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天上の染みを数えて救いを求めろ。

 


 私はトモ。

 小さい時からずっと声優を目指していた。

 最近、やっと選ばれたレギュラーの作品がヒットし、名前が売れ渡ってこれからって時だったのに……。


 なのになのに。


 わけがわかんない!


 なんでこんなことになってるの!


 気づいたら知らない場所にいて、やっと人に会えたと思ったら捕まって!


 こんな汚い奴らに囲まれるなんて!


「やめてっ!」


 声を出して抵抗するも、食堂らしき場所で使い込まれた汚い机に押し倒されてしまう。


 身動き取れない私を盗賊どもが下卑た視線でジロジロと眺めてくるのが耐えられない。


「お願いだからこれ以上はやめて! こんな酷いことしたら警察だって黙ってないよ!」


「ケイサツだかなんだか知らねぇがいくら叫んでも無駄さ」


 私を掴んでいる大柄の男が舌舐めずりをする。


「なかなか上等な服を着てるがそんな暴れちゃ破れちまうぜ」


「ボスっ! そんな服なんて破っちまいやしょうぜ!」


「そうっすよ兄貴! ガーッと行っちゃいやしょう!」


「馬鹿野郎! こういうのはな、じっくりねっとり味わうのが乙ってもんなんだよ!」


 ボスと呼ばれた男が怒鳴りながらも片腕だけで私の両腕を頭の上に押さえつける。

 精一杯に脚を暴れさせ、身をよじるも、ボスがお腹の上に跨っただけでなにもできなくなった。


「馬鹿! タコ! 変態! 今すぐ離して! 離してよ!」


「へへっ、最近年増ばっか相手だったからな。幼稚な言葉も悪くねぇぜ」


「ひゃあ! やめっ! どこ舐めてんのよ!」


「どこを舐めてるか自分で言ってみろよ」


 喉元から鎖骨へと舌を這わされる感覚に全身が総毛立つ。


 どんなに暴れても罵倒しても彼は喜ぶだけだ。


 それでも抵抗するのをやめるわけにはいかない。

 抵抗するのをやめることなんてできない。


 この絶望に抗わなかったら、私が私ではなくってしまいそうで。


「若いってのはいいな。歳をとった女はすぐに諦めてうんともすんとも言わなくなるがよ。こうやって声をあげてくれる方が盛り上がるぜ」


「ちょっと! やめっ! スカートの中に手を入れないでっ!」


「肌も張りがあるぜ」


「やめてっ! 触らないでよ!」


 服の裾から入り込んだボスの指が私のお腹を撫で回す。スカートは完全にめくれ上り、太ももを好きなように掴まれる。


 最悪だ。


 なんで私だけこんな目にあうの。


「ちょっ! 変態! ボタンっ! 外さないでっ!」


 片手の太い指だけで器用に制服のボタンを外されていく。


「おいおい、脱がないとせっかくの服が台無しなっちまうぜ?」


 ボスのニヤケ顔が目の前にまで近づいてくる。


「ふざけないでっ! やめてくれたら服も破けないわよ!」


「そりゃあ無理な相談だ」


「いやっ!」


 無理やりほっぺを舐められて心の底から嫌悪が湧き上がる。


 なんでなんでなんで。


 誰か助けてよ。


「可愛いもんつけてるじゃねーか」


「これで満足でしょ! もう離してよ!」


 制服をはだけさせられブラ姿をこんな奴らに見られている。

 肉欲にまみれた最低な目が私を突き刺すように眺めていた。


 死にたい。


「お楽しみはこれからだぜ」


 ボスはそう言ってナイフを取り出した。


「ちょっ! なにする気よ!」


「おっと暴れるなよ。綺麗な肌に傷が付くぜ」


「やめてやめて! これお気になの! ほんとお願いだから!」


「こんな時まで服の心配なんて、とんだアホだな」


 こちらを馬鹿にしながらボスがナイフをブラの中心へと差し込む。


「お願いっ! やめて!」


「やめてほしいか?」


「やめてほしいわよ!」


「嫌だね」


 ボスは嗤いながらナイフを動かした。


「いやああああっ!」


 なんとか逃げ出そうと暴れるも、そのせいで千切れたブラが胸から落ちる。


「いやっ、見ないで! 見ないでよ!」


「若いくせにデケェもん持ってるじゃねぇか。こんなの見せないなんてバチが当たるぜ」


「親方っ! とっととバチっての与えてやりましょうぜ!」


「そのとおりっすよ! 俺たちゃもう我慢できねぇ!」


「へん。楽しみを知らない奴らだぜ」


 ボスが呆れたように後ろを見てから腰をあげる。


「すまねぇな。あとがつっかえてんだ。今日は眠れねぇぜ」


「な、なにする気よっ」


「そりゃあここまできたらやることは決まってんだろ」


 ボスは口の端を悪魔のように釣り上げてズボンをパンツごと下ろした。


「いやいやいや!」


 目の前にさらけ出された汚物から目を背けるように天井へと顔を向けて暴れる。


「安心しろ。すぐに気持ちよくなって自分から腰を振り始めるからよ」


 私の必死の抵抗も虚しく純白のパンツを引きちぎられ、脚を押さえつけられた時には天井を睨むことしかできなかった。


 情けない。


 相手の顔すら睨むこともできない、そんな自分が。


 私に見えている世界は赤い天井の染みだけ。


 それはまるで、これから散るであろう私の純潔のようにも思える。





 赤い染み?





 次の瞬間、世界は闇に包まれた。



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