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転生覇王と銀乙女 ~チートスペックで異世界転生~  作者: 夕見京成
第1章 ~異世界転生動乱編~
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第1話 『レイ=サラザール』


 よろしければ、感想やレビュー、評価等していただけると嬉しいです。

 少しでも気に入っていただけたならば、是非ブックマークをして頂けると幸いです。

 モチベーションアップに繋がり、跳び跳ねる程嬉しくなります。

 定期的な執筆を心掛けております。

 何卒、よろしくお願いいたします。





「レイくん、そろそろご飯の時間よ」

「……分かりました、母上。すぐに行きます」


 俺が魔法書を読んでいると、ノックしてから書斎のドアが開いた。母上が俺を飯に呼んだようだ。侍女を遣わせれば良いのに。

 俺は返事して読んでいた本を閉じ、本棚にしまって部屋を出た。

 

 セレス=サラザール。元この国の第一王女で、サラザール公爵夫人。周りからは良妻賢母として有名であり、おまけに一児の母と思えない位若くて美人である。


 スキンシップが大好きな母上と手を繋いで、三階の一番奥にある書斎から一階にあるダイニングに降りる。

 ダイニングに入ると、既に席に座って新聞を読んでいた父上の姿があった。


「勉強中ゴメンな、仕事から帰ってきて腹減っちゃって」

「いえ、僕こそ待たせてすみません」


 ランドルフ=サラザール。サラザール公爵家当主であり、ルーミリア王国騎士団総隊長。実質軍部のトップだ。これまたイケメンで王国最強とも呼ばれており、十年前の帝国との戦争の英雄である。


 そんな二人の息子として、転生した俺が生まれた。


 いつも通り仲睦まじく母上は父上の隣に座わる。俺はその向かいに座った。

 三人で一緒に祈りをしてから食事を始める。この国での食前の挨拶みたいなものだ。母さまはこれを忘れると怒るから要注意である。


「レイはまだ六歳なのによく勉強するなぁ。義兄上あにうえも心配しておられたぞ。もっと遊んではどうかと」

「すみません、でも今は遊んでいるより勉強していたいんです」


 俺はそう笑って父さまの不安を払拭しようとする。

 

 考えてみればもう六歳――――――俺がこの世界に転生してからもう六年の年月が経っていた。




     ◻◼◻◼◻◼◻




 元々俺はただの会社員だった。

 文字通り毎日朝から晩まで仕事をし、家では泥のように寝る。ただそれだけの生活をしていた。

 土日休みなんてほとんど貰えず、たまに日曜日が休める程度だった。


 その結果、帰宅直後に突然視界が真っ黒に染まった。

 こうして転生しているところから考えると、恐らく過労死で死んだんだろう。

 呆気なかったと思うけど、当然の結果だと思う。それこそ、馬車馬の如く働いていたのだから。

 唯一の気がかりは、妹に何も言えなかった事だったが、仕方あるまい。


 そして、気がついたらこの世界にいた。

 目覚めたらすぐに父上の見慣れない顔があってメチャクチャ驚いたが、今は金髪にも慣れたものだ。

 そこから言語を生活の中で一から学ぶのに三年、文字を学ぶのにまた三年かかり、ようやく本が読めるようになってきていた。

 今も肉体年齢は幼くとも、精神年齢でカバーしている。本ばかり読んで全く遊んでいないから眼精疲労とか心配だ。

 でも、それも仕方ない。ここには学びたいものがいっぱいあるのだから!

 そうなんと言ってもこの世界には――――――


「レイ、今日は何の勉強をしていたんだ?」

「今日は午前中は王国史を、午後は魔法理論の本を読んでいました!」

「ほどほどにするんだぞ。全く……ここまで魔法に興味を示すとは。やはり、血は争えないか」


 父上が笑うと、それにつられて母上も笑った。


 もちろん、地球に生きていた頃の俺は魔法なんてゲームの世界でしか見た事がなく、この世界で初めて見た時、自分の目を疑ったものだ。

 何もないところから水が出、火が燃え、風が風が吹く。そんな事地球ではあってはならないものだった。


 それが使える可能性があるというのなら、努力しない訳がない。

 しかも、俺はその可能性が充分にあるのだ。


 魔法の才能は遺伝される。

 これはこの世界では常識である。

 そして、父上は昔我が国、ルーミリア王国とガルシア帝国との間に起きた戦争で大活躍した英雄であり、母上も王族の直系で魔法に秀でており、王立魔法学園を首席で卒業したとか。

 この話を聞いた瞬間、俺は居ても立っても居られなくなった。

 魔法自体は八歳に行われる儀式で適性属性を調べないと使用してはいけない掟があるらしいが、知識は入れておく事に越した事はない。


 そういうわけで、俺は外に出ず本をひたすら読んでいるのである。 …………友達もいないしねっ!


「そうだ、レイ。伝えなければいけない事があったんだ」

「はい、なんでしょうか?」

「我が国ではな、貴族の子供が六歳になると王都で開かれるお披露目パーティーに出席せねばならんのだ」

「…………はい?」


 パーティー? 俺が? この世界に生まれてから家族と使用人以外話した事がない俺がパーティー?


 絶対無理だ。


「大丈夫よレイくん。スッゴクカッコいいお洋服をリリィに作って貰っているから!」

「セレス、あまりやり過ぎないようにな」


 母上は俺の事が本当に可愛いんだろうなぁ。愛が重いというのはこういう事か。 愛も重ければ気も重い。

 メイド長のリリアナさんなら、俺の気持ちもしっかり汲んでくれるだろう。……ほんと、頼んだぞ。


「公爵家の嫡男であるお前はもちろん出席だからな。それに今年はグレン王子とルナリア姫、エリサ姫もご出席なさる」

「……父上、エリサ姫はまだ五歳ではありませんか? どうしてこのパーティーに?」


 双子の姉で第一王女のルナリア姫と弟で第一王子のグレン様は俺と同い年。従兄弟の関係にある。よって二人がパーティーに参加する事は当然だろう。

 しかし、第二王女のエリサ姫は俺の一つ下。六歳のパーティーには出られないはずだ。

 まさか王族がどうせなら三人一緒にやってしまえ 、なんて考えではないだろうが。


「それには少し理由があってな。お前にも関係してくる事だから、当日のサプライズという事でな」

「父上、それはサプライズになってないと思うのですが…………」


 二人はこっちが心配になるくらい満面の笑みで見詰めてくる。

 その笑みが俺には怖くて仕方がなかった。



 



 高校2年の秋、こんな事をしている暇なんてないだろうと言い聞かせつつも書いてしまう自分。

 ああ、修学旅行なんてあっという間だったなァ。

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