紅茶とりんごパイ②
…生きてた。
有希は、
「ふわぁーーー…。」
と言いながら、目の前にサーブされたりんごパイを口を半開きにしながら魅入っていた。
コレや、コレやがな。
ワイは、コレが見たかったんや!
俺は夢中になってスマホで有希の可愛い(アホヅラ)写真を撮りまくった。
それに気付いた有希は、
「…お兄ちゃん…?
その写真をどうする気なの…?」
何か怒っている有希、そして俺も
「イヤ、これはワイの一生の宝物やさかい、誰にも渡さへんで、しかし。」
訳のわからない事を口走っていた。
すると、それを聞いた有希は急に照れ始め、
「宝物って、何を言ってるの、もう…。」
と顔を赤くしてモジモジしてたので、その間にスマホを手早く操作して、別のホルダーにコピーした。
有希が、
「取り敢えずその写真見せてみて?」
と俺のスマホを取り上げて確認したところ、急に怒り出して、
「消去!」
と写真を消してしまった。
本人もアホヅラ認定したのだろう。
「あー!俺の宝物が……。」
と愕然とした顔をしたところ、有希はにこやかに笑い、
「駄目っ!」
とベロを出した。
あ、今のも可愛かったな…。
「あーっ、アイスが溶けちゃう!
食べよっ。」
と2人でりんごパイを頬張った。
「美味しいねっ。」
有希の笑顔は、やっぱりいいなぁ。
そして俺はまんまと有希のお宝画像を隠し通す事に成功した。
しかしそれが見つかって怒られるのはまた別のお話。
食べ終わって紅茶を飲みまくってゆっくりした後会計を済ませ、2階に移動して、種類が沢山ある茶葉のサンプルの香りを2人で嗅ぎながら、婆さんの土産と有希が欲しいという茶葉を買う事にした。
紅茶を飲む茶器はあるそうなのでそれは買わなかったのだが、雑貨売場で白を基調とした花柄の日傘兼用の折りたたみ傘があった。有希はそれを開いて、
「綺麗だねー。
でもこういうのはまだ年齢的に早いかな。」
と折りたたんで元の位置に戻した。
ひと通り見終わったので会計をする時に、
「先に車で待っててくれる?すぐに行くから。」
と有希を店の外に出した。
「お待たせ。」
俺は有希に2つあったうちの紙袋の1つを渡して、
「ちょっと早いけど、チョコレートのお返し。
ホワイトデーに来れないと思うから。」
「…開けてもいい?」
「どうぞ。」
「あー、さっきの日傘…。
ありがとう、実は結構気になってたの。」
「俺も綺麗だな、って思ったよ、それに雨の日だけじゃなくて日傘にも使えるし。
有希は日傘を使っていても可笑しくない年齢だよ、大丈夫。
何より、有希によく似合ってる。」
俺は本当は傘を差した有希本人が綺麗だと思ったのだが、そんな事をこのブサイクが言えるハズもなく…。
「ありがとう…。
大事に使わせてもらうね。」
良かった、気に入ってもらえた様だ。
「店に入る時に色々言ってたけど、この店はどうだった?」
「来て良かったー、
また来たいー。」
と目をキラキラさせていたので、連れて来て良かった。
そして俺達は片山家に帰った。
自宅に帰った後、俺のスマホに鳥居をバックにしたツーショット写真が送られて来た。
やった、人生初のツーショット写真、ゲットだぜ!
…俺の顔、ビミョー。
怒ってるのか真顔なのか判らねー、少なくても笑った顔じゃねーな。




