トラブルシュート。
許可が降りたからには話が早い。
僕は息を大きく吸い込み、腹に力を入れて声を出す。
「こっちを見ろ!!!!!!!」
城内に向かって突き進む上半身裸の軍団に向かって叫ぶと
驚くほどあっけなく、全員が足を止めこちらを向いた。
「・・・ホント筋肉バカって単純だな。」
ベルトから取り出した閃光弾を投げると
彼らはそれを目で追った。
3・・2・・1
耳をふさぎたくなるような高音の炸裂音とともに
閃光弾は真っ白な光を放った。
「…14。15。」
閃光弾を直視して胎児のように丸まったモンクの一人ひとりに
麻酔銃を打ち込む。
目が覚めたばかりの人間だって10時間は眠らせる麻酔だから
しばらくは静かになるはずだ。
ドコに申請してどう処理されているのかさっぱりわからない経費のために
銃弾の数を間違えないように数字を数える。
「キツネ、聞こえる?全部で16発撃った。」
マイクに向けて報告を上げる。
『オッケー。16人か…わりと少なかったね。』
キツネの声と一緒にキーボードを叩く音が混じって聞こえる。
人間が魔王を討伐しようと思うなら、
千人規模の軍を動かすことだってあるものだ。
「それにしてもおかしくない?なんで誰も迎撃に来ないんだろう。」
百人力の魔王さまだって、襲撃とあらば十人力の部下くらい差し向けるはずなのに。
『うーん。余裕なのかなあ。魔王様の考えは分かんないや。
ちょっとこっちからもう一回連絡入れてみるよ。』
「じゃあ俺はどうしたら良い?」
連絡を待つ間、ここにただ突っ立っているのも面白くない。
『そうだなあ。。一応外で待っておこうか。彼らもしばらくは起きないだろうから。』
上半身裸の男たちが大量に寝そべっている地面を一睨み。
コレと一緒に過ごすのは確かに勘弁だ。
「オッケー。じゃあ跳ね橋の手前で待っておくよ。」