藤堂 五月(とうどう さつき)
私は、藤堂 五月。
神奈川県相模原市で生まれ育った女子高生です。
3つ年下の妹は超優秀!葵です。
葵は、なんと中学でお受験して、中高一貫の学校へめでたく進学。
まー、妹の葵は子供の頃から太陽のような存在、そして私は陰・・・。
チャリ通の私は、いそいそとチャリで登校です。
五月が交差点にさしかかった、その時、
キ、キーッ!!
五月の自転車のブレーキ音が響き渡ります。
「痛っ、イッターイ。」
と、五月。
どうやら、出会い頭に自転車と衝突してしまったようです。
「痛てーなぁー・・・。」
衝突してしまった相手は、男の子のようでした。
よく見ると、その男子は五月の学校の制服でした。
「気を付けたまえー!」
と言うなり、その男子生徒は走り去って行きました。
「知らない顔だな・・・。」
「ってか、気を付けたまえって?なにさま??」
五月は思いました。
「この辺からチャリ通でうちの学校へ通っている男子っていたっけ?」
そう思いながら、五月は学校へ・・・。
キーン、コーン、カーン、コーン♪
始業のベルが鳴り、担任の先生が教室に入って来ました。
そして、先生に続いて教室に現れたのは?
朝の、気を付けたまえ男ーー!?
「今日は、このクラスへの、編入生を紹介します。有栖川 哲也君です。みんな、仲良くね。
有栖川君は、一番後ろ、藤堂さんの隣の席ね。
藤堂さん、よろしくね。」
と、先生。
「気を付けたまえ男ー!いきなり私の隣ですか・・・。」
五月は、こういったタイプの男子が苦手だ。
クールでお高く止まっているような雰囲気を醸し出している。しかも、まるで王子さまのように高貴な雰囲気である。
五月は、彼と目を合わせないように、今朝自転車でぶつかったことも気付かれなければ良い!と思った。しかし、席に付こうとする彼は、五月に声をかけた。
「藤堂さん」
「あれ〰?今朝は、大丈夫でしたか〰?」
と五月も応えようと、振り向くと彼は、
「よろしく。」
と、一言だけ。
呆気に取られた五月は何も返す言葉がなかった。
今朝、私とぶつかったこと覚えてないのかな〰?
ケガとかしてなかったかな〰?
私は、あなたみたいなタイプ、超苦手なんだよな〰。どうしよう、これから〰。
などと、五月はウジウジ考えていた。