桜簪
「でも…寂しいですが、チビゴン太がいますよね。」
「折角櫻子さんに作って貰ったのに…うちも2号が行方不明なんですよ…」
「あらあら…ゴン太くんが好きな子にあげちゃったんですかねえ?」
「かも知れませんね」
「しかし立派な桜ですねえ。」
「はい。江戸時代かららしいですよ。」
「へえ!そうなんですねえ。」
「ゴン太もこの桜が好きで咲くと周りを駆け回っていました。」
「ゴン太くんも虹の橋を渡ってしまいましたねえ…彼方で花見をしていますかね…」
「まあ、佐伯のウチは桜に縁がありますからね。」
「確かご先祖の方はお一人でお子さんを産んでこの家を切り盛りしたんですよね?」
「そうなんですよ。ウチの家宝も桜色の珊瑚の簪なんですよ。」
「へえ!」
「豪傑な方だったみたいですよ。武器にもなるって。あまり大きな声では言えませんが、背中に立派な彫り物もあったみたいなんですよ。」
「あはは」
「今度是非その簪を見せて下さいね!」
○○○○○○○○○○
「どうですか…?」
「…」
「何かリアクションしてよ〜無言1番こえ〜」
「とにかく…」
「ダメ出しなら受け止める覚悟は出来てます…」
「今田中の前だから泣けないっ。家なら鼻水垂れ流して嗚咽が出るほど泣いてたっ!!」
「んがくっくっ」
「切なさと愛しさと心強さが!溢れる想い隠しきれずに!やっぱ凄かったな田中は!私の目に狂いは無かった!今確信した!」
「何か思ってたリアクションと違ったけど有難う。」
俺が高校の時に初めて書いたこの物語を河口さんと再会して思い出していた。
前回登場したゴン太の人間時代のお話でした。
ゴン太とゴン太ママは繋がりが深かったみたいですね。
音子と荒木家は全く関わりないですが…
ゴン太の世界で終わるのかと思いきや、まさかの田中の処女作だったとは…
て事は今まで書いてる話が全部田中作品となる危機が…
書いてるのは私だ!と言いたいですが、私では河口さんを感動させられないかもと弱気になってます…
まあ、今回ずっと重い話だったんで、最後に遊んでしまいました。
時代劇は好きで色々見て来てはいるんですが、いざ書き出すとかなり難しかったです。
暫くは三田さんのネタ位に収めておきます…
それではここまでお読みくださり有難うございました!




