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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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ケテレツのファイル(4)

 魔の融合国の第一の騎士ヨメルは、神と魔人の融合に興味を持っていた。

 しかし、神は絶対防壁である神の盾を有しているため、そう簡単に融合することはできない。

 しかし、魔人国で行われる荒神の浄化。

 これはある意味融合と言えるのではないか。

 ヨメルはこの繭をもとに融合体の作成を試みたと言われている。

 神と魔人の融合など、いまだかつて誰も行ったことがない。

 そのため、成功する可能性は著しく低い。

 というか、どのような結果が生じるのか、だれも想像もできなかった。

 だが、ヨメルは実験を行った。知的好奇心には逆らえなかったのだろう。

 いや、実際には、獅子の顔を持つ魔人の強い希望があったともいわれている。

 しかし、荒神を浄化する繭において、魔人の力よりも神の力のほうが当然、強かった。

 そのため、魔人の意識は荒神の体内へと取り込まれてしまう。

 混ざり合う二つの体と二つの意識。

 ヨメルの融合実験のすえに出来上がった融合体は、人型であった。

 どことなく、その顔は、魔人の時の面影を残していたが、目は荒神同様、赤く輝いている。

 体については人型を形作っているが、その体中の気については、神の気と魔人の気が混ざり合っていた。それは、およそ半分半分と言ったところか。

 そう、ここに魔人と荒神の融合体が生まれたのだ。

 ヨメルは興奮した。

 いまだかつて誰も成功したことが無い神と魔人との融合である。

 聖人国の奴らでさえ、神と人間の融合などできていないのである。

 それどころか、人間どもはいまだに人間と魔物の融合の融合、すなわち魔装装甲に執着しているのだ。

 ついに人間たちを超えた。

 融合技術の新らなるステージである。

 そう考えるヨメルの喜びは、想像に難くなかった。


 しかし、生まれ落ちた荒神魔人は、神が行うような生気の吸収が全くできなかったのだ。

 そのため、自らの空腹を補うために、目の前のものに食いついた。

 人間や魔物あらゆるものを食いちぎって、ムシャムシャと食らいだす。

 口からエサとして生気を補う必要があったのだ。

 ヨメルの目の前で突然、繰り広がった残虐な食事風景。

 ヨメル自身も、先ほどまでの喜びが嘘のように引いていく。


 ウガガガガぁァァ!


 無心に死体に食らいつく荒神魔人。

 その行動の根源は空腹。

 いつまでも満たされぬ空腹であった。

 荒神魔人は、近くにいる魔人たちを掴んでは食いちぎる。

 その行為は、まるで獣そのもの。

 魔人に飛びつき、生きたまま内臓を食い散らかした。

 もう、だれにも制御不能。

 次々と魔人を食い散らかす荒神魔人は、もはや手が付けられない。

 それどころか、もしかしたら、この荒神魔人は、このまま荒神爆発を起こす可能性も考えられる。

 さすれば、魔人国は壊滅するだろう。

 ヨメルは慌てて荒神魔人を荒神監獄として使う小門に閉じ込めた。



 真音子は、ケテレツのファイルから目をあげると、ページを閉じた。

 もしここに出てくる荒神魔人がソフィアであるとするのなら、先ほどの遺体安置所にある死体の山も合点がいく。おそらく、ソフィアの食事の後なのだろう。

 もしかして、第六の元神民人魔化騒動も、単に己の空腹を満たすというものだけなのか。

 いや……それだけではないかもしれない。

 もし、彼女の中の魔人の記憶が戻ってき始めているのであれば、ソフィアと魔人国はつながっているという可能性も大いにありるるのだ。

 タマホイホイで人魔を自在に操ることができるようになれば、食事に困ることはない上に、人魔の軍団を作り上げるとも可能である。

 ――それが狙いなのか……

 もしそうであれば、タカトの身がますます危ない。

「タカト様……」

 真音子は、ケテレツの部屋を急いで飛び出した。



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