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プロローグ

『――世界の終礼――』


 肌を切りつけるような砂嵐。視界は数メートル先もとどかない。

 その男は当てもなくさまよい歩いているようだった。毛布のような布きれを体にまとい、くすんだ包帯を顔中に巻き付けていた。

 砂嵐がわずかに落ちつき、視界がわずかに拡がる。

 男は立ち止まった。目の前に倒れた巨木が見える。その倒木に『悪魔』らしきものが座っていた。

 顔の半分をしめる二つの黒い目。その目の上にそれぞれ角をはやし、口には赤黒くふぞろいの尖った歯がはえている。背中にはコウモリのような翼をもち、その翼はいたるところ破れて、裂けていた。黒く細い体毛は体中覆われているわけではなく、ところどころ禿げて、赤い皮膚をさらけ出している。

『悪魔』は人の頭蓋骨を膝にのせ、黒ずんだ爪で頭蓋骨の表面を削いでいる。足下には人骨が散らばっていた。

 肉片がいくらか削げたのか、爪をなめた。

 何か臭うのか、上を向いた鼻で辺りの臭いを嗅ぎだした。『悪魔』は男に気づいた。


「人間か? いや、我が種族と同じ臭いがする。貴様、何者だ!」

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