第36話 部活動
侵攻歴三十四年六月七日
双葉の言う、会っておいた方が良い人物全員との顔合わせが終わったあの日から五日。僕は今、リア充会長に呼ばれ、生徒会室にいる。
「君は入院してたから、知らないかもと思ってね。先週の月曜日から色々な部活や同好会の見学が始まったから、いろんな所を見て入りたい所があったら、記名済みの申請書を先生に渡してくれたら良いから。別に入りたい所が無かったら無理に入らなくても良いからね」
この学園では、裂け目に関係する部活もある為、一年生の初めての裂け目探索が終わった頃に部活動の勧誘や見学が始まるらしい。どんな部活があるかは、「実際に見て欲しい」と教えて貰えなかった。リア充会長が意外と優しくてイラっとした。
以前から気になっていた事があったので聞いてみた。
「生徒会室で会長以外見ませんけど…会長以外の人は何してるの?」と聞くと、「僕一人で出来る仕事量なのに、他の人が必要なのかな?」と言われた。
実際に見せて貰うと、確かに3~4人で運営する場合は問題ない位の仕事量だった。ただ、それは3人でこの量をする場合で、これを一人で全部するならば…
…チッただの有能かよ!有能に免じて人前での見せつけは許してやろう。
感謝するが良い。「偶には美香に手伝って貰ってるけどね」やはり許さん。
そんなクソどうでも良い事を考えていた。
生徒会室での茶番と、本日最後の授業が終わり、部活の見学をする為に学園内を歩く。運動系、魔術系、趣味系の部活などがあり、運動系だと、前世でもあった弓道や、剣道の様な物もあった。弓道の見学では、体験が出来、やってみた。初めての経験だったが、二十メートル先の的に当たって先生に褒められ、嬉しかった。
そんな感じで見学を楽しんでいると
「そこの君!まだどこの部活に入るか決まってないよね!良かったら、私の部活見て行かない?」
急に声を掛けられたかと思うと体が引きずられる。
この人、意外と力強いな…
こんな意味不明な状況でもあまり驚かなくなってしまった理不尽に慣れた自分に呆れつつ、その人に引きずられる事三分。着いた場所には、ロマン実現部そうでかでかと書かれていた。
「ここは私が部長を務めているロマン実現部の部室だ!少し散らかっているから適当に座ってくれ」
「あの~僕は何でここに連れてこられたんですか?」
「そうだね~強いて言えば勘だよ!」
「勘ですか…」
変な人だな。知り合いに変人が追加されるのか…
変態お嬢様(変態)、見せつけて来るリア充会長(おそらく変態)、筋肉(変態)、押しが強い部長(New)あれ…この中では、この人はまだまともな方なのか?
「所で…君は魔力量は多い方かな?」
「固有が『魔力無限』なので多いと思います」
「そうか!じゃあ君ここの部活に入ってくれないか」
「え?」
「お願い!入って!土下座でも何でもするから!靴舐める位なら全然するから!お願い!」
「いやでも…」
「入ってくれないと嫌なの!嫌!入って!入って!入ってくれないなら泣くからな!君に泣かされたって学校中に言うからな!」
手足をじたばたして人の前でぐずるなんて…恥ずかしくないのだろうか?この人は…美人だから残念だ。こう言う人を残念美人って言うんだろうな…
「分かりましたよ!入ります!入れば良いんでしょ!」
やや自暴自棄になりつつ、少し乱暴に言ったが、この人からすると僕が入ると言う事が嬉しいようだ。目的は、僕の固有だと思うが…
僕の返答を聞いた部長は、余程嬉しいのか表情が明るくなってはしゃいでいる。それを見た僕は、飼い主に遊んで貰っているサモエドを幻視した。
「入ってくれるの?今入ってくれるって言ったよね!言ったからには入らないと許さないよ!」
「入ります!」
「やった~!これで部の取り消しもなくなるし、魔力タンk…新しい部員が入ってくるぞー」
この人、僕の事を魔力タンクって言おうとしたよね!?本当にこの部活に入って良いのだろうか?もう一度考えるか?いや…しかし…
僕がそんな事を考えていると、部長が話し始めた。
「そう言えば、名前を言って無かったね。僕は、講究幻想。ロマンを求める研究者さ!これからよろしくね!四条蓮君」
僕っ娘か~
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講究 幻想
固有
・第六感 S
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