第3話 錬金道具の購入と初めての街の外
第3話です。
街の外に行きます。
イルミナと別れて魔術師ギルドの受付に戻ってきた。
何をするかといえば錬金をするための道具を揃えるためだ。初めに渡されるお金は3000G。多分1番安いものなら買えるだろう。
「すみません、錬金をするための道具はここで買えますか?」
「初級錬金セットですね。ここで買えますよ!金額は1000Gです」
良かった。買えるようだ。私は錬金セットを購入し、魔術師ギルドから出てギルド前にあったベンチに座った。
「どれどれセットの中身は〜」
中には錬成陣を買いた紙とメガネ、さらに1枚の紙が入っており簡単に説明が書いてあった。
簡単に説明すると、錬金セットでは【✧錬金】のスキルのアーツである【合成】、【昇級】、そして【錬成】を行うことが出来る。
全ての素材には存在値というものがあり、存在値が同じものは【合成】することが出来るらしい。ただし、存在値が同じでも合成出来ないなんてこともよくあるらしい。例えば〈動物の皮:存在値1〉に〈鉱石:存在値1〉のような組み合わせはダメだけど、〈鉱石:存在値1〉と〈鉱石:存在値1〉ならいいと言うことだ。
素材の存在値は存在のレア度や品質で最大値が決まっているようでレア度をあげる【昇級】を使うことで素材のレア度が上昇して最大存在値も上昇する。
そして最後に【錬成】素材と素材を掛け合わせて新たなモノを作り出すというものだ。
例えば水と薬草を【錬成】するとポーションが出来る。鉱石を【錬成】で武器の作成も行えたようだ。しかし【✧調合】スキルで作ったポーションの方が効果が高く、【✧鍛治】スキルで作った武器の方が強いものが出来た。【合成】と【昇級】でレア度をあげれば同じレベルのものは作れるが素材の消費量を考えると釣り合いが取れない。
β版テストはこの使いにくさからゴミスキルと言われるようになったようだ。
私は【✧錬金】スキルもレベルをあげれば何かしら使えるのでは無いかと思う。
古代の遺跡とかにあるような錬成陣を使用すればすごいものが出来るとか、古代語などで錬成陣に手を加えて新たな効果が生まれるとかそういうのを期待している。
おそらくまとめサイトでも掲示板でも叩かれていた【✧錬金】スキルを取っている人はほぼ居ないし、【✧錬金】スキルを主体とした私のスキル構成じゃ間違いなくパーティにも入れない。だからこその【✧テイム】なのだけど。
ゴミスキル呼ばわりの哀れな【✧錬金】スキルで大発見をして錬金サイコーっていつか言ってやるんだ。
このあとは早速街の外に出てみよう。
まとめサイトでは東西南北の順で難易度が上がると書いてあった。おそらく今は東の草原ではプレイヤー達によるモンスター大虐殺が行われているのだろう。
少し難易度は上がるが、西エリアの森へ行ってみよう。テイムは出来そうだったらする方向で行けばいいかな。
◇◇◇◇◇◇◇◇
というわけでやって来ました西の森。
まずは✧気配遮断を使って気配を消す。音は遮断されないと説明にあったから音をたてないように慎重に進むとしよう。
✧気配察知で魔物の気配を探してみる。まだスキルレベルが低いので敵のいる方角がなんとなくわかる程度だが、β版テストでレベルをかなりあげた人の話では方角、距離、数と強さなどだんだん細かくわかるようになったらしい。✧気配遮断も✧気配察知もMPを消費しないスキルだから普段から積極的に使ってレベルを上げていきたいと思う。生存率が上がるからね。
《✧気配遮断のレベルが上がりました》
《✧気配察知のレベルが上がりました》
《✧鑑定のレベルが上がりました》
それから10分ほど森でコソコソと移動している。✧気配察知で見つけた敵を避けて、✧鑑定で✧錬金に使えそうな素材探しだ。
ちなみに森で見つけた敵は狼だった。よくある敵だね。鑑定結果はこちら。
ウルフ Lv.2 アクティブ
この3つだけしかわからなかった。✧鑑定のレベルが低いせいだろう。アクティブっていうのはこっちを見つけたら襲ってくるような魔物のことで、ノンアクティブっていうこっちが攻撃しなかったら襲ってこない魔物もいるらしい。
そして✧錬金で使えそうな素材は2つ見つかった。鑑定結果はこうだった。
素材:薬草 品質2 レア度1
ごく普通の薬草。丁寧に採取されている。
素材:麻痺草 品質2 レア度1
摂取すると確率で〈状態異常:麻痺 Lv.1〉を付与する草。丁寧に採取されている。
これをそれぞれ2つずつ採取することが出来た。私がこれらを採取する時、根元から引っこ抜いたのだが、この時鑑定結果に「丁寧に採取されている」と表示された。
試しに次に見つけた薬草では薬草を真ん中辺りでちぎって見るとシステムで《採取に失敗しました》と表示された。おそらく✧採取のスキルがない状態だとある程度丁寧に採取しなければ素材を入手出来ないのだろう。
素材の品質が2であったところから見るに、✧採取スキルがあっても採取が成功するだけで品質は1になるのかも知れない。採取はなるべく丁寧にした方が良さそうだ。
そもそも、品質判定はどこからになるのだろうか?根元から何センチまでは丁寧判定になるなど決められている...?根っこごと採取すればもっと品質が上がるのかも知れない。っといけないいけない。私は割とどうでもいいことばかり気になってしまうみたいだ。
一応次の素材は根っこごと採取してみよう。
確か✧採取のスキルは採取をすれば入手出来るとまとめサイトに載っていた。
まだ入手してないのはきっと採取した数が少ないからだろう。
《✧気配遮断のレベルが上がりました》
《✧気配察知のレベルが上がりました》
いつの間にかレベルアップの通知が来ていた。ちょっと考えすぎていたみたいだ。
私は考察を終え、移動しようとした時、✧気配察知が反応した。さっきまでは✧気配察知で反応していなかった場所から急に現れた気がする。ゲームらしく魔物のリポップだとか、私の✧気配察知のレベルが低いせいだとかそういう理由の可能性は充分にあるのだけど、今までなかった反応で少し気になる。
リポップ直後の魔物の動きも気になるし見てみよう。
私が気配の方に向かうとそちらの方からバチバチバチッと音がした。もしかしてリポップする演出とかなのだろうか?木に隠れてそっと音をした方を覗くと何もない空間に亀裂が出来ている。こうやってリポップするのかと見ていると亀裂から何かがボテっと投げ出されてきた。明らかに狼では無いし、なんか弱そう......というかボロボロな気がする。
私は少し近づいてみた。
「グ....グルォ.....」
ボロボロで今にも死にそうである。
あまりに見るにたえなかったので私はプレイヤー全員が貰っている初心者ポーションをかけて回復させてあげようとさらに近づく。
かなり近くに来て気づいたのだが、この魔物は銀色でウロコが付いていて足が4本。トカゲっぽい。あれ?羽が生えてる。
トカゲに......羽......?
あれ?この子もしかしてドラゴン?
初級錬金キットの錬成陣は【合成】、【昇級】、【錬成】全て行うことができます。
そしてメガネをかけると存在値が見えます。
別に作者はメガネフェチでは無いです。
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今日はここまでです。明日も同じ時間に投稿します。