第3話 転生
侵攻歴二十二年 七月十六日
今、この場には八人の大人の男女がいる。
「こりゃスゲーな。モンスターが山ほどいるぞ」
一人の男がそう言った。
「今年に入って何件目だ?まだ原因は分かってないが強い固有持ちが多い年は裂け目からモンスターが溢れて来るって迷信があるんだろ?このままだと三回目の裂け目の氾濫になるんじゃないか?」
「たとえそうなったとしても、蓮だけは俺が必ず守る。四条家の跡取りなのもあるが何と言っても俺の息子だからな。」
一人の男がそう言って準備を始める
「奥さんは守らなくていいのか?」
「あいつは俺に守らせてくれるほど、弱くない。モンスターが来ても自力で何とかするだろ」
「俺もそこは疑っちゃいない。でも、襲ってくるのがモンスターじゃなくて、
人だったらどうだ?悪意を持った人間が、緻密な計画を立て、襲撃したら?
お前の奥さんは自分と子供を守れるのか?」
「なんだお前…あいつを襲う気か?やめとけ、普通に殺されるだけだぞ。」
「確かに。お前の奥さんなら普通に殺してくるな。って俺は襲う気はねえよ。
この辺は嫉妬や目障りだって理由で襲ってくる奴もいるから心配してんだよ。」
周りの人間は、二人の会話に入ろうとしない。
この二人以外は初対面で、尚且つ、先ほどの会話に心当たりがあるからだ
「そろそろ近づいてくるぞ」
男がそう言った時、前方百メートルにモンスターが見えた
「それじゃあ、蓮のために頑張りますか。」
「おま…頑張る理由がそれって…お前は昔からそうだよな。は~こいつのせいでまた俺がお偉いさんに怒られるんだよな~嫌だな~あいつらマジ話長いのに、その話の中身スッカスカだから聞いてる途中で眠くなるんだよ。はー」
「良いじゃねえか、公務員様。国民の血税で給料が払われてるんだから、それ位我慢しろって」
「なんで、こんな奴の担当になったんだっけ。…ああ、そうだ、上司に「君ならできる信じてるぞ。と言うか出来なくても頑張ってくれ!俺はしたくない」って押し付けられたんだ。考えたらムカついて来た…あの糞上司が!血祭りにしてやろうか?」
「そのストレスはモンスターで発散しろよ。
お前が暴れたらこの地域には止められる奴の方が少ないんだから。」
「分かってるよ!まったく誰のせいだと思って」
今回、出てきたモンスターは、鈍足とは言え、会話が長かったので、
十メートルほどまで近づいいた。
「あいつと糞上司の恨み!ここで晴らしてくれるわ!」
そう言って男が突撃する
六人の男女が後に続く
その男の突撃と六人の攻撃でモンスターの二割が死んだ
「あいつ暴れてんな。そんなに上司に不満があるのか?まあいい、俺も暴れますか。」
そう言って男はモンスターを蹂躙していく
自分が、もう一人の男のストレスになっている事は無視して
モンスターの駆逐は男が、参戦してから十分で終わった
あの白い奇妙な空間を出て、どれだけ立ったか分からなくなって来た頃、
ふと強烈な圧迫感を感じた。
それが強くなっていくことに恐怖を覚えた、あぁまた死ぬのか。
あの糞野郎!嘘つきやがって!そう思っていると…ふと、圧迫感がなくなった
目が見えないし、耳も聞こえないが辺りが明るくなったことは分かる。
「奥さん、元気な男の子ですよ。お疲れ様です。抱っこします?」
「お願い」
俺は母親と思われる女性に抱かれた
「おぎゃあああああああああ」
どうやら、あいつの言う通り俺は無事転生したようだ。
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