幕間2 『エリサ=ルーミリア』
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私の初めてレイさまを見た時の印象は、話に聞いていた通りのとても素敵な御方でした。
幼いお姿ながらも、白いスーツを着こなしており、立ち振舞いは貴族の大人と比べても遜色なく、とても凛々しい。
婚約の話を初めて聞いたとき、一緒に恋とはどういう気持ちかとお母様は教えてくださいました。
お母さまは隣国のリップランド皇国の元第一王女で、二つの国が同盟を結んだ際にお父さまと婚約なされたらしいです。
その時、お母さまは政略結婚にもかかわらず、お父さまに恋心を抱かれたとか。
お互い政略結婚で大変だとお父さまに優しく語りかけられたとき、お母さまは思わず惚れてしまったと嬉しそうにおっしゃっていました。
そして、私たちも出来るならお互いに好き同士になってほしいと。
五歳の私が恋をできるとはどうしても思えませんでした――――――――レイさまを見るまでは。
私の中にある気持ちが恋であるかは確信はありませんが、少なくともレイさまに好意を抱いていることはわかります。
レイさまを見ていると胸がポカポカと暖かくなり、目が離せなくなります。
そのせいで、レイさまと話したときに緊張のあまり言葉が上手く発せられませんでした。あのときは顔が真っ赤になるほど恥ずかしく、顔を思わず顔を覆い隠してしまいました。
そんな私に親しく話しかけて下さるレイさまは、なんと素敵な殿方なのでしょうか。
兄さまも真面目だと思いますが、レイさまはそれを上回ります。
姉さまと兄さまに友達になろうと言われたのにもかかわらず、敬語を使って話されたときは思わず心の中で笑ってしまいました。
「レイくんは本当に賢い子だね。ランドルフ殿が自慢したくなる気持ちもわかる」
「恐悦至極にございます」
今も大貴族のエドガー枢機卿とお話ししておられます。
私が少し人見知り気味なのを知っておられるのか、貴族からの祝辞に対してレイさまが全て対応してくださいます。
お父さまとお母さまは私の政略結婚をあまり良くは思われていませんでしたが、寧ろ感謝の気持ちでいっぱいです。
それに、運命の女神さまにも感謝をしなければなりません。
「エリサ、ずっと立っているだろう。体調は大丈夫か?」
私が考え事をしている間に、レイさまの美しいお顔が目の前にありました。頬が
赤くなるのを感じます。
「す、すみません。ですが、私は大丈夫です」
「本当は?」
「………………」
レイさまは苦笑いをすると、何も言わずに私の手をやや強引にとります。
そして、そのまま会場端のソファまで連れてきて下さいました。
本当は少し足が痛かったのですが、それを見極めて優しく対応してくれたレイさま。
やはり、この御方を誰にも渡したくありません。それがたとえ姉さまであったとしても。そんな気持ちが、私の心の中に生まれました。
幸いにも私は王族。そんな私の婚約に難癖をつける輩はいないでしょうが、万一の可能性もあります。
ルーミリア王国では一夫多妻が許されているので、側妻をとられるかもしれません。
それは嫌です! 私だけがレイさまのお嫁さまになりたいのです!
ここまで私が独占欲が強いとは思っていませんでした。
これが恋なのでしょうか、お母様?
私がレイさま唯一の妻になれるよう、いいお嫁様にならなければ!
「レイさま、私絶対にレイさまの望むお嫁さまになってみますね!」
「!? お、おう。楽しみにしてるよ」
そうして、私は明日からメイドのお手伝いをしようと決意しました。
次の投稿は恐らく20日になります。