学園祭⑧
お化け屋敷を出て落ち着いた後、真由ちゃんがトイレに行きたいと言ったので連れて行った、多分お化粧直しだと思う。
男性用のトイレはこの階には無い、ここは女子校だからな。
廊下で待っていると、生徒が数人俺の事を訝しげに見ながらトイレに入って行った。
俺は不審者じゃねーぞ、全く…。
暫くしたら、女子トイレから黄色い悲鳴が聞こえた後、そそくさと真由ちゃんが出て来た。
「行きましょう。」
と早歩きで言って来たので、何かあったのかと質問しようとしたところ、トイレから生徒達が、
「キャーッ!高坂さん、待ってー!」
と走って追い掛けて来たので、真由ちゃんが
「お化粧直してたら身バレしちゃいました、逃げよっ!」
と俺の手を引っ張って走り出した。
取り敢えず3階から2階に降りて廊下を歩きながら時々後ろを振り返って様子を見ていたら、さっきの生徒が追跡して来たどころか、人数が6人くらいに増えていた。
アイツら応援要請したな、どうする…
「そうだ、空き教室に一旦隠れよう…。」
俺は小声で、追ってくる生徒達に聞こえない様に真由ちゃんに話すと、2人して猛ダッシュで1階に降りて調理実習室近くの空き教室に身体を滑り込ませて扉を閉めた。
外の様子を探っていると、
「多分こっちの方に来たって!
もっとクラスの子を呼んで、皆で探してサインとか写真とか撮らせてもらおう!
帽子被って、ベージュの上着着てたから!」
「あっ、ここって空き教室だよね、ちょっと見てみよう。」
という声が聞こえた!
ヤバい、どうする…!
ガラッ!と扉が開かれ、数人が入室する足音が聴こえる。
「あれー、いないね、逃げたのコッチじゃ無いんじゃないの?」
「もっと広範囲に探そう!
真由ちゃんは黒い帽子にベージュの上着で、ブサイクなオッサンが一緒に居たから多分マネージャーじゃないかな。」
とゾロゾロと立ち去り扉が閉まる音が聴こえる。
「…行ったか…?」
「…もうちょっと様子を見ましょう…。」
……俺達は2人で空き教室内の掃除用具ロッカーに隠れていた。
しっかし…狭い!
俺がゴリマッチョなのも悪いが、そもそも人間が2人も入る所じゃ無い。
しかも向かい合わせに入っているので、真由ちゃんと抱き合う様な感じになっている。
そして真由ちゃんの…その…双丘が俺に、ムギューッて押し付けられてしまっている…。
「…ロッカーに隠れて…!」
と言ったのは俺だが、いざ戸を開いて真由ちゃんを押し込めたところ、真由ちゃんに無理矢理引っ張られ、俺もロッカーの中に引き込まれた。
「…俺も中に入る必要ある…?」
「…だって、オッサンのマネージャーが一緒、ってあの子達も言ってたじゃないですか、もし真之さんだけ空き教室の中に居たらおかしいですよね…?」
「…確かに…真由ちゃんが掃除用具ロッカーに居るって言ってる様なモノだよね…。」
真由ちゃんはアゴを俺の左肩に乗せながら耳元で喋ってるから、こそばゆい。
この状況で俺のチョモランマが地殻変動を起こさないハズは無く、俺がチ〇ポジを直そうとモゾッと動くと真由ちゃんが、
「…アッ…真之さ…。」
と吐息混じりに悩ましい声を上げた。
「…どこかマズい所触っちゃった?
ゴメンナサイ、ワザとじゃ無いんです、訴えないでください…。」
「…そもそも私が引き入れたんだし、そんな事しませんよ。
そんなに訴えられるのが心配ですか…?」
「…まぁ、俺仕事クビになっちゃうし…。」
「…そうなったらウチの事務所で雇ってもらえる様にしますからっw…。」
「ちょ、ちょっと…それ訴える前提だよね…!」
「…シーッ、真之さん、声が大きい…。」
俺は周囲の様子を伺った後、真由ちゃんに今後の予定を聞く。
「…真由ちゃん、大事になっちゃったけど…この後どうする…?」
「…仕方ないですね、有希ちゃんには悪いけど、何とか学校を抜け出して帰ります…。」
真由ちゃんは寂しそうな声を出していたが、こうなったら仕方ない。
俺はこの状況のまま数分程ガマンして生徒が再度来ないか様子を見た後ロッカーから出ると、俺のバッグの中から寒さ対策のため持っていた紺色のフード付きウインドブレーカーを取り出した。
変装のために真由ちゃんに着せてカスケットを自分のバッグに仕舞わせ髪型を変えてもらって空き教室を脱出し、学校の正門の所まで生徒にバレる事なく無事に2人で移動出来た。
「ゴメンね、折角の休みにわざわざ遠くまで来てくれたのにこんな終わり方で。
有希はウエイトレスしててクラスを抜け出せないみたい。
俺でよければ、学校の最寄り駅まで送ろうか?」
「大丈夫ですよ、こんな事結構ありますし、それにいい思い出になりましたし。
それより真之さん、このウインドブレーカー暫くお借りしていいですか?
変装用に東京まで着て帰りたいです。」
「あぁ、いいよ、気を付けて帰ってね。
またドラマの顔合わせで会おう。」
「はい、今日はありがとうございました、無事に着いたら連絡しますね。」
そう言って真由ちゃんは俺に手を振って帰っていった。
クンクン…エヘヘ、真之さんの匂い…上着借りちゃった♡




