対決④
校長室に残った理事長は、
「改めまして、私はこの学園の理事長をしております小鳥遊です。
どうぞお掛けください。」
とそれぞれソファーに座り直した。
俺は改めて始めから全てを説明した。
彼女が理不尽なイジメを受けた事、門川がイジメの訴出を何度も無視した事、今回アポを取って話し合いに来たらイジメの相談は受けていないと白を切られた事、証拠を提出したら高橋に目の前で破壊された事。
それをスマホやボイスレコーダー等の証拠を見せながら説明すると、全てを聞き終わった理事長は立ち上がり、深く深くお辞儀し、
「この度は私共の教職員があってはならない事を致しました、理事長として心からお詫び申し上げます。
片山さん、本当にごめんなさい、辛かったわね…
片山様、遠山さん、誠に申し訳ございません。」
お辞儀の姿勢を崩さずにいる理事長を横目に、婆さんは彼女に向かって
「有希、よいか?」
と聞くと、彼女は黙って頷く。
「分かった、謝罪を受け入れよう。
じゃが、知らなかったとはいえ、次は無いぞ。
うちの孫はここに居る遠山がいなかったら自殺して死んでおったかも知れん、もし今度イジメがあったらワシのツテを使って全力で全てを潰しに行くから覚悟するんじゃな…。」
「心得ております、片山警視総監にもお世話になりましたし…。」
「…へっ?警視総監?
誰が?」
「ワシの爺さんじゃよ、元警視総監じゃな、お主んとこの元親玉じゃよ。」
「「えーーーっ!!」」
どうやら彼女も知らなかった様だ。
「あー、そうか、有希にも話した事は無かったかも知れんな。
有希が家に来た時には爺さんは死んでおったしの。」
「お爺ちゃんは公務員だった位しか聞いてない…。
ビックリだね。」
「…何だよ、ツテがあるんなら俺じゃなくても良かったじゃんか…。」
「お主は弁護士か司法書士の知り合いがいないかと孫に言ったのではないかぇ?
ワシのツテは警察関係者であって、弁護士や司法書士に知り合いはおらん。」
「…あー!だからあの時必然か…って言ったのか…
俺が警察官だから…。」
「そうじゃ、お主が警察官と聞いた時は、孫を救う為に爺さんがお主を連れて来たのかと思ったわい。
じゃからお主に賭けてみようと思って今回立ち会いを頼んだんじゃよ。
よくやってくれたな、本当に感謝する。」
「婆さん、まだ話は終わっちゃいない。
ちょっと早いんじゃないか。」
俺は理事長に向き直り、
「理事長、イジメっ子の処分は片山さんは今のところ望んでいません、勿論相手の出方次第ですが、相手が謝罪して今後二度としない、彼女に関わらない、今後あった場合は如何なる処分も受ける、と念書等の書類にして提出して貰わない限り、安心出来ません。
イジメっ子に出す内容証明はこちらで用意しましたが、後は全てをお任せしても宜しいでしょうか?
証拠のコピーはお預けしますが、原本は全てが終わるまでこちらで保管します。
あと最後に、早急に片山さんのクラスを違うクラスに替えていただきたい。
彼女のクラスの人間関係は破綻しています、新たな彼女の居場所を作ってあげてください。
貴女の名前の由来の様に、鷹のいない、彼女が遊んで暮らせる居場所を…。」
「あら、よく御存知で。
承りました、片山さん、それでいいかしら?」
「はい、よろしくお願いします。」
彼女の笑顔は光り輝いて、彼女の名前の如く希望に満ち溢れていた。




