またね
その後片山家に着き、証拠動画と音声を複写し、ボイスレコーダーを彼女に渡して今後も暫く持ち歩く様に伝え、戸締りは家に居る時もシッカリ鍵を掛ける様に指導した後、昼ご飯を頂いた。
俺はパンも好きだが、やはりご飯が好きだ。
今日の昼はローストビーフとサバのみりん干しとサラダと糠漬けと豆腐とワカメとネギの味噌汁だ。
糠漬けは婆さんに習って彼女が漬けているそうだ、糠漬けって人によって好き嫌いあるけど俺は好きだな、ご飯が進む!
ローストビーフも高いだけあって美味かった。
それから婆さんに帰る挨拶をし、玄関から出たところで見送りに来た彼女に、
「有希ちゃん御馳走様、ありがとう。
白石の件、学校から連絡あったら教えてね、じゃあ…。」
「あのっ…
また、来てくれるよね…?」
「あ、あぁ…どうしたの?」
「いや、なんか、もう来てくれない様な気がして…。」
「…あぁ、俺は君に嫌われてるんじゃないかと思って。
だから俺の事を必要としなければ、もう来る事は無いかな…。」
「…そんな事無いっ…!
あの、さっき返事が遅れたのは、なんか凄いな、っていうか、あの…私、法廷とか見た事もないから知らないし、よく分からないけど、遠山さんが私の味方をしてくれていた時、弁護士のドラマを見ているみたいで…現実感が無くて…
なんかポーッとしてるっていうか…私の事なのに、あんなに頑張ってくれて…
凄い人だな、って…
話し合いが終わって緊張が取れて、心がフワフワしてるっていうか…自分でも何言ってるかよく解らないけど、嫌いとか、イヤとかじゃないの…。
だから、絶対にまた来てね、今度来る時はリクエストしてくれれば好きなおかず作って待ってるから…!」
「あ、ありがとう…。
警察は捕まえるまでが仕事だから、俺もあんな弁護士みたいな事は今までした事もないし。
ただ、前に大涌谷で言った通り、弱い者が一方的にやられる世の中はおかしいと思うんだ。
俺は君が泣いているのを見た時、力になりたい、って思った。
そして、力になれて、本当に良かったと思う。
俺の方こそ、頼ってくれて、ありがとう。」
「じゃあ…またね。」
「うん、またね!」
俺は車に乗りエンジンを掛けると、マフラーがけたたましい音を立て始める。
「ウルサいねw」
「もうお家帰るからっ(笑)」
そして俺は門の扉を開けてもらって、東京は多摩市の自宅に帰った。
道路が混まなくて2時間半か、やっぱり遠いな…。




