4-4(了)
「あグ――――」
「お願いしますよー。教えて貰えないと困るんでー」
ごきん。
「こんなに頼んでもダメですかねー。や、参ったなー」
ぐしゃ。
ばきん。
「あ、あ、あ―――」
「あ、ヒトの言葉でお願いします。翻訳とか私無理ですんで。指とか一本ずつやってみよっかなー」
ごき、ごき、ごき、ごき、ぼきん。
「そろそろ楽になってきました? お願いするのも、骨が折れるんですよねー。あ、折れてるのはお兄さんの方か」
めきっ、めきめきめき。
「しまった。喉やったら喋れないじゃん。ま、いいかー」
ごりごりごり。
「もういいや。めんどくさくなってきたし。
んじゃまあ、
―――――死ねよ」
ごきぃ。
「っと。いやはや、折った折った。骨折り損のくたびれ儲けってねー。あ、使い方違うか」
あっは。
水仙は嗤う。
支部に居た五人の人間は、残らずその生涯を喰われた。何となくの思いつきのまま、何の感傷すら抱かず、殺し切った。
「あ、上泉さんですかー?後片付けをお願いします。場所は――――」
後の処理をクライアントに押しつけながら、水仙は撤収を始める。と言っても、ただこの部屋から出ていくだけだが。
結局わからず仕舞いのターゲットの情報。どこに居るのかなど、クライアントに調べさせれば良い。ただ、手を出しにくい場所に居られては困る。内に、内に、閉じこもってくれれば理想。この警告が上手く作用してくれれば楽になる。まあ、そう簡単にはいかないのだろうが。
電話を切り、ワイシャツの胸ポケットに携帯を入れる。
しかし、もう少しスリルが欲しいものだ。
血沸き肉踊る体験のためならば、面倒事も承りましょう。
自分の命が無価値であるなら、少しでも面白ければそれで勝ち組。
だってそれ、人生楽しいってことでしょう?