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そして次の街へ。

 


 俺たちはフラフィーに服を着せた後、盗賊団アジトを後にした。


 そういえば結局こいつらの団名すら知らないままだ。

 知りたいとも思わないけど。


 裸だったフラフィーだが、彼女に合うサイズの服はなく、臭い盗賊の衣類を着させるのも何だか嫌だったので、比較的まともだった外套だけを被せてしまうことにした。


 アジトを出た後、まずは森を抜けて、街道へと出る。


 天気は快晴。


 絶好の出立日和と言える。


「そういえばセンパイ」


「どうかしたか、トモ?」


「フラフィーちゃんのステータスってどんな感じでした?」


 トモが手を繋いで一緒に歩いているフラフィーを見ながら聞いてきた。

 手入れなんてされてない砂利道を歩くだけなのに、なんで手を繋いでいるかは知らない。


「ああ。なかなか高かったぞ」


 俺はスマホを取り出して彼女にみせる。


 トモの絆刻印を授けられたフラフィーのステータスはこんな感じだ。




 名前:フラフィー

 種族:ラピッドラビットスローピィ

 属性:水、光

 所属:ケイ

 称号:召喚獣


 戦闘:198

 支配:0


 総合:435




 圧倒的戦闘力。

 トモの絆刻印で戦闘力が44上がってるとしても、素のステータスが154ということだ。


 ちなみに出発前に残り2個の魔石でグレイウルフを2匹呼び出している。

 名前はゾゾとザザ。

 俺の現在の使い魔はズズ、ゼゼ、テテ、ゾゾ、ザザ、フラフィー、ヒート、スライム15匹で計22体だ。


 そんな使い魔の中で一番強いのがフラフィーということになる。


 こんな幼女がなぁ。


「マスター?」


 俺がフラフィーを見つめていると、外套のフードを被っていないフラフィーは雪色の髪と同じ兎耳を揺らしながら首を傾げた。


「いや、こんなちっさいのに強いのかなーって」


「フラフィーは強い」


 俺の言葉にフラフィーが胸を張ってドヤ顔をする。兎のくせに表情が豊かだ。


「期待してるぞ」


 俺は従兄弟の子供を見るような気持ちで頭を撫でた。


「まかせて」


 好きなように撫でられているフラフィーは嬉しそうに右耳を半ばで折ったり立てたりした。

 嬉しいと耳が動くのかな?


「センパイ?」


 トモがなぜかジト目でこちらを見つめていた。


「見おわったか?」


「はい。フラフィーちゃんめっちゃ強いですね」


 俺が聞くとそう言ってトモが俺の黒いスマホを返してきた。


 なんか不機嫌……?


「トモ10人分くらいの戦闘力だもんな」


「私で換算しないでくださいっ」


 トモがフラフィーの頭越しに小突いてくる。


 やっぱり機嫌が悪い。

 生理だろうか。


「お、俺、なんか変なことでもした?」


 フラフィーを挟むように歩いているトモに聞いてみた。

 流石に生理云々は聞かないぞ。


「べつにー。ロリコンさんはフラフィーちゃんの頭でも撫でてればいいんですよ」


「だれがロリコンだ!」


「目がいやらしかったです」


「そんな目はしてねぇ!」


「マスター、フラフィーと交尾したいの?」


「なっ!? フラフィーまで何言い出すんだ!」


 幼女が交尾とかいうな!


「うわー。幼女にあんなこと言わせてる……」


「俺か!? 俺が悪いのか!?」


「センパイが変態なのがいけないんじゃないですかー?」


「俺は紳士だ! 無実だ!」


 頭を撫でただけだ!


「ぷっ、あははははは」


 突然トモが笑い出す。


「冗談にならない冗談はやめろっ」


 ここでからかわれていたのだと気づく。


「大丈夫ですよセンパイ。私は分かってますから」


「お前が言ってきたんだろ!」


 さっきは不機嫌だと思ってたら笑ったりとコロコロ感情が変わるやつだ。


 女の気持ちは謎すぎる。


「それにしてもずーっと同じ景色ですね」


「そうだなー」


 右手に森があり、左手には草原。

 俺が異世界に来た時と同じような場所だが見覚えはない。もしあの場所に行けたのならギギの墓を建ててあげたかったのだが。


 ちなみに一緒に歩いているのはテテとヒートとフラフィーだけ。

 ヒートはテテの背負った箱の中。


 他のメンバーは森の中で狩りをしながら付いて来ている。

 足の遅いスライム4匹はズズたちに装着した布袋に入れて同行させ、余った11匹はゆっくりと森の中を追いかけているはずだ。


 テテの背負ってる箱やズズたちに装着している布袋は盗賊アジトで見つけた裁縫セットで簡易的に馬具を参考に作った。


 そんなズズたちは上手く狩りをしている。

 森の中で敵を惑わし撹乱し、仕留める。

 スライムとも連携が取れているので特に心配することもないだろう。

 大物からは距離を取るように言ってあるし。


「なんだかこんな風に歩いてるとアレみたいじゃないですか?」


「アレ?」


「私たちが夫婦でフラフィーちゃんが子供……みたいな……」


 後半恥ずかしくなったのか目をそらしながら口を動かすトモ。


「っ! は、恥ずかしいなら言うなよ!」


 こっちまでなんだか気恥ずかしくなるだろうが。


「パパ?」


 そしてまさかのフラフィーからの爆弾発言。


「俺はパパじゃねー!」


 空へ向かった叫んだ。

 迂闊にそんなこと言うんじゃありません。

 目覚めちまうだろ。



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