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最弱無双の転移魔導師 ~勇者パーティの荷物持ち、パーティを追放されたが覚醒し、最弱魔法で無双~  作者: 夕影草 一葉
二章 有明と黄昏

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23話

 ビャクヤを連れて向かった先は、村の外れ。

 先日、戦ったワイバーンの死体が集められている場所に、今は大勢の人々の姿が集まっていた。

 中でもモノクルを掛けた長身の男が檄を飛ばし、屈強な男たちがワイバーンの素材を次々と荷馬車へと乗せていく。

 返り血を防ぐためだろうが、不気味なマスクを付けた男たちが、無言で魔物を解体している光景は、異様の一言に尽きた。


「ゆっくり丁寧に運んでください。 鱗や甲殻は頑丈ですが、重要な臓器などは慎重に。 不要な部分は後から回収を行います。 価値の高い部位を優先してください」


 とはいえここは辺境の地。

 さしたる娯楽もないため、グロテスクな魔物の解体ショーでも村の人々は物珍しそうに眺めていた。

 異様な盛り上がりを見せるその場所を見たビャクヤは、怪訝そうに首を傾げた。


「この騒ぎはいったい、どうしたというのだ? こんな人間は見かけなかったと思ったのだが」


「俺達が倒したワイバーンがあるだろ? あれを買い取ってくれる商人が偶然、近くを通りがかったんだ」


「商人が、この場所に?」 


 魔物の素材は部位にもよるが、高価で取引されることが多い。

 素材の用途は様々だが、堅牢な鱗や甲殻、牙や爪は冒険者の装備に転用されることが多いと聞く。

 その中でも最高位の価格と、価格に見合った性能を誇るのがワイバーンの素材だ。

 ワイバーンの素材を使った装備は目が飛び出るほどの価格で取引されているが、当然ながらその素材にも超高価な値段が付く。それが丸ごと四頭も手に入ったのだ。

 それだけの資金があれば村の復興に不便はない。下手をすれば数倍の大きさに発展させることもできるだろう。

 だがその前に、ひとつ問題があった。


「ワイバーンの素材は高額だが、売りさばくのに専用の流通が必要なんだ。 ただの商人がワイバーンの鱗を欲しがるわけがないからな。 冒険者やギルド関係の施設への売却を、俺達の代わりに請け負ってくれるらしい」 


「確かに我輩達だけでは腐らせるだけだろうからな。 その点でいえば、餅は餅屋。 商いは商い人に任せるのがよいだろう」


「それに、売買を肩代わりしてくれるだけじゃないんだ」


「ふむ?」


「前の戦いで酷使したせいで、武器の修復に時間がかかってるだろ? それを見かねた村長が、近隣の村にいる職人へ依頼して、新しい武器を作ってくれることになったんだ。 それもワイバーンの素材を使ってな!」


 ビャクヤが弾かれたように此方を振り向いた。

 それも当然だろう。ワイバーンの素材を使った武器は、冒険者の中では憧れの一品だ。

 魔物の素材を使った武具は、その冒険者の実力を表す一種のステータスとなるのだから。

 街を歩けば羨望の眼差しを受けるだけでなく、その性能面で見ても申し分ない物になるのは、間違いなかった。


「それはありがたい! 我輩が飛竜の武器を持てば、まさに鬼に金棒! 後から村長殿にお礼を言いにいかなければな!」


「さすがに届くまでには時間がかかるらしいけどな。 それまでは予備の武器で間に合わせるしかないが、幸運にもそこに商人がいる。 おーい、ヴァンクラット!」


 名前を呼ぶと、モノクルの男――ヴァンクラットは顔をこちらに向けた。

 ビャクヤが復興で村を駆け回っている間、俺はこのヴァンクラットとの商談を重ねていた。

 各地の薬品や物品を取り扱う行商人のヴァンクラットの存在は、この村の復興に大きく貢献すると思ったからだ。

 事実、鉄製の道具や怪我人に使う薬品などは村の中で大いに活躍していた。

 すでに顔見知りとなっているヴァンクラットは、俺を見つけると駆け足で近づいてきた。


「おぉ、ファルクス様。 それにそちらの女性は、噂に聞くビャクヤ様ですね?」


「我輩を知っているのか」


「もちろんですとも。 お二人は大切なお客様ですから。 この度は我がヴァンクラット商会をご利用いただき誠にありがとうございます。 なにか入用ですかな?」


「前に聞いた話だと、武器も取り扱ってるって言ってたよな? 見せてもらえないか?」


「えぇ、当然ですとも。 我がヴァンクラット商会の品揃えを覧下さい。 三番の馬車でございます」


 ヴァンクラットが指さした先。

 三番と文字が振られた馬車の元へ向かうと、深くフードを被った男が商品の見張りを行っていた。

 男が荷馬車に掛けられた大きな布を取り払うと、その下には数えきれないほどの武器が並んでいる。

 

「これだけの武器を揃えてるなんてな。 まるで武器商人だな」


 街の工房にも劣らない品ぞろえに、思わず目を見張る。

 冒険者にとって武器は自分の命を預ける半身と言ってもいい。

 新しい武器を選ぶときはいつでも気分が高揚するものだった。

 だがビャクヤはじっと、ヴァンクラットの方を向いていた。

 その視線は険しい物だ。


「どうしたんだ?」


「分からぬ。 だがあの男、本当に商人なのか?」


「見れば分かるだろ。 これだけの商品とキャラバンを引き連れてるのに商人じゃなかったら、なんなんだよ」


 数台にわたる商品の数々に加えて、ワイバーンの素材を迷いなく選別できる知識。

 俺から見ればヴァンクラットは街などにいる商人に変わりはなかった。それにこの村の復興にも間接的とはいえ貢献している。魔物に魔素を与えて被害を拡大させるという、ビャクヤの言う使徒の行動とは相反するようにも思えた。

 とはいえ使徒を追っている経験はビャクヤの方が豊富であり、俺はまだ本物を見たことが無い。

 ビャクヤの反応は先ほどと変わらず、鋭い目つきでヴァンクラットを盗み見ていた。


「わからぬ。 だが、警戒はすべきだろう。 あ奴、なにか隠している」  


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