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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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空腹の獣(3)

 ディシウスが目を覚ました時には、そこは、どこか別の部屋であった。

 おそらく、ヨメルが、気を利かせてディシウスを休ませたのだろう。

「ソフィア!」

 ディシウスは上体が跳ね起きた。

 あの光景は夢だったのだろうか?

 現実なのか、夢なのか全くわからない。

 だが、確かめる方法はある。

 ディシウスは立ち上がると、部屋を飛び出る。

 そして、そこでであった魔人の胸倉をつかみ上げ、凄い剣幕で脅した。

「オイ! ヨメルの研究室はどこだ! あの繭が浸かったカプセルの部屋だ」

 ビビる魔人は、震える手で廊下の先を指さした。

 その先を見るや否や、ディシウスは掴む魔人を投げ捨てて、一目散に駆けだした。

 そう、その部屋の中にカプセルがあれば夢なのだ。

 緑の液体に虹色繭が浮かんでいれば、あれは、ただの悪夢だったのだ。

 ソフィアが魔人を食ったりするわけないだろ。

 部屋に入れば、何事もなかったかのようにカプセルがあるはずだ。

 そして、俺は、また、そこに座り続けるだけの事。

 ディシウスは、指さされた研究室の入り口をがらりと開けた。

 しかし、暗い。

 いつもなら、オレンジ色の光が緑の液体を照らし出しているにもかかわらず、やけに暗い。

 踏み出す足が何かを踏んだ。

 ガチャっと割れる音。

 ディシウスは足元を伺った。

 廊下から差し込む明かりが、うっすらと部屋の床の様子を浮き上がらせた。

 辺り一面に飛び散る赤き血。

 いたるところに血だまりができていた。

 その間あいだに砕け散ったカプセルの断片。

 その奥に緑の液体が、いまだに乾くことなく広がっていた。

 ディシウスの体が硬直した。

 自分が願っていた部屋の様子とは明らかに違う。

 いや、この風景だけは、見ることを拒みたかった。

 争った風景。

 それは紛れもない事実。

 と言うことは、あの夢のような情景が現実であったという事なのか。

 ソフィアが魔人を食らっていたという事実が現実なのか。

 あれが……ソフィアだというのか……

 ディシウスは、動けなった。

 全くその場から動けなかった。

 だが、一瞬ソフィアの顔が目に浮かぶ。

 そう、あれはソフィアだ……

 ソフィアが繭から生還したことは紛れもない事実なのだ。

 そして、耐え難い事実だとしてもそれが真実である、この部屋が証明してくれている。

 もしかしたら、ソフィアはただ単に復活直後のため、少々混乱していただけんではないのか?

 そもそも、四週間も何も食べていなかったんだ。

 いくらソフィアと言えども、腹が減るに決まっているだろう。

 復活の混乱と空腹。

 きっとそのせいで、あんな行動をとったんだ。

 今なら、きっと落ち着いているはず……

 というか、ソフィアはどこだ!

 咄嗟にディシウスは、辺りを見回した。

 だが、そこにソフィアがいるはずもない。

 もしかして、殺されたのか……

 いや、あの情景が現実であれば、ヨメルの最後の命令は捕獲だったはず。

 ならば、どこかに幽閉されている。

 ディシウスの体が反転した。



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