彼女さんとか
車のエンジンを掛けると、ボーッという音が聞こえて来る。
「車の中はあんまりウルサく無いんだねw」
「そのネタまだ引っ張りますか。
まぁウルサイ部品は車の外に付いてるからね。
あ、シートベルトしてね。」
さぁ、出発。
「うわー、地面を這ってるみたい、低い!」
そして段差でガクガクと車体が跳ねる。
普通の車は、段差やデコボコした路面から衝撃が乗り手に伝わらない様に乗り心地をよくするためショックアブソーバーやスプリングがそれなりに軟らかく作られている。
しかしそのせいでカーブを曲がる際、Gが外側に掛かった時に、車体が斜めに沈んで車重も前に走る力も外側に逃げて行く。
でも、その足周りをカチカチに硬くしたらどうなるか。
カーブを曲がる時にGは勿論外側に掛かるのだが、車体が外側へ沈まず車重も走る力も前へ前へと向かってくれるので、かなりのスピードを出したままカーブを曲がれる様になるのだ。
うーん、簡単に説明すると、カーブをより早く曲がるために乗り心地を捨てた車となっている。
路面がデコボコだとその衝撃がダイレクトに乗り手に伝わる。
したがって…
「あ、頭が、段差を通る度にシートにぶつかって…痛い、脳みそが揺れる…」
…なっ?こうなる。
脳みそがシャッフルされるとはこういう事だ。
「脳みそがシャッフルされるって意味が解った…。
でもカーブを曲がるスピードが速い!
何かジェットコースターに乗ってるみたい!」
まぁジェットコースターは言い過ぎだが、この車のいい所は、運転していて楽しいという事だ。
その替わりに乗り心地を捨てている。
しかしこの乗り心地もショックアブソーバーに切り替えスイッチがあって、軟らかくする事が可能ではあるが。
それは有希次第。
「明日湖畔に行く時は乗り心地よくしておこうか?」
「いや、頭をシートに着けないで乗ってれば大丈夫そう。」
「そう、じゃあそのままにしておくね。」
「何か音楽も凄くいい音がする、耳元で歌手が歌ってくれてるみたいな…」
「そうだね、スピーカーも良いのに替えてあるし、4方向から聴こえて来るから、画面は小さいけど映画とか車で観ると凄く臨場感があっていいよ。
あと前にドライブインシアターに行った時も良かったな、周りの人を気にしないで観れるし。」
「へー…、そういう所は誰と行くんですか?
そういえば彼女さんとかいるの…?」
「この顔を見てから言ってよ、彼女なんて1度も出来た事無いから…
義理でだってチョコレートとか生涯で1度も貰った事無いし…
何か言ってて哀しくなって来たな…
ドライブとか独りで何処かに行くのが寂しい時は友達を連れて行くよ、親友が2人いるけど、その2人以外友達もいない(泣)」
「その…ご愁傷様です…?」
「俺はまだ死んでない!(笑)」




