第42話 依頼
侵攻歴三十四年九月九日
事前準備も終わり、依頼当日。早朝学園に集合し、全員で政府の探索者に関する施設にバスで行く事になった。全員がバスに乗車し、目的地に向け出発する。
一応今回のメンバーを説明しよう。僕と双葉、睦月、雫さん、桃花さん、筋肉《怜君》の六人だ。早朝の為、まだ眠い。朝から元気な雫さんと睦月は凄いと思う。
話を戻そう。今日の施設は大阪の本部を中心に全国に展開している。大阪が中心の理由は、裂け目の個数一位と二位の奈良と京都に近く、インフラも整っているからだ。『日本神聖国裂け目調査機関京都支部』それがこの施設の名前だ。一般的な『探索者協会』とは異なり、国が主導で運営している。流石に長いな…裂け目調査機関と呼ぼう。出発してから結構な時間が経過したが、やっぱりまだ眠い。十分ほど仮眠を取ろう。
30分後…
ユサユサ
「…!?」
体が揺れ、何事かと思ったら双葉に揺らされていた。目的地まであと少しだから起こしてくれたとの事だ。十分だけの予定が三十分も寝てしまった。…まあ睡眠は大事だと言いますし?人の三大欲求だから仕方ないよね?それに僕は成長期だからね?仕方ないよね?だから、双葉君ジト目で見るのを止めてくれないかな?「それはそうだが、寝ながら『眠い』と言うのはどうかと思うぞ」…それは、まあ…確かに
そうこうしている内に施設に着いた。支部なので小さいのかと思っていたが、意外と大きい。中の施設の見学もしてみたいが、今日はこの中の支部長室に用があるのでまた機会があればしようと思う。
「本日午後より、Sランクの裂け目の一つである『竜の巣穴』に入り、先に到着している探索者と協力し、中の調査を四条学園中等部一年生諸君に依頼をする。これは政府からの正式な依頼であり、もし不備の事態になった場合は、我々が責任を取るものとする」
すでに内容は聞いていた為、外面の為だけの依頼が終わり、これから十五分ほどでここを出発し、目的地に向かうので、僕達は急ぎ支部長室から出て、送迎用のバスに向かう。時間に余裕はあるが、何かあった時の為に早歩きでバスに向かう途中、女の人に声を掛けられた。
「貴方が四条蓮ですか?」
「はい。そうですが…」
「とある方がお待ちです。私について来て頂く事は可能でしょうか?」
「ええ……まあ良いですよ」
「ありがとうございます」
この施設内に入れる人が、このタイミングで声を掛けて来たと言う事は、大事な要件なのだろう。双葉達に少し遅れる事を伝えてから、秘書さんについて行く。
女の人に連れられて来た場所は少し遠く、時間は大丈夫か?と心配になる
「君が蓮君かな?ここは、プライベートの為の空間だから楽にして良いよ。今回の依頼は私の独断でね。君たちには大変申し訳ないと思っている。現地の探索者達と協力し、出来るだけ安全を確保してくれ。それと…ありがとう」
…?
急に感謝されたが何の事か分からない。時間が無いので早くして欲しい。こちらが急いでいるのにゆっくりと喋るこの感じ…分かった!校長先生のありがたいお言葉()と同じ感覚だ。退屈なのでそんな事を考えていると、まだ何かある様で男の人が話し始めた。
「伝えたい事はこれで終わり…そうだ!忘れる所だった。君にこれを渡しておかないとね」
そう言って渡されたのは…
「………黒い…弾丸?」
まるで、『闇』その物の様な…暗いと言う表現が似合う漆黒の弾丸。
通常の物とは思えない色と形、そして質感。何を使って作られているんだろう?
「それを君が普段使っている拳銃に入れておきなさい。何時かきっと役に立つから」
…?
何故、拳銃の事を知っているのか?この弾丸は何なのか?何故、僕と話をしたかったのか?など、疑問は尽きないが、まあ貰える物は貰っておこう。この人が言う通り、何かの役に立つかもしれないからね。
その人の用事も終わった様なので、その部屋を出て皆の所に戻る。時計を見ると出発まで五分しかない。まずい!こう言う場所は走ってはダメだと思うので、早歩きでみんなの場所に戻ろう。
僕がバスに着いたのは出発時間の一分前だった。危ない。
先程の部屋…
「よろしかったのですか?」
「何の事かな?」
「彼に例の件を伝える必要は無いと言う事ですか」
「彼に伝えた場合、計画が狂うからね。不確定要素は無くしたい」
「…と言う事は計画は続行と言う事でよろしいですか?」
「あぁその方向で調整してくれ」
「了解しました」
秘書がいなくなったその場には、一人の男が残された
「四条蓮君。これからの世界がどうなるかは君の行動次第だ。私の努力を無駄にしない為にも、精々頑張ってくれたまえ」
式内一
固有
・魔眼100%
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