第44話 意外と…
裂け目の中に入る。
中に入った瞬間その広さに驚いた。僕達が入った学園が保有している裂け目の四あくらい広い。初めて入るSランクの裂け目の大きさに驚いていると、真面そうな方のお兄さんに改めて予定を聞かれた。
「まずは、全員で俺たち二人の戦い方を見て参考にして欲しい。その後、二つのグループに分かれて裂け目の攻略をする。このグループの分け方は、君達が決めてくれ。最後に、ボスと呼ばれるモンスターを倒したら今回の依頼は終わりだ。…俺達は、そう言う認識なんだけど、それで合ってるよね?」
二つのグループに分かれると言うのは今日、学園側から新たな条件として急遽連絡されたらしい。初耳だ。二つグループに分かれると言う物以外は、会長から聞いていた内容と同じだったので、承諾する。何か事情があって急に予定が変わる事もあるからね。仕方ないね。
十分後…
十分ほど歩くと、裂け目内で初めてモンスターと遭遇した。『竜の巣穴』と言う名前通り西洋のドラゴンの様な見た目のモンスターだった。鋭い爪と牙、巨大な体からはゴブリンとは比べ物にならない威圧感を感じる。…少しかっこいいと思ってしまったのは内緒だ。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァぁァァァァァァ!!!」
僕が「ドラゴンかっこいい!」と思っていると、ドラゴンが叫びながら暴れ始めた。
爪と尻尾を使い、
僕達は、あの二人とは少し離れた場所で見ているので、被害はないが、あの攻撃を至近距離で放たれた場合、僕はそれを避けられないと思う。
ヒュンッ
ドラゴン目掛けて魔術が飛んで行く。
まともそうな方のお兄さんが魔術を放った。多分、Bランクの魔術の『アイススピア』だと思う。それにより、ドラゴンの動きが少し鈍った。爬虫類に似てるから体温変化に弱いのだろうか?
「今回は俺がこいつを殺るからしっかり見てて」
そう言ったお兄さんがドラゴンに向かって走って行く。
「ハッ!」
お兄さんが剣を使い硬そうな鱗を切り裂いて行く。しっかりと力を込めたその一撃は、ドラゴンの左腕を断ち切った。しかし、ドラゴンはそれを気にしていない様に自身の尻尾を使い、攻撃をする。
ビュンッ
「クソ…」
お兄さんを狙ったドラゴンは圧倒的なスピードを持った尻尾で薙ぎ払う。
それに当たってしまったお兄さんは、十メートルほど飛ばされた。
………???何であの威力の攻撃で生きてるの?
「フッ!」
ザシュッ
止めを刺すために、首を狙い、振るわれた渾身の一撃がモンスターの命を絶つ。裂け目がモンスターの死骸を吸収するまで結構時間がかかるので血の匂いがキツイ。
「こんな感じだけど…大丈夫かな?」
正直この人がここまで強いと思っていなかった。相方が分かりやすい三下ムーブの様な物をしていたので、てっきりこの人もクソ雑魚なのかと思っていたのにAランクのモンスターを十分ほどで倒すほどとは…関わらない方が良い人もこの強さならば、この人達だけでも裂け目の攻略が出来たのでは無いかと思うほどだ。
何故ここまで強いのか聞いてみた所、どうやらこの人達は、この依頼が無事に終わったらSランクに昇格するみたいだ。それならば、この強さも納得できる。
意外と凄い人だったんだな…
その後、モンスターを三十体ほど倒し、裂け目内の30%の探索が終了したので、宿泊予定のホテルまで歩く。関わりたくは無い人も意外と強かったが、お兄さんの方が強い様だ。明日からは、僕達もあの人達と同じような事をする必要がある。
…そう思うと、少し緊張する。テスト前日の夜くらい緊張する。
僕があのドラゴンの攻撃を受けきれるとは思えないので、僕があのドラゴンと戦う場合は、氷結系と拘束系で拘束して効果力で消し飛ばそう。それ位しないと安心出来ない。今回の人生は老衰で死ぬって決めているのに、こんな所で死にたく無い。
明日はそれ位の事はしようと思う。
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