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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 4章 ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編

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命の石

 何日……いや、何か月、彷徨ったことだろう。

 かつて神と讃えられたその美貌は、疲労と生気の枯渇によって見る間にやつれ、

 その顔には、細かなしわが刻まれていった。


 ──お姉ちゃんの私が、しっかりしていれば……!


 自責の念に苛まれながらも、ミズイは足を止めなかった。

 倒れても、立ち上がり、また走る。


 見つからない。

 それでも探す。


 見つからない。

 探す、探す、探す──


 やがて、胸を締めつけるのは、深い後悔とどうしようもない怒りに変わった。


 もはや、生気の枯渇を老いで補っていたミズイの姿は、老婆そのもの。

 かつての「美しかった神」など、どこにもいなかった。


 それでも彼女は、生気の吸収が難しい街へと足を運んだ。

 ──これだけ探しても見つからないということは……誰かにさらわれた?


 路地裏、橋の下、人ごみにまぎれ、ミズイは必死に痕跡を探した。

 その姿は、まるで浮浪者そのもの。


 ──いったい誰にさらわれたというのだ?

 まさか、神の恩恵を求める人間にか?


 ゴミ箱をあさるミズイの目は、老いと憎しみによって醜く歪んでいった。


 だが、神はこの世界において、特別な存在。

 そんな恐れ多いことを、人間がするだろうか?


 ──いや、あいつらなら……やりかねない。

 あの身勝手な人間どもなら、神の子だろうと、自分の都合で平気で奪っていく……。


 ――いったい、誰が……二人を……?


 そんな時だった。ミズイが小門を見つけたのは。

 岩肌の奥に、ぽっかりと口を開けた大きな洞穴。

 その規模からして、すでに成熟した小門であることは一目瞭然だった。

 ということは、おそらくこの先は──魔人の世界に通じている。


 ――まさか……アリューシャたちは、魔の国へ?

 いまさらその可能性に気づき、ミズイは唇を噛んだ。

 どうしてもっと早く思い至らなかったのか。悔しさがこみ上げる。


 彼女は曲がった腰に鞭を打ち、よろけそうになる足取りで、でこぼこの岩肌をよじ登っていく。

 小門の縁に手をかけた、その瞬間──

 中から、かすかな空気が漏れ出した。


 それは、魔の気配とは異なるものだった。

 血や死を思わせる淀んだ臭気ではない。


 むしろ──どこか懐かしい匂い。

 あの森の中で、三人で笑い合った日々を思い出させる。

 優しくて、温かくて、胸の奥がきゅっと締めつけられるような匂い。


 ミズイは目を見開き、震える声でつぶやいた。


「……これは、アリューシャの匂い……!」


 ミズイは、洞穴の中へと飛び込んだ。

 よぼよぼの足取りながら、必死に濡れた岩肌を進んでいく。

 何度も滑っては転び、泥にまみれながらも、彼女の足は止まらなかった。

 ──この先に、アリューシャがいる。

 その一心で、ひたすらに進む。


 だが、胸の奥にわずかな不安が広がっていたのも、確かだった。

 もしもこの小門の奥にアリューシャがいたのなら──

 なぜ、彼女は自分のもとに戻ってこなかったのだろう?


 ──いや、きっと戻れなかった理由があったのだ。

 たとえば、誰かに囚われていたとか。

 あるいは、マリアナを人質に取られて、身動きが取れなかったとか……。


 考えれば考えるほど、可能性は尽きなかった。

 だが──時間はあまりにも過ぎていた。

 アリューシャが姿を消してから、もう十年以上が経っている。


 その長い時の中で、生気を取り込まずに生きていられるのだろうか?

 神とはいえ、生気が尽きればやがて荒神と化すのだ。

 ──もしかしたら、もう……アリューシャは……。


 胸に浮かんだ最悪の想像を、ミズイは激しく首を振って追い払った。

 ──違う。きっと生きている。

 そう信じなければ、心が砕けてしまう。


 珍毛のハーレムを通り過ぎ、さらに奥へと進む。

 やがて、目の前にほのかな青白い光が浮かび上がった。


 そこは、体育館二つ分ほどの巨大なホール。


 ミズイは肩で息をしながら、しわくちゃな手で壁にすがった。

「ふう……年寄りにはこたえるわい……」


 あたり一面の壁には、ヒカリゴケやグローワームといった光る虫たちが群れをなし、まるで天空の星々のようにきらめいていた。

 まるで満天の星空だ。だがもちろん、ここは地下の空洞。外の夜空など見えるはずもない。

 壁面はおそらく、天井まで数メートル以上はあるのだろう。上のほうは暗くて見えないが、それでも空間全体が仄かな青白い光に包まれていた。


挿絵(By みてみん)


 ──ヒカリゴケだけで、こんなにも明るくなるものなのか?


 ミズイは、しばしその幻想的な光景に見とれながらも、ゆっくりと壁に近づいた。

 そして、光を放つコケの表面に手を伸ばし、そっと払う。

 すると、その下から──全く異なる輝きを放つ壁面が姿を現した。


「こ、これは……命の石!」

 ミズイは息を呑み、思わず天井を見上げた。

 ――まさか、このホールの壁一面が命の石で覆われているのか?

 これだけの命の石があれば、数百年、いや数千年は生き延びられるかもしれない。

 ――これで、生気を取り戻せる……


 彼女は咄嗟に、青白くガラスのように輝く壁面に唇を押し当て、生気を吸収しようとした。


 だが、その唇は突然ぴたりと止まり──震えが全身を襲った。

 いつしか、干からびた目からは涙が零れ落ちていた。

 とめどなく……とめどなく……涙が溢れ出す。


「この生気は……アリューシャの……」



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