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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 4章 ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編

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ビン子のお尻にッ!  グサリ! あん♡  ドビュ! いくぅ♡  ……と、なるはずだった。

 悩むオオボラめがけて、触手がビュルビュルッと卑猥な音を立てながら伸びてくる。


 オオボラは咄嗟に身をひねった。

 顔のすぐ横を、ぬらりと通りすぎる触手──その表面には、無数の万毛たちのヒダヒダがうごめいていた。

 ──気持ちワルッ!


 だが、オオボラはすぐに異変に気づく。

 伸びた触手の先にある“狙い”に。

 ──タカトか!


 いま、タカトはビン子を背負っている。

 万命拳で習った回避法『至恭至順』でかわすのは……不可能!

 というか、タカトにそんな芸当ができるわけがない。


 しかも、この触手は通常の攻撃じゃない。

 万毛のヒダヒダが巻きつき、パワーも毒性もケタ違いだ。

 この一撃がタカトに命中したら──


 即! 妊娠確定である♡ アン♡


 当然、タカトも気づいた。

 自分めがけてビュルビュルと伸びてくる触手に──!


 だが、今のタカトには武器がない。

 何しろ両手はビン子の太ももをギュッと抱え込んでいる。重い!重い!重すぎる!

 そんな状況じゃ、触手を払うどころか、手を動かすことすらできなかった。


 ――なら、どうする!どうする俺!?

 タカトの脳内コンピューター“腐岳”が高速演算を開始。

 腐岳だけに、臭いニオイは大好物。

 いつもより余計に回っております!!(染之助・染太郎風)


 チーン!

 コ……これしかない!


 腐岳は解決策を導き出した。


 触手の先端はカリ頭!すなわちアレだ。

 ならば、その対処法は──


 よける!


 ――そんなの解決策になっとらんわ!

 タカトは心のツッコミを必死に抑える。

 だが触手はすぐそこまで迫っている。

 一刻の猶予もない!


 そこでタカトはくるりと回転した。

 まるでフィギュアスケートのスピンのように。

 その場でクルリ!

 そして触手に背を向けたのだ!


 え? よけてない?

 いやいや、これでいいのだ!


 タカトの背には眠れるビン子。

 しかもおんぶしているため、お尻がちょこんと突き出ている。

 ――まあ、こいつの尻には脂肪がたっぷりあるから大丈夫だろう!

 ……というか、カリ頭というものは本来、女に突っ込むもの!

 だから妊娠しても大丈夫!

 って、んなわけあるかいッ!

(この瞬間、世の女性たちの怒りの声が聞こえてきそうだ……ということで、クレームは作者ではなくタカト君にお願いシャス!)


 そう!この男──こともあろうに、ビン子のお尻を盾にしたのだ。

 最低最悪!

 男の風上にも置けない、卑劣極まりない行為である。


 でもって、ハナゲの触手が──


 ビン子のお尻にッ!


 グサリ! あん♡

 ドビュ! いくぅ♡

 ……と、なる。


 ──はずだった。


 少なくとも、タカトはそう思っていた。


 だが、待てども待てども、ビン子は動かない。

 「あん♡」どころか、「う……ん」すら言わない。

 それどころか、いまだにスースーと寝息を立てているではないか。


 ――これは……どういうことだ?


 おかしい。

 オオボラを襲ったカリ頭の動きは、あれほど俊敏だった。

 狙った相手に一撃必中、まるで神の矢。

 そのカリ頭が、よりにもよってビン子のケツの穴を外すなんて……あるか?


 なのに、なぜ反応がない──?


 タカトは、恐る恐る背後を振り返った。

 そして──見た。


 そこには──

 ぞ〜うさんの鼻のように、ふにゃりと……ではなく、なぜか直角に頭を垂れたカリ頭が!

 しかもその触手は、ビン子に突き刺さる寸前で、ピタリと動きを止めていたのだ。

 ……だが、その様子がどうにも妙だった。


 どこかピンと背筋を伸ばし、礼儀正しく距離を取っている。

 まるで、女性をダンスに誘う王子様のような立ち居振る舞い。

 それはもはや──触手とは思えぬ、ジェントルな佇まいである。

 思わずほれぼれしてしまうような、気品すら漂っていた。

 (……触手だと思わなければ)

 モテる男ってのは、だいたいこうだ。

 エロスの前にエレガンス。欲望の前に礼節。

 それがモテ道の真髄なのである。

 いうなれば、どこぞの最低最悪の卑劣野郎とは対極の存在なのだ。


 タカトはそれを見て、なぜか胸がモヤついた。

 ――なんか……負けた気がする。

 まさか、自分が触手にまで“品格”で負けるなんて思わなかった。

 我ながら、情けなさすぎて笑っちまう。


 そんなジェラシー混じりの想いが、ふと記憶の片隅を刺激する。

「そういえば……珍毛って、確か“女たらし”の性格だったよな」


 ……って、それ、ただの負け惜しみじゃねえかよ!www


 だが、そのひとことに──

 オオボラの眉が、ピクリと動いた。

 なるほど。たらし込む性質があるなら、これだけの雌の万毛を侍らせてハーレム状態を作っていたのも、妙に納得がいく。


 ──いや、待てよ。


「タカト。お前、それって……“雌”の範疇に、人間の女も入るってことか?」


「ああ。確かこの種の魔物は、相手が“女”だった場合は、種族問わず手を出さなかったはずだ。だからビン子のケツにも突っ込まなかったんだろうな……」


 つまり、珍毛は相手が“女”であれば攻撃しない。

 そして、その命令を受けた万毛たちも、同様に進路を譲る。


 ──なるほど、筋は通る。


 オオボラは「ふむ……」とうなずいた。

 これで一つの仮説が成立する。


 かつてこの洞窟に入った二人組。

 そのうちの一人は“女”で、珍毛たちに無害と判断され、無傷で通過した。

 だが、もう一人は──“男”。

 容赦なく殺された。


 ……それが、あの骸骨の正体。


 しかし、オオボラは眉をひそめる。


 気になるのは、その“男”のほうだった。

 骸骨の残骸から察するに、どうやら一度きりではなく、複数回この洞窟を通っていた形跡があるのだ。


 だが、それはおかしい。


 珍毛の制圧指標は【27】。

 対応戦力等級25の自分ですら手を焼くレベル。

 さらに、合体魔獣となった巨大なハナゲともなると、制圧指標は【38】……これはもう、倒すどころの話ではない。

 ましてや、タカトにいたっては対応戦力等級【1】。もう、存在がギャグである。

 そして、問題の骸骨。

 周囲に散らばっていた衣服の切れ端からして、守備兵のような武装も装備もない。

 明らかに、戦闘訓練など受けていない一般人──タカトと同じ、ずぶの素人だ。


 対応戦力等級は、せいぜい【5】。

 素人に、ほんのちょびっと毛が生えた程度。


 そんな男が、どうして何度もこの洞窟を通り抜けられたのか?

 どうやって──珍毛たちの目をかいくぐった?

 どうやって──この“性別ジャッジ地獄”を生き延びていた?


 オオボラの中で、もやもやと漂っていた違和感が、じわじわと形を成していく。


 ──奴らを抑え込む“何か”がきっとある。

 それを使えば、珍毛たちの動きを封じることができるはずだ!



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