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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第五部 第二章 第七駐屯地

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オカマ対硬派、ついに決着!

先ほどまでそこは、光が失われた宇宙のように真っ暗だった。

だが、今やその宇宙には、太陽のプロミネンスのごとく噴き出すコウセンの闘気よって、青白き小さな太陽が浮かび上がっていた。

石壁のわずかなでっぱりたちが作る無数の小さき影が、闘気の揺らめきによってざわついている。


そんな、闘気に怖気づいたのか、オレテガ咄嗟にコウセンから距離をとろうと背後へと飛びのいた。

だが、コウセンの動きも早い。

口角から青白き一筋の息を引きながら、瞬間その距離を詰めよった。


コウセンの強烈な一撃。

頬を打ち抜かれたオレテガが、唾液をまき散らしながら石壁に激しく直撃する。

砕けた壁の破片が、オレテガと共に落ちていく。

ガシャーン

瓦礫の山に埋もれるオレテガは動かない。いや、動けなかった。


そう、奉身炎舞(ほうしんえんぶ) 奉ノ型( ほうのかた)鳥面鵠形( ちょうめんこくけい)は、己の闘気を糧にして、一時的に攻撃力を飛躍的に上げるのだ。

それはまるで、アクセルを思い切り踏みこむと爆発的に加速するツインターボエンジン!。

あぁ、GTOなつかしいですね……

グレートティチャーおにぎり先生とはちゃうで!

車や‼ 車!

だけどそのパワーの代償は燃費の悪さ。

そして、奉身炎舞の代償は己が命である。

そう、先ほどの一撃を放ったことによって、すでにコウセンの闘気の炎は弱まっていたのである。 


肩で息をするコウセンは、がれきの山を睨み付け構え続けていた。

「こいよ……オカマ……こんなもんじゃないんだろ……」

なんか炎が噴き出すこの姿に既視感が……

そうそう! あれだ! あれ!

ドラコンポールのスーパーヤサイ人!

まぁ、髪の毛は無いので逆立つことはないのだが。

あっ、クリリソがいたか! って、あれ、ヤサイ人じゃないじゃん!


先ほどまで微動だにしなかったがれきから、ゴトリと崩れる音がした。


だが、先ほどまで「オホホホホ」と笑っていたオレテガ笑らっていない。

いや、やっぱり笑っている。か細き声で笑っているのだが、その質が変わっていた。

ケケケケケケ……


炎が瓦礫の上にゆっくりと立ち上がるオレテガの姿を照らし、その影を揺らした。

いや、影だけでないオレテガ自身もフラフラと揺れていた。

そんなオレテガの目が大きく見開かれた瞬間!

姿が消えた!


ごはぁぁ!

その刹那、コウセンが立っていた石床の上に押しつぶされたカエルのようなうめき声が叩きつけられていた。


オレテガが消えた瞬間、コウセンの体も翻る。

宙に浮くコウセンの肘ががら空きのなったオレテガの背中に叩き込まれた。

床石を砕いたオレテガの体が思いっきり跳ねて静かになった。


だが、コウセンも膝をついていた。

苦し気に息をするその体からは、もうすでに炎揺らめきが消えようとしているではないか。

――オカマ……もう、立つなよ……


だが、その期待を裏切るかのようにオレテガの体がゆっくりと立ち上がった。

くそっ!


コウセンは奥歯を噛みしめる。

――あと一撃……せめて、あと一発……

膝に力を込めて立ち上がろうとしたが、力が入らない。

そう、修行の身であるコウセンが放つ奉身炎舞は、いまだ未完成。

その力を存分に発揮するにはまだ至っていなかった。


ろうそくの火が消えるかのように、コウセンの放つ闘気の炎が消えていく。

それとともに、コウセンの体は前のめりに倒れていった。

――俺は、負けたのか……

廊下をまた暗闇が覆いつくした。


そんな暗闇の中で、一つの断末魔の叫び声が響いていた。


所変わって、今度は外の広場。

その広場の奥には高くそびえる城壁が駐屯地の周りをぐるりと一周とり囲み外に広がる砂漠のフィールドと分けていた。

城壁は駐屯地の守りのかなめ。

そのため、外からの敵の侵入を防ぐため、その壁はぶ厚い構造になっている。

それと同時に、壁に設けられた窓から応戦できるようにと、その内部は4階建て構造になっていた。

コウテンはいま、各部屋を貫き屋上までのびる階段を駆け上っていたのだ。


「シュッ! シュッ! シュッ! シュッ!」

コウテンの目の前を、蒸気機関車の車輪とピストンをつなぐ主連棒のように手を回転させながら階段を勢いよく上っていた。


そんなマッシュにコウテンが命じた。

「待つっス!」

待てと言われて待つバカなどいない。

まぁ、確かにマッシュはバカであるが、底なしのバカなのである。

そんなバカだからこそ黒い三年生のキメれン組などやっているのだ。

だが、今のマッシュは馬鹿と言うよりも、自我を失っている。

何かに操られるかのように、一心不乱に屋上を目指しているのだ。


しかし、マッシュは屋上に上って何をしようというのであろうか?

屋上には、空から攻め入る空魔に対する対空攻撃の武器が並べられている。

それ以外には、外のフィールドを監視するための見張り台が四隅にあるぐらい。

その見張り台に、数人の守備兵がいるぐらい。

敵の侵攻を知らす警報が出てない今、これぐらいの人間しかいないのである。


「待つと言ってるッス!」

コウテンの腕がマッシュを捕まえようと階段を一足飛びに飛び上がった。

そして、その肩を掴もうとしたその時である。

「トランザブ!」

赤く光るマッシュの体が一瞬ブレた。


コウテンの腕がマッシュの体をすり抜けていくと同時に、その体が陽炎のように消えていく。

残影を残したマッシュの体が一気に加速していた。

手が届くほどまでに詰めていた距離が、あっという間に引き離されていた。

――は……早いっす!

その姿を呆然と見るコウテン。






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