第39話 教師はクソ
侵攻歴三十四年七月七日
期末テストも終わり、もうすぐ夏休みだ。
部長で実験をした後、部長は「僕は、蓮君じゃないと使えない不良品の魔道具で調子に乗りました」と書かれた物を首に掛け、正座をしていたので、少しは反省したのかな?と思っていたが、「時代は量より質!次は、火力を上げる魔道具を作るぞー!」と言い、新しい魔道具の開発を始めた事で、反省を求めた僕がおかしいのか?と混乱している。
それと、ロマン実現部に僕以外の部員が来た。雫さんだ。…雫さんだ。よりにもよって雫さんだ。何故!彼女がここに来るんだよ!部長も最初は喜んでいたが、雫徐々に素を出し、コスプレをさせられた辺りで、疲れてきたようだった。部長は普段、黒色のダボダボの服を着ていて分かりずらいが、母性の象徴とも言えるアレが相当大きかったようで、別室で着替えていた部長を見た雫さんが、「でっっっっ」と言って驚いていたので、嫌な予感がして、その日は逃げるように早く帰った。案の定、その日は雫さんの欲に火が付いてしまって。結局、部長は三時間も着せ替え人形になったようだ。さすがに部長も疲れていた。巻き込まれなくて良かった~
だが、最近は割り切れたのか、雫さんにさせられた格好のまま二人で何やら悪巧みをしている。その悪巧みの矛先が僕では無い事を切に願う。この二人が組んだ場合、本当に駄目な物が出来る可能性が高い。それに僕は巻き込まれたくない。出来れば双葉で試して欲しい。神様お願いします。
あの二人の事で何かあれば、双葉を生贄にしようと決意した時、石川先生に呼ばれた。
「蓮。放課後、生徒会室に来なさい」
先生はそれだけ言うと、職員室に帰ってしまった。突然の事で意味が分からなかった僕は、双葉と睦月に何の事か聞いてみる事にした。
「俺も呼ばれたぞ。何するんだろうな?」
「知らん」
使えない。まあ僕も知らないんだが…
試しに雫さんにも聞いてみる事にした。何か知っている場合は教えて貰い、先生から話を聞いていない場合も、着せ替え人形三号に「今日の部活休みます」と伝えて貰えるからだ。
「そのお話でしたら、石川先生から聞きましたが…理由までは知りませんわ!」
またか…仕方ない大人しく放課後まで待とう。
放課後…
「それで、何の用でここに来たのかな?」
どうやら、リア充会長も今回の件について知らないらしいので、双葉が代表して説明した。
「なるほど…つまり、当事者には何も伝えておらず、生徒会室を使うと事前連絡もせず、おまけにここに来るのが一番遅い。…そう言う事かな?」
「はい」
会長が大きな溜息をつき、額に青筋を浮かべている。
「報連相が大事だって習わなかったのかな?一般常識が無いのかな?…ああそう言えば、教師って大学で資格取った後、すぐに実習して現場に投入って制度だった様な?なら社会に出た事が無くて、一般的な常識を知らなくても仕方ないかもね。…まあ、それなのに『社会に出たら~』って語ってるのは滑稽だね。自分も社会に出た事無いのに何言ってんのって僕は思うな~」
大変荒ぶっておられる。恐ろしい。
荒々しい者を祭り上げて大人しくして貰うあれ、やった方が良いのかな?その場合、恋愛を司る様になるのだろうか?
そんなクソどうでも良い事を考えている時、生徒会室のドアが開かれ、二人の人物が中に入って来た。一人は、石川先生でもう一人は…学園長!?何故ここに?
「重役出勤ご苦労様です。皆をここに呼び出しておいて、遅れるとは…良い度胸してますね?生徒に召集の理由を告げず、僕にも事前に話さない。常識って知ってます?義務教育からやり直した方が良いんじゃないですか?」
おーっと初めから重めの一撃!リア充会長、最初から本気だー!!これは、このまま決まるのかー!?どう思いますか解説の蓮さん。
えー非常に難しいですね。まず、リア充会長選手は、あくまでこの学園の生徒です。その為、この学園ごと壊すなどの一手が取れない。逆に学園側には、理由さえあればリア充会長選手を退学に出来ます。ですが、教師陣が今回、一般的に駄目な事をしたのは事実、この後の試合運びが気になりますね~
なるほど、つまり武力ではリア充会長選手が上、権力では教師陣が上と言う事でしょうか?
今の会話から、私はそういう関係だと推察しました。力関係は、若干教師陣が有利位ですかね?大差は無いと思います。ですが、だからこそ教師陣は、今回の失態が効きますね。相手が攻めやすい場所を事は悪手です。カウンターを用意しているならそれでもいいですが…無いのなら、このまま負けると思います。
蓮さんそろそろ時間です。
分かりました。では、そろそろ映像を戻しましょうか。実況の蓮と、解説の蓮でお送りしました。
「政府から依頼がありました。九月…つまりは、夏休み明けからですね。貴方たちにはSランクに分類される裂け目を攻略して頂きます。拒否権はありません」
「僕も行かないといけないとか言いませんよね?その場合、美香を守れないので、契約を破棄してこの学園を更地に変えますよ」
え?僕は驚き、リア充会長の方を見る。
ヤバい目がマジだ。あれは、本気でヤルつもりだ。間違いない。
双葉以外の全員も驚いたのか会長の方を見ている。双葉は…何で驚いていないのか分からん。脳内でした適当な解説が現実で起こりそうだなんて。こういう事を『嘘から出たまこと』と言うのだろうか?それにしてもSランクの裂け目か~どんな場所なんだろう?
「心配しなくても、以来の対象はここに集まって貰った一年生です。政府の方でこの学園の今年の一年生は粒ぞろいだと言う話になったようでして…ですので、二年生の貴方は関係ないです」
「では、なぜここでそれを伝えるんですか?一年生の教室で伝えればいいでしょう?」
「今回は、彼らがこの学園にいない事を知る人物は少ない方が良いと判断しました。貴方にこの情報を届けるには、何人かの教職員が必要でしょう?今回は、それすら憚られると言う事です」
「そうですか…彼らの安全は保障されるのですか?」
「今回の一年生が粒ぞろいと言っても、まだ子供です。流石に子供に無理難題を押し付ける様な事はしません。今回の一年生はサポートと言う事になっています。将来有望な彼らに今から経験を積ませておく事が今回の目的です」
「…彼らの自由意思を無視しても?」
「無視したとしてもです。貴方も生徒会長なら知っているでしょう?
Sクラスの卒業生は、調子に乗って死ぬ人が多い。一年生から、本業の活躍を見て、それを糧に成長する。その方が将来有望な芽が育つと判断しました」
「…」
会長は少し不服そうだが、一応納得はしたようだ。
どうやら、僕達はSランクの裂け目の攻略をする事になりそうだ。
…現役の探索者のサポートとして。
裂け目か…葵…いい思い出無いんだよな…
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