表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と世界がマワル時  作者: A1n_06
学園編
24/52

第23話 葵の過去2


 僕が諜報要因に、紗智が実験用になったあの日から、紗智はあまり

話さなくなった。


 紗智は気丈に振舞っているが、毎日新しい傷が増え、毎日喉が枯れるまで

叫んでいるのか、声も日に日にガラガラとした物になって行った


「やっぱり俺が変わる。今からでも変わろう」そう言っても

紗智は「ありがとう、お兄ちゃん。でも、紗智が自分で決めたことだから」


そう言って気丈に振舞う。このままでは駄目だ、

そう思っていてもどうにもできない自分が嫌になる。


次の日、俺は、紗智と俺の担当を変えてもらう為、研究者の所に行った。

「やあ!葵君。ちょうどいいタイミングで来たね。いま出来立ての

ソーセージがあるんだけど食べるかい?」


研究者にそう言われ、着席を促される

目の前には、焼いたばかりのパリッと言う音と共に、肉汁が溢れて来そうな、

おいしそうな、ソーセージがある


「じゃあいただきます」


「うんうん。どうぞ召し上がれ」


そう言われ食べたソーセージは見た目道理パリッとしており

ジューシーだった


「おいしいかい?」


「はい、少し独特な風味があるけどおいしいです」


「これを作るのには手間がかかったからね~そう言ってくれると嬉しいよ」


「ところで、君はこの製造工程に興味はないかい?」


「あの香りは、嗅いだことが無かったので少し興味があります」


「…そうかい。ならばついて来てくれたまえ」


そう言われ後についてゆく

最初は燻製させているところを見せられた

少し変な臭いがするがそれ以外は普通のソーセージだ



その後、肉を腸に詰めるの場所を見せられた

あれを見ると少し気分が悪くなる


次に肉をミンチ状にするところを見せられた

あの肉は何の肉だろう?牛や豚にしては形が変だ


そんな事を考えていると

肉の採集場だと言う所に連れてこられた

大分変な臭いがする

おそらくソーセージの独特な臭いの元は此処なのだろう

そう思いながら採集場に入る


そこで見たのは――――――――――――――――――――


「…は?」




壁一面に全身の皮が張られ、歯や臓器で作られたアクセサリーが置かれている

そして、その部屋の中央には肉を叩かれ、切られ、原形が何か分からないほどグチャグチャになり、そこからポーションを掛けられ体が治り、また肉を叩かれ、切られる。その繰り返し。そんな紗智の姿だった








「……え?…は?……紗智?…なんで?…えっ?…」




脳が理解を拒む

あの肉塊が紗智?

は?

イミガワカラナイ


そこで研究者が話しかけてきた


「……紗智…紗智は!」


理解したくない…あれが…あれが…

混乱と動揺の中で俺は()()()()()()()()()一筋の希望にかけて

研究者に聞いた



「ああ!もしかして、紗智君に聞いて来たのかな?


昨日、ようやく調整が終わってね

今の彼女は、ポーションの効果で、どんなことをしても再生する。


今日はその実験さ。本当にどんなことをしても再生するのか、それが分かれば

どう改良すれば良いか見えてくるしね。


ソーセージは、彼女の破片をそのまま廃棄するのも可哀そうだから、

肉をミンチにして、骨を粉々にして混ぜ込み、彼女の腸で詰めた逸品だよ

気に入ってもらえたかな?」




オ˝エ˝ッ






聞いていて吐いてしまった

じゃあアレは俺が食べたあのソーセージは……


オ˝エ˝ッ


その()()が頭をよぎり、また吐いてしまった

研究者はポーションの研究のために紗智にあれをしていると言うのだ


「勿体無い…せっかく作ったのに……」


俺は、吐いたばかりの口を拭い、研究者から見れば、

惨めに映るであろう格好で言った


「紗智を!俺の妹をあそこから出せ!俺ができることは何でもする!

だから早く、紗智をあそこから出してくれ!」


俺の言葉を聞いた研究者は少し考えた後

こう言った


「紗智君をあそこから出せ、か。それは僕の実験を止めろと言うんだね

なら「何でもいい条件を飲むだから早く!」…分かった

葵君、君がこれから先、()()()()()()()()()()()()()、僕の言う通り動くなら、君の言う事を聞いてもいいかな」


「わかった。それでいい。その条件でいいから、早く紗智をあの場所から

解放してくれ」


()()()()だね。葵君」








紗智が解放された

今、紗智は気絶している




部屋に着いた

紗智の呼吸は安定している。このまま何もなければ良い

この時は、そう思っていた


紗智が目を覚ました。


「紗智!これからは、あんな事をしなくて良いようにしたぞ。

あんな場所には行かなくて良い。行かなくて良いんだ…紗智?」



おかしいな?さっきから紗智が全く返事をしない。

紗智の反応がない事を不思議に思いつつ

紗智の体を触って見る。

体温は普通だ。じゃあ何が問題なんだ?そう思っていた時


「あぁ」


「紗智やっと返事してくれたか」


「あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝」


「紗智?おいっ紗智!しっかりしろ!紗智!」


「あっ」


そこで紗智の意識は途絶えた

…その日、紗智は廃人になった



それから、医者に見せたが、「ストレス性の物ですね。」としか言われず

紗智は、綺麗な黒色だった髪も白くなっていき、夜も眠れなくなり、

日に日に衰弱していった



そして俺は俺を責めるようになった


()()早く気付かなかったせいで


()()ここから逃げ出せるほど強くないせいで


()()紗智の兄だったせいで



「………ヒュ…ヒュッ…あ…ああ…あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝」



その日、俺は、俺自身を呪った

自分の鈍臭さと弱さに対して、

憤怒し、憎悪し、嫌悪し、怨恨が募り、

失態を自嘲し、少し冷静になり、また後悔し、絶望した


「…あはっ……あはっ!……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」



その瞬間……いや…紗智の見たあの時から、俺は壊れたのだと思う。

その後の事はよく覚えていない。



……『認識改変』……発動……………




ただ一つ分かるのは、それから、俺が紗智以外の事を、

ほとんど考えなくなった、それだけだ。


研究者

固有

・契約A

・ポーション生成A

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

読者の方が思っているよりモチベ向上になるので、面白いと思ったら

ブクマと☆評価をください。マジでお願いします(強欲)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ