は通常2名勤務で、今日の相方はパトカー担当係長の佐藤係長だ。
参考だが、所轄の係長の階級は警部補で、本部の係長の階級は警部である。
佐藤係長は年齢は50代で髪は短め白髪混じり、メガネを掛けたタヌキ顔の小太りな人だ。
夜勤の深夜に、とある山の中にある大きな公園の中の自動販売機の中の金を盗む、いわゆる自販機荒しという犯罪が連続して発生しているのでパトロールして欲しいという依頼があった。
俺はパトカーを公園の駐車場に止め、自販機を確認しに行こうとしたら、係長は
「俺は車に居るから。」
と一言。
パトカーから2人して離れる時にパトカーを傷付けられたりする事もあるので、俺は独りで警棒を手に持って公園内に歩いて行った。
ふと、ある路地まで行くと、山の上から生暖かい風がまとわりつく様に吹いて来た。
気持ち悪いな…
と思っていたら、突然背後から耳元で、
『$*✳✺✮✸ζ∝‰』
と声にならない声が聞こえてきた…。
気持ち悪っ!!!
本気で鳥肌が立つが、周りを見ても誰もいない。
自販機を確認するまではパトカーに帰れないので自販機の場所まで行き、無事なのを確認すると急いでパトカーまで帰ろうとした。
さっきの路地まで辿り着いた途端、また生暖かい風が吹くのと同時に背後から耳元で
『ウロロロロロォ……!』
と声が聞こえて来たので更に鳥肌が立ち、
またもや気持ち悪っ!!!
と思いながら周りを確認するも、誰もいない。
俺はとにかく急いでパトカーに帰って乗車した。
…係長がいない…
とかいう事はなく、助手席に普通に座っていた。
俺はこんな事言っても仕方ないな…
と思ってそのままパトカーを発進させ、違う目的地に向かった。
パトカーの走っている道路の左側は川、右側は山の斜面という一本道でゆっくり走らせていると、背後から灯りが近付いて来た。
助手席にもバックミラーは付いており、係長も
「後ろから来てるな。」
と言ったので俺は道を譲ろうと道路の左端にパトカーを停車させて後ろから来る車を待っていたが、来る気配は無い。
…あれ?
何で来ないんだ…?
俺が疑問に思っていると、係長も疑問に思ったのか、
「おい遠山、この道に脇道はあったっけ?」
と聞いて来た。
俺は
「ありません…。」
と答えた後不気味に思い、係長に先程の公園の話をしてみる事にした。
「係長、さっき山の中の公園で生暖かい風が吹いた後に背後から耳元で気持ち悪い声が2回も聞こえたんですけど…」
と言ったところ、係長は
「あぁ、居たよ。
だから俺は車から出なかったんだ。」
と平然と答えた。
「知ってたんなら教えてくださいよっ!!」
佐藤係長との心霊体験はここから始まった。




