3-4(了)
「そんなこんなで放課だな」
「変態のお陰で睡眠時間が取れなかったわー。がっでむだわー」
むくりと起き上がり、ぐ、と伸びをする水仙の制服についた埃を美影が丁寧に払ってゆく。ああだこうだと変態チックな発言をしながらも、面倒見が良い四法院美影である。
「柳よ、都筑と五十嵐が遊びに行こうと言っていた。どうだ?」
丁寧に埃を払い終えた後、水仙の横に並び立ちながら、変態…もとい、美影が口に出した。私はどちらでもいいぞ、と足しながら、先に給水塔から降りてゆく。
「今日はアレだなー。バイトだなー。一応働いてやらないとなー」
ぼんやりとした発言を返しながら、梯子の横に立つ。何の気兼ねもなく、飛び下りた。ふわりと、音もなく着地し、水仙はブレザーのポケットに手を入れる。
「鉄壁…だと…? そのスカートは鉄か何かで出来ているのかっ!?」
先に降りたのは先に降りたなりの理由があったらしい。決定的な瞬間を見逃した美影を尻目に、水仙は気だるげに歩き出す。
「仕方ないな。二人にはそう伝えておこう」
残念そうな声を背中に受けながら、階段を下りる。ごめんねー、と感情の篭っているのだか篭っていないのだかわからない謝罪をして、美影と別れた。
知人と別れたその足で、水仙は昇降口へと向かう。水仙は真面目に日々の予習復習をするような柄ではない。よって、鞄など持つだけ無駄なモノ。重いし。
「どこだっけね。思い出すのもめんどーだなー」
制服には不釣り合いの安全靴を取りだし、しっかりと履いてから歩き出す。ホームルームがあるような気がするが、気のせいだろう。無駄に時間を使ってアルバイトに遅刻するわけにもいくまい。
くぁ、と可愛らしく欠伸を噛み殺し、水仙は学び舎を後にした。