表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 4章 ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/634

やっぱり……ないか……

 小門を探しに入った森の中


 まだ朝だというのに、薄暗い森の影が三人の視界を遮る。

 行けども行けども、そこは延々と続く緑の世界だ。


 鳥たちは侵入者を拒むかのように、鋭く鳴き立てる。

「チンコロコロ……オマエノ……チンコロ~コ~ココロ」


 その声に腹を立てるように、オオボラが振るうナタの音が荒々しく響き渡った。


 もしかしたらオオボラさん……アレが小さいとか?

 いや、腹を立てているのはチンコロ鳥たちにではない。

 一番後ろをのうのうと、頭の後ろに手を回して歩いてくるタカトに対してだ。


 実は、数か月ものあいだ、森に5回も分け入っているが、いまだに小門の場所は見つかっていないのだった。


「やっぱり……ないか……もう、そろそろあきらめようぜ」

 タカトが退屈そうに、きょろきょろとあたりを見回している。

 どうやら──すでに“小門”への興味は失せかけているらしい。

 今や彼の関心は別のところ。

 森の中に、融合加工に使えそうな素材は落ちてないか……と、地面ばかりをジロジロと見ている。


「お前な、あきらめるのが早いんだよ!」

 そんなタカトをよそに、オオボラは目の前の茂みを、鉈でガシガシと切り拓いていく。

 ガサッという音と共に、太い枝が黒く焦げた地面に落ちた。


 ……そう、ここは数か月前。

 権蔵の“ヨガファイヤァー”が炸裂した、あの現場である。

 ……え? 意味がわからない?

 よろしい、では少し丁寧に説明しよう。


 かつて、タカトは万命寺に献上する肉を調達すべく、この森に入った。

 そのとき仕留めたのが、あの魔豚・ダンクロールだったことはすでに話したとおり。


 だが──


 タカトはそのダンクロールと遭遇する“前”に、あるものを見つけていたのである。


 それが……


 魔草花『レディホールカーネーション』、

 『ベロベロチューリップ』、

 そして──

 『立チンぼ』。


 ……ネーミングが終わっている?

 そんなことは、いまに始まった話ではない。


 これらの草花、見た目はどれも色鮮やかで可憐。だが──

 融合加工の素材としての価値はゼロである。

 ……にもかかわらず、一部の“筋”からは高値で取引されていた。


 その理由は、用途にある。

 使い方は、いたってシンプル。

 たとえば、『レディホールカーネーション』の花の中に──ええと……男が持っている“円筒状のちくわ”を差し込むだけ。

 『ベロベロチューリップ』や『立チンぼ』は、女がその上から“またがる”だけ。


 そう、もうお分かりですね?

 つまりこれは──

 魔草花のオ○ホである。(ぶっちゃけたwww)


 ただし、魔草花は魔草花。

 魔の生気を含んだ粘液を通して使用者の身体に影響を与え、確実に人魔症を発症させるのだ。

 ──だからこそ。

 人魔症にかかった者たちが隔離されている“人魔収容所”では、

 これらの魔草花が、性欲処理用の道具として密かに流通していた。


 ……とまぁ、そこまでは序の口。

 本題はここからだ。


 この森には、それらよりも遥かにやばい“逸品”があった。


 その名も──

 『ぺっ・ヨーテンカ』。


 魔草花『ニギリッ屁よん♡淳』と、メキシコのウイチョル族が儀式に用いる幻覚サボテン“ペヨーテ”もどきを掛け合わせた、謎のハーフ植物である。

 ……つまるところ、半魔草。

 半魔草だから、人魔症にかかることはないのだが……

 だが、その胞子が持つ幻覚作用は駐屯地一つ分を惑わすほど超強烈。

 しかも、中毒性まであるという鬼っぷり。

 これを見つけた権蔵は──そりゃもう、火を吹いた。

 「ヨガフレイム!!」と。

 こうして、この一帯は“聖なる業火”によって黒こげになったというわけだ。


 ……で、あれから数か月。

 今や、焦土だった大地には新たな命が芽吹き始めていた。


 タカトは、その若葉たちをじっと睨みながら、

 ──金になりそうな魔草花はないかと、こっそり探していたのである。


「しかしだな、ここまで探しても見つからないってことは──もしかして、最初から“ない”ってことかもしれないぜ」


 ……ん? タカト君、見つからないのは“小門”のこと? それとも──魔草花のほうかな?


 どうやら、黒く焦げた地面から生えているのは、そこら辺にもよくあるベニシダやイノデばかりのようである。


 ──ちっ、やっぱり『ぺっ・ヨーテンカ』はなしか……

 あれを“幻覚剤”として売りさばけば、大金貨1枚にはなったはず……

(※ただし御禁制品につき──見つかれば即逮捕、もれなく手錠のオマケ付きである)


 “ない”と分かれば、急速に飽きていくのがタカトという男。


 早く帰りたそうに、きょろきょろと辺りを見回しては、ついにオオボラへの説得を試み始めた。

「なんせ、じいちゃんが言ってた話だからな? ほら、もう年だし、半分ボケてるかもしれんしな……」


 ビン子が冷たい目で、じとっと睨む。

 ──そんなこと言って、私は知らないわよ……とでも言いたげに。


 だが、オオボラはまったく諦める気配を見せない。

 鉈をぶんぶんと振り回し、次々と茂みを切り開いていく。

「そうかもしれん。でもな──やるだけやってから、あきらめるんだよ」


 ……その様子を、タカトは呆れた顔で眺めていた。

 ──なんかもう、めんどくせぇ……とでも言いたげな顔で。

「だいたいそれ、お前だけだろ? 俺はな、頭の中でちゃんとシミュレーションして、最適解を選ぶタイプなんだよ」

 そう、タカトなりに言い訳はあるのだ。


 だが、オオボラはピタッと振り向き、大きな声で言い放った。

「だから、お前は弱いんだよ!」


 ──オイオイ。 マジで何をそんなに気負ってんだよ……

 だが──

 オオボラの目には、ただの意地っ張り以上の何かが宿っている気がした。


 オオボラの振り下ろした鉈が、バシィッと音を立てて一本の太い枝を断ち切った。

 壁のように行く手を遮っていた枝葉が、ばさりと音を立てて地面に落ちる。


 ……次の瞬間、視界が開けた。


 そこは、森の中にぽっかりと空いた、直径十メートルほどの広場だった。

 朝日も届かない鬱蒼とした森の中で、そこだけが不自然なほど静かで──異様だった。


 そして、その広場の中央に、ぽつんと立つ人影が一つ。


 頭からつま先まで、黒く怪しいローブに包まれている。

 顔は深くフードに隠れ、年齢も性別もわからない。

 ただ、なぜか……その存在は、“圧”として肌に感じられた。


 タカトは、思わず息を呑む。

 ビン子は、その人影から目を離せず、ぴたりと足を止めた。


 ──こいつは……いったい、何者だ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ