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さくら簪  作者: 水嶋


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7/10

嵐桜

無我が訪ねて来てから次の日、仇討ちの決闘が行われたと噂になっていた。


決闘が行われた場所に行くと奉行所の人間がいた。

正式に届け出されているので、一応仇討ちを成功させた方も一旦は捕縛されるが、その内無罪放免となる。


倒された方は…


やはり無我だった。

遺族に遺髪を届ける約束をしていると告げると、無我の髪を一房切り取って渡してくれた。


それを受け取り、無我に託された場所を確認していた。


○○群△△町…


少し遠いが朝早くに出かければ次の日の夜までには戻れるかと思った。


届け先は女だった。

手紙の中身は見るつもりもないが、無我も俺と同じ様な境遇だったのかも知れないと思った。


浪人姿しか知らないが体格も良く、性格も捻くれた所も無く豪快でサッパリしていて良い奴だった。


身なりを整えれば立派な侍に見えたろう。

もっと違う形でお互い出会いたかった。


明日早くに出かけようと軽く支度をしていたら、戸を叩く音がした。



やって来たのは…



美桜だった。


顔が殴られた様に腫れていた。



「ごめんなさい…もう二度と来るつもりは無かったんだけど…」


「その顔どうしたんだ!?」


「アイツにやられた…この間、朝帰りして…ナオにおんぶされてる姿見た奴がいて…アイツに知られて…」


「そんな!女の顔を殴るなんて!なんて奴だ!」


「顔だけじゃないんだ…身体も…」


「男が好きな女に手をあげるなど!許されるものか!」


「あはは…アイツはね…私の事、金で買った玩具位にしか思ってないんだよ…都合の良い時に抱けるね…」


「そんな!酷い!」


「でもさ、今迄は我慢してたんだけどね…ナオさんに会っちゃって…つい飛び出して来ちゃった…」


「なんで…いつもいつも何も悪く無い美桜さんが傷つけられなくちゃならないんだ…」


「有難う…でも…もう諦めてるから…あの時2人で逃げられ無かった時から…」




その言葉を聞いて、俺はあの時間違っていたんだと思い知らされた。



そう思ったから…



「今度こそ…美桜を救い出す…美桜はここに隠れていて…」



そう言って俺は大小を脇にさして長屋を出た。





○○○○○○○○○○





髪結い床へ向かい、ボサボサの頭を月代に整えて貰った。


古着屋へ行き、侍らしい羽織袴を2着揃えた。


着替えると以前の辰之進…兄上に近い姿になった。



その姿になって美桜の囲われている元締の屋敷に乗り込んだ。


相手は威勢の良いだけの任侠、所詮は喧嘩拳法だ。

此方は実践、中でも殺人剣の示現流が祖だ。

防御無しの一撃必殺で、あっという間に元締含め全て殺した。



まさに血の海と言う言葉通りの光景だった。



返り血は想定していたので、帰りに川で身体は洗い流し、着物は脱ぎ捨て買っておいた着物に着替えた。






美桜を救い出すのは辰之進の姿で居たかった。





○○○○○○○○○○





長屋に着くと美桜に告げた。


「俺はあの時美桜に出来なかった事をやり遂げた。美桜は自由だ。好きな場所に逃げて自由に生きて欲しい。」



「私は…貴方が居ない所に行く気は有りません…」


「私はその内捕らえられて死罪になる。側にいたら美桜も共犯にされてしまう。」


「正興様の側室になった時…何故私に子が出来なかったかお分かりですか?」


「?」


「私は女です。月のもので子が出来たかは分かります。」


「…」


「子が出来たと分かったら、自ら…冷水に浸かったり…水銀を飲んだり…子堕しを隠れてしていました…」


「!?」


「元締と居た時も同じです…」


「何故そんな危険な事を!下手すれば命を落としかねないのに!」


「構わないのです…あなたと添い遂げられないなら…それで命を落としても…あなた以外の子は欲しくないのです…身体は離れていても…あなた以外をこの先も誰も好きにはならないし、必要有りません…」




「俺は…美桜には…」





ガラッ…



そう言いかけた時に長屋の扉が開いた。


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