4枚 妹
少し、重たいですが。なんとかなってると思います。
家の前、ドアノブに手をかける。
意外なことに開いていた。鍵が。
妹がもう帰ってるのかもしれない。珍しい。
祝いを言うチャンスかもしれない。
かもばっかりだなぁ、当たり前だけれど。
私は、家に入って、靴を脱いだ。一番隅に置く。真ん中には、妹の靴がある。
やっぱり帰ってきてるみたいだ。
「ただいま。」
一応言うと、リビングには、妹がいた。
テレビの前のソファに座っていた。
制服のままだった。
「あれ、帰って来たんだ。また例の家かと思ってたけどね。残念、おかえり。姉ちゃん。」
長い挨拶だな、と思ったけど、わざと言ってるわけじゃないから、
触れないようにして、カバンを部屋に置きに行く。
「あ、アタシお風呂先に入るから、あと、今日帰ってこないってさ。あいつら。」
何を言うにも長い妹に、かるく頷いて、部屋に帰る。
私と妹の部屋はほぼ共通。広い部屋に二人。
二段ベッドで、上が妹、下は私が決まりとなっている。
カバンを置いて、制服をハンガーに掛ける。
部屋着に着替えて、机に向かったところで、妹が部屋に入ってきた。
どうした、とも聞いていないのに、急に喋り始めた。
「風呂に入る道具とりに来ただけ。姉ちゃんさ、机の前に座って何すんの?
勉強したって、学校行かないでしょ?てか、始業式いったの?行かないか。無理だよね。」
「行ったよ。一応。」
「じゃあ、朝一緒に出ればよかったじゃん。なんで早くいったの?近いんだから、一緒にいけるじゃん。
ホントはさぼったんでしょ。学校行った、はいらず帰った。とかでしょ。どうせ。」
下着やらを持っていったあとでも、必要も無く居座る。
自分の学習机に座った。距離は一メートルくらい。
くるくるイスを回して、続ける。
「しょーがないよ、姉ちゃん。アタシも姉ちゃんもまともな家で育ってないんだもん。」
笑いながらいった。
彼女は本当に強かだとおもう。
強かで、私とは対照的に、卑しく、世渡りがうまい。賢い。
交友関係も広いらしい。まるで水のようにどこにでも流れる彼女は名前にもピッタリだ。
彼女の名前は『押野 澪』 おしの りょう 16歳。
私のことをどう思ってるかは、知らないけれど、
私は別に彼女を嫌ってるわけではない。
妹の名前ようやく公開・・。
一話から出てたくせに・・ごめんね。