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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 4章 ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編

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ほしの本棚

 上空から力尽きたように、ミズイの体がふわりと落ちてきた。

 タカトは慌ててスライムを地面に下ろし、倒れ込む彼女を両腕で受け止める。


 絹のような滑らかさ。

 抱きとめた瞬間、ミズイの体は羽毛のように軽く、だが確かに女の重みを伝えてきた。

 ふわりと広がるピンクの髪が遅れて落ちてきて、タカトの腕にかかる。


 老婆のローブに包まれているはずなのに、なぜだ……?

 その布越しに伝わる豊満な曲線は、むしろ一層あらわになっていた。

 思わず喉が鳴る。男なら誰しも、脳裏にベッドインの二文字がよぎるだろう。


 だが――。


 ミズイの顔は苦痛に歪んでいた。

 脂汗に濡れた頬。きつく噛みしめた唇。

 そして、うっすらと開いた瞼の奥に宿るものは……かつての黄金の光ではない。


 赤黒い濁流。

 どす黒くよどんだその瞳に触れた瞬間、タカトの背中に……いや、股間の奥にゾクリと冷たいものが走った。


 ――ッ!?

(ち、違うぞ!? 決してエロい妄想じゃないからな! byタカト)

 それは性欲の震えではない。

 もっと根源的な、名も知らぬ何かが股間の奥から這い出してくるような……。


 震えるミズイの手が、そっとタカトの頬に添えられる。


「約束じゃ……お前の生気をいただくぞ……」


 かすかな声。消え入りそうな囁き。

 タカトは小さくうなずいた。


 ミズイは力なく微笑むと、最後の力を振り絞りタカトの顔へと身を寄せる。

 ピンク色の唇が近づく。

 温かい吐息。甘い匂い。唇が重なるまでの、わずかな距離。


 ――まさか、これが俺のファーストキス!?

 胸が高鳴る。先ほどまで股間を這い上がってきた“何か”を押しのけ、性春の衝動が喉元まで駆け上がってくる。


 だが――。


 唇が重なろうとした、その時!


 ……むくり。

 何かの“頭”が、タカトの股間でなく前方に起き上がった。


 ちょ、ちょっと待て! 誤解するなよ!?

 勃起じゃねぇ!


 タカトは反射的に顔を上げ、目を疑った。

 そこにそそり立っていたのは――亀頭ではなく蛇頭!


「な、なんだ、ありゃ……!?」


 それは、首を掻き切られたはずのクロダイショウ。

 切断された首が、あり得ないことに再び繋がり、ヌルリと鎌首をもたげているではないか。


 タカトの声に、ミズイもようやく異変に気づく。

 彼女はタカトの腕の中で顔を横に向け、苦しげに吐息を漏らした。


「……まさか……確実に殺したはず……」


 未来鑑定の後、大空洞で感じ取った気配は、自分とタカトとスライムのみだった。

 確かに、死神の鎌は手ごたえを伴っていた。

 それなのに――。


 クロダイショウたちの屍が、次々と、ぞろぞろと起き上がってくるのだ。


 唇をかみしめたミズイは、タカトの胸を押して身を起こす。

 大地を踏みしめた足が小刻みに震えていた。

 誰が見ても既に限界だ――そう見えるほど。


 当然、タカトもそんなミズイに声をかける。

「無理するなよ……というか、先にキスした方がいいんじゃ……」


 人生初のファーストキスを目前にしてお預けを食らったのだ。

 クロダイショウの群れなど、正直どうでもいい。

 そう思うのは……ある意味、仕方のないことかもしれない。


 だが、ミズイはタカトの顔を片手で押し退ける。

 まるで「近寄るな、このスケベ面」と言わんばかりに。


「お前の生気はこやつらを片付けてからじゃ――約束じゃからな!」


 そう吐き捨て、彼女は仁王立ちする。

 大空洞を満たす湿気がざわりと揺れ、クロダイショウたちの鱗が地面を擦る音が迫ってくる。

 暗闇の奥から、次第に数を増す気配。

 じりじりと、獲物を追い詰めるかのように、蛇たちは包囲を狭めていく。


 ミズイは再び目を閉じ、襲ってくる個体を精密に捕捉しようとする。


 だが、眉間に皺が寄る。どうにも感覚がつかめない。

 まるで目の前が霧に包まれたかのように、クロダイショウ達の存在が流れてこないのだ。

 ミズイは小さく首を傾げ、ゆっくりと頭を左右に動かして周囲を探る。

 ――何かが違う……


 その動作を、タカトはかすかに感じ取った。

「……どうした? ミズイ?」


 とぎれとぎれに絞り出すミズイの声が告げる。

「奴らには……命気が、全く感じられん」


 命気とは、生の輝きそのもの。生あるものが放つ根源の気だ。

 その命気から発せられるのが、生気である。


 だが、ミズイの感覚にはそれがない。

 そのため、襲ってくる対象を正確に捕捉できずにいた。


 ――ということは、つまり……


 タカトの目が見開かれる。


 瞬時に状況を理解したタカトは、眉間に皺を寄せ、まるでケンシロウのように人差し指を突き出す。

 その指先は、迫りくるクロダイショウを正確に指し示していた。


「お前は……すでに死んでいる……!」


 だが!

 ――死んでいる……なのに、動いている!?


 目の前のクロダイショウたちは、確かに命気を持たない。

 ――もしかして、ゾンビ化しているということか?


 ゾンビ化したクロダイショウたちを前に、タカトの頭の中で『ほしの本棚』がガタゴト猛スピードで動き出す!

 仮面ライダーダブルのフィリップのように――棚が左右に揺れ、ページがパタパタ、棚自体がグルグル回転!


 ――条件追加!

 棚が一段飛んで戻り、別のページが跳ね、検索結果はカオス!


「ゾンビを倒すにはどうすれば……?」

 ニンニク!? 十字架!? 銀色の弾丸!?

 ――いや、それドラキュラ用だろ!


 ヘッポコすぎて資料は抜け落ち、ページはぐちゃぐちゃ。

 どうやら、タカトの脳内『ほしの本棚』の精度はゼロに等しいwww


 ――ダメだこりゃwww

 やはり頼りになるのは脳内スパコン、腐岳のみ!


 腐岳による高速演算の結果、タカトはひとつの結論にたどり着く。


 ぽく……

 ぽく……

 ぽく……

 チーン! ()


古今(ココン)東西、ゲームでも小説でも、ゾンビの弱点は――頭をぶっ飛ばすこと!』

 幸いにも、こいつらは“頭”が戻っている。ならば話は早い。


「ならば! 頭をぶちのめすまでよ!」

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