表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

422/637

SSRなんて、たいしたことありません(3)

 そんな二人に、レースの案内の声が届く。

「おっと! 今はいってきた情報だ! 本日のメインレースの商品は、なんとあの天馬の黄金弓が賭けられるそうだ! これは凄いアイテムが出てきたもんだ! まだ、参加枠は残っているぞ! 参加するもの! 誰かいないか!」


 そのアナウンスを聞いたタカトは叫んだ。

「なんだって、黄金弓だって!」

 それは、魔の国に入った際にエメラルダがゴリラの魔人たちに奪われた弓だった。

「よし! 俺も出る!」

 タカトの鼻息が荒くなる。

 まるでヒマモロフの興奮効果が体を支配したかのようにムキになっていた。


 タカトの背後で、今まで静かに座っていた半魔のハヤテが急に大きな唸り声をあげた。

 歯をむき、鼻先にしわを寄せて低い声を出している。

 ハヤテもまた、急に興奮し始めたのだ。

 タカトは、そんなハヤテの様子を見ると、何かを急に感じ取った。

 そして、すぐさま、ビン子のカバンの中から『ワンちゃん!以下略』を取り出すと、開血解放し自分の頭にピタリと着ける。

 道の往来の真ん中で、犬の耳を頭につけ、鼻先に黒い犬の鼻をつけたマヌケが一人現れた。


 その様子を見たリンの目が丸くなる。

 コイツはついに頭が狂ったのか?

 もしかして、ヒマモロフの油が効きやすい体質なのだろうか。

 実際にいるのだ、人よりも興奮作用や催淫作用が強く出る人間が。

 だが、この男はどう見ても、そんな繊細な感じには見えなかった。

 どちらかと言うと鈍感。


 タカトは頭につけた犬の耳に手を当てる。

 黒い鼻をヒクヒクさせてハヤテと話しだした。

「こいつもバトルに出たいんだって!」

 リンは驚いた。

 コイツ……半魔の犬としゃべることができるのか?

 まさか……?

 魔物は、人を食べ生気を蓄えて魔人へと進化する。

 それによって、やっとのことで知性を獲得するのだ。

 だが、この半魔はどう見ても魔人の形態とは程遠い。

 その鳴き声も、どう聞いても犬のそれ……

 百歩譲って、半魔の犬に知性がないとは言わない。

 だが、コミュニケーションが取れるほどの知性があるというのか?

 いや……おそらく、このタカトという男の知性が、犬並みなのだろう。

 犬と犬どおし、通じるものがあるのではないだろうか。

 リンは、この状況を無理やり納得させた。

 ヘックション!

 ビン子がくしゃみをした。

 なぜか、ビン子自身、自分の事を犬並みと誰かにバカにされたような気がしたような、しなかったような……

 そうだった……一番最初に話したのはビン子ちゃんでしたよね……


 タカトは相変わらず、犬耳に手を当ててハヤテと話している。

 ハヤテもまた、声を震わせている。

「こいつが言うには、参加者の中にあのゴリラもいるはずだって!」

 まぁ、その可能性は高いだろう。

 エメラルダの黄金弓を奪ったとしても、並みの魔人では使いこなすことはできない。

 使えないのであれば黄金弓など武器としての価値などないに等しいのだ。

 ならば、その黄金弓を掛け金として、より使えそうなアイテムを一気に獲得する。

 欲どおしい考えであるが、うまくいけば、かなりグレードのいいアイテムががっぽりと手に入ることだろう。

 ならば、そんなチャンスをゴリラの魔人たちが逃すはずもない。

 そもそもただで手に入れたものなのだ、一発逆転を考える短絡的な思考が生じてもおかしくはない。

 まあ、いくら知性があると言っても、ゴリラ程度なのである。

 自分が負けるかもしれないなどとは考えてもないのだろう。


「そうだよなリベンジだ! リベンジ!」

 タカトとハヤテが意気投合し、道の真ん中で遠吠えを上げていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ