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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 第五章 胸糞・・・胸糞・・・クソ!クソ!クソ!

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神民病院

 そこは清潔に整った空間だった。

 地面に敷き詰められた白い煉瓦は、どこにも欠けることなく整然と並んで道を成していた。

 その両脇に立つ白い建物が、陽光を反射してさらに眩しく輝いて見える。


 ここは神民病院。城壁の内側、神民街の一角にそびえる、いわゆる神民専用の病院である。

 当然、ルリ子がいるツョッカー病院とは比べものにならない。

 あちらは城壁の外側――つまり、一般国民以下の身分の者たちが使う病院なのだ。


 そのため、医療の質も、医者やナースの数も雲泥の差。

 ツョッカー病院のナースなんて……ルリ子さん一人。

 あの女一人で全ての入院患者の看護をこなしているのである。

 そう思うと、書類を運ぶ暇などないというのは、確かにうなずける話だった。


 タカトとビン子は物珍しそうにキョロキョロとあたりを見回しながら、神民病院の外庭を歩いていた。

 見るからに不審者。

 というか――その小汚い格好で、よく神民街に入れたものだ。


 なに! 心配召されるな!

 ちゃんとルリ子さんから神民街の通行許可書をもらってきたのである。


『コイツら、アホそうに見えるけど、私のパシリだから! 夜露死苦!』

 ……って、コレのどこが通行許可証やねんwww


 いやいや、これでちゃんと城門は通れるのだ!

 ああ見えてもルリ子さん、各門の兵舎には顔が利く!


 というのも、兵士たちの多くは一般国民以下の出身で、神民なんてほんの一握り。

 だから彼らが負傷すれば、すぐツョッカー病院へ即入院!

 そして待ち受けるのが――ルリ子の手厚い(?)看護である。


「体温測るぞ!」

 横たわる兵士の体に、ルリ子の体が覆いかぶさる。

 白いナース服の上から、褐色の谷間のシルエットがはっきりと見える。

 もしかして……ノーブラ?

 目の前で、たっぷんたっぷんと揺れるものだから――体温はみるみる急上昇!


「四十八度か……とりあえず、これでも頭に貼っとけ!」

 そう言って胸の谷間から取り出したのは、冷却ジェルシート――ではなく、万命寺の万札。

 それをキョンシーのお札のように、兵士の額へベチッと貼りつけるのだ。


 そして……その夜。

 “キョンシー”たちはむくりと起き上がると、ベッドからピョンピョンと抜け出していく。

 万札に残るルリ子の残り香を頼りにさまよい歩き、

 ついには棺桶のようなトイレの個室に身を沈める……。


挿絵(By みてみん)


「いぐぅぅぅぅう!」

 真っ暗な廊下にこだまする異形の叫び声。

 今にも死に絶えそうだったキョンシーの口から、精魂がドピュッとほとばしり――夜は更けていく。

 それは、ツョッカー病院の七不思議のひとつ「夜汁るキョンシー」として語り継がれていた。


 そして、その翌朝。

 トイレの白濁で汚れたタイルを磨きながら、ルリ子さんが怒鳴り声をあげる。

「いい加減にしろよ! アイツら! せめて便器の中に出せよ! ボケ! さんざん夜中に相手させておいて! まじでコッチは疲れてんだよ! これからは深夜割増料金3倍にしてやるからな!」


 そんなことを何度も繰り返すうち、傷だらけの兵士たちはみるみる活力を取り戻し、あっという間に現役復帰!

 このように、ルリ子さんにさんざん“お世話”になった兵士たちは、数知れずなのであるwww


 え? ルリ子さんってHなことしてるのかって?

 んなわけあるかい! ここは病院だぞ!


 皆さんも経験あるだろう。胃のバリウム検査のあと、下剤を飲めと言われたのに出ないやつ。

 そう、あれだ。兵士たちも出なかったんだ!


 夜中にナースコール。

「マジで出ないんですぅ! ウ○コが!」


 仕方なしに、眠たい目をこすりながらルリ子が浣腸液3リットルを、お尻のすぼんだ口にぶち込む!


 さて、どうなるか……

 とたんに、進撃のブリブリざえもんたちが直腸に向かって大行進を始めた!

 あわてた兵士たちはお尻のすぼんだ口を押さえながらピョンピョンとジャンプ。

 だって、歩いたら漏れそうなんだものwww


 しかし、そこまで必死に耐えたのに……残念!

 便器を前にして、ブリブリざえもんの進撃が最後の防衛線を突破してしまったのであるwww


 タイルの床に広がるバリウム液……

 これ、実は比重が重くて意外と流れにくいwww

 それをせっせと棒たわしでこするルリ子さん……彼女が怒るのも無理はないw


 そう、「夜汁るキョンシー」とは、実は「夜治るキョンシー」のことだったのだwww


 ……って、あれ? 何の話だったっけ?

 ああ、そうそう、タカトとビン子の話だったwwww


 神民病院のナースセンターの前で、ビン子ちゃんが深々と頭を下げていた。

「失礼します」

 そして、ルリ子から預かってきた受け入れ許可証を婦長へと手渡す。


 だが、その婦長の不機嫌そうな顔ときたら、この上ない。

 鼻をつまみながら、あからさまににらみつけてくる。


 ――まぁ、それも仕方ない。

 清潔感あふれる神民病院の中を、ドブネズミみたいな二人が歩いているのだ。

 病原体でも運んできたのではないかと疑われても無理はない。


 そのうえ、ドアの外ではタカトが何かを探すように、きょろきょろと落ち着きなく視線を動かしていた。

 そして、婦長に向かって声をかける。


「なあ、おばさん!」

「おばさんじゃありません! 私はまだ三十です!」


 その返答にビン子は目を丸くした。

 ――ど、どう見ても六十は過ぎてるわよね……


 顔に刻まれた深いしわは、まるで戦場の勲章。

 その堂々たる風格は、長年の看護経験を物語っていた。

 というか……ゾンビとかキョンシーの類に近い、と言ったほうが正しいかもしれない。

 ――サバ読みすぎというか、生きてるのが不思議でしょが!


 そう突っ込みたいのに、声が出ない。

 というのも――婦長の指先には、どこから持ってきたのか知らないが「ゴキブリ用殺虫剤」がつままれていたのだ。


 その目は、「これをお前に噴霧するぞ」と言わんばかり。

 ――やっぱり怒ってるわよ! タカト!


挿絵(By みてみん)

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