第21話 分岐点
ドスッ
お腹に剣が刺さっている
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
葵が何か言っている
「蓮は…殺した。後は…あい…大地…だけ…す」
そう言って葵が剣をゆっくりと引き抜く、
次は肋骨の間から肺と心臓が突き刺された。
…ああ……また刺されて死ぬのかそう思っていると、 傷が回復し始めた。
なぜこうなっているのか、その原因を知るために 記憶をたどっていると、ある一つの物が思い浮かんだ 。二歳の時にもらった『慈愛のネックレス』、あれには回復の効果があったはず 。
なぜこの状況で死んでいないかが分かった 。
そして、今はもうこれに頼れないことも
これで死んだかと思ったのかそれ以上の追撃は無かった。
葵は今、僕が死んでいると思っている。この場面では奇襲が最善、
そう判断して、僕は葵の心臓に向けて、最近覚えた魔術を放った
「ライトニング」
ライトニングはBクラスの魔術だ
Aランク以上の魔術の大半が広域破壊タイプな為、
この魔術は単体への威力、速度では、全魔術の中でトップクラスだ
習得した事は、双葉君にも言っていない
いわば、初見殺しの奥の手だ
これが決まらなかった場合も考えていたが
どうやら確り当たったらしい。
僕は血生臭い自分の服に辟易しつつ、
三メートルほど先に倒れこむ先の葵に向かって、
…もう、この先、相容れる事は無いであろう友に向かって、
土埃が舞い、血生臭さを感じる、この戦場の中
ゆっくりと…ゆっくりと歩を進めた
〈一之瀬双葉視点〉
蓮が起き上がった
なぜだ?嬉しい事だが、なぜ?と言う疑問が尽きない
あそこまで刺された場合、俺の『高速再生』、最低でも
『再生』が無いと回復ができないはず…
そうして、過去のIFの記憶を漁った
そこで導き出した答えは
「『慈愛のネックレス』…か」
どの世界線でも四条家の当主が、長男の楓にネックレスを渡していた
そうなると、今回の世界線で長男の蓮が持っていてもおかしくない。
そう思い、蓮の方をもう一度見ると、蓮が「ライトニング」を使った。
あれは、俺も聞かされてないし、知らない。つまり今の蓮の切り札。
そんな結論に至った。
ありがたい。これで俺は消耗を気にする事無く戦える。
蓮は葵の方にゆっくりとされど着実に歩いていく。
しかし、その後ろ姿は儚げで、……今にも崩れ落ちそうだった。
〈清水葵視点〉
最悪だ
俺、清水葵はそう思っていた
もう少し注意を向けていれば、そうじゃ無くても、油断せずに
固有を発動していたら……こんな事にはならなかった。
…そう反省しても、意味がない。間一髪心臓への直撃は免れた。
だが、ライトニングを食らい、ガードした腕が焦げ付き、掠っただけの腹の一部が抉れ、肺に穴が開いている。詰み…か。これはもう助からない。そう覚悟した
「なぜ、こんな事をした?僕のせいか?僕があの時、もう少ししっかり話を
聞いて、あの問いに真剣に向き合っていればよかったのか?
教えろ!…教えろよ葵。僕は、四条蓮は、如何すればよかったんだ?」
蓮がそう語りかけてくる。こんな俺にも話しかけてくれた、基本的に優しい人間。今の俺に優しくしてくれたのは、蓮と邏玲匱しか。
あれ?今、オカシカッタヨウナ
「最初に二十分間は援軍は来ないと言ってたけどなんでだ?答えろ」
「俺の認識阻害と隠匿を愛の結界に付与した。それを破るのに1~2つAランクでは、二十分掛かるからだ」
「それを解くことは出来ないのか?」
「できる。今回捕まればどうせ死ぬから今まで使った効果と一緒に解除してやるよ」
そう言って俺は固有を解除した
一つだけ解除できていない感覚があるが大丈夫だろう
そんな事を考えていた、その瞬間……頭に激痛が走った
「があ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝」
その声を聴いて蓮が何か言っているが何も聞こえない
少しして頭痛が収まった
あぁ…ようやく思い出した
…ごめんな、紗智。お兄ちゃん、自分に立てた誓いも、
紗智との約束も守れなさそうだ…
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