幕間1 『ランドルフ=サラザール』
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レイとエリサ姫の婚約発表から約一時間が経過していた。
俺とセレナもあれからキリがないほどの祝辞ラッシュにあい、やっと一息吐ける。
元々このパーティーで食べ物を口にする気はなかったが、疲労でもっと食欲がなくなった。
義兄上とアメリア王妃も解放されたみたいだ。
「ランディ、お前はこの婚約をどう思う? 貴族とは言えど、レイは未だ六歳。エリサに至ってはまだ五歳だ。それも今日初対面の従兄妹同士でだ。エリサはレイのことが気に入ったようだが、レイはどうだが…………」
「義兄上の心配事もわかりますが、レイのことです。政略結婚も知っていて、自分の立場もよく理解しているでしょう。それに、二人の仲も良さそうですし、良縁になるかと」
俺と陛下の視線は貴族たちに囲まれているレイとエリサ姫の方にいく。二人は幼いながらも一生懸命貴族の相手をしていた。その輪の中にはグレン王子とルナリア姫の姿もある。
エリサ姫はたまに王城でも会うが、挨拶もしっかりしており、聡明な子だというのは知っている。真面目なレイとも相性はいいだろう。
「グレン王子とルナリア姫とも仲良くなれたみたいですね」
「それがな、ルナが初めて人と会うことを楽しみにしていたのだ。アメリアと挨拶の練習をしていたくらいだぞ。まあそれも、レイのせいで無駄になってしまったがな」
「やはり、子供にとって友ができるのは嬉しいみたいですね」
俺もルナリア姫とグレン王子の三歳の誕生パーティーで会った時、えらく怯えられたもんなあ。俺の顔が怖いのが悪いのだが、あれには少し傷ついた。
あれから3年、彼女も成長しているらしい。グレン王子も言葉遣いが様になっていた。
お転婆のルナリア姫とそれを止めるグレン王子。二人の性格は真逆だが、それも双子だからこそかもしれない。…………グレン王子が賢い子で本当に良かったが。
「話は変わるが、レイは何を勉強しているんだ?」
「昨日は王国史と魔法理論についての書物を読んでいたらしいです」
「…………普通の六歳とは思えんな。書物など初等部に入学する10歳の子達が初めて読むくらいなのだが」
レイは昔から探究心が強かった覚えがある。
魔法を見たときは目を輝かせ、ただの食事にしてもこれは何の食材かと質問してきたものだ。
まるで、物事全てが珍しい、みたいに。
「気をつけるのだぞランディ。潰れてしまっては元も子もない」
「それは重々承知しているのですが…………」
「お話し中失礼ですが兄上、少々よろしいでしょうか?」
「ん? なんだセレス?」
俺達が話している最中に珍しくセレスが話し始めた。
「確かにレイくんは常人ではあり得ないスピードで成長しています。礼儀作法や敬語、貴族の心得など自分から積極的に学びもします。確かにその成長速度に心配はしますが、しかし、子供の成長を親が止めてはいけないと思うんです。親なら子供の成長を見守り、サポートし、もしも無理をしているようであればそこでようやく介入する。それが親と言うものではないでしょうか?」
「「…………………」」
「さすが義姉様、素晴らしいお言葉ですわ」
武や政ばかりにかまけてきたせいで、俺や義兄上は親として大事な事がわかっていなかった。
それをセレスはわかっている。恐らくアメリア王妃も。つくづく親と言うのは難しい。セレスとアメリア王妃にはいつまで経っても頭が上がらんな。
「そうだな、レイの主体性を尊重しよう。義兄上、よろしいでしょうか?」
俺が同意を求めると、義兄上は何も言わずにただ大きく頷いた。
「話を戻すが、ルーミリア王国にとって良縁には違いない。時が来ればレイはグレンの右腕となるだろう。それなら仲が良いことに越したことはない」
「私達みたいにですか?」
そう言って俺達は微笑み合い、近くのウェイターが運んでいたワインを受け取る。
それと同時にアメリア王妃とセレスも受け取っている。賢妻な二人に俺と義兄上は頭が上がらない。
「「我らがルーミリア王国に更なる繁栄を」」
会場の一角に四つのガラスの音が鳴り響いた。
予定とは異なり今日投稿できました。
明日もできるかと思います。