第2話プロローグ2
西暦2025年
何もない人生だった
俺、佐藤大我さとうたいがは駅のホームで帰りの電車を待ちながらそんな事を考えていた
地元の小学校に通い、中学も地元。高校では部活を頑張ったが、それでも補欠止まり。大学入学を機に上京したはいいものの、彼女を作ることもせず。
中小企業勤め。そのまま、28になるこの年まで仕事一辺倒、家に帰ってからも、ネットサーフィンくらいしかすることはない。
俺は何のために生まれてきたのだろう。と思いながら
電車を待っていると…
ドスッ!
何が起きた?えっ?
混乱しながら後ろを向くと、綺麗な女性が立っていた。しかし、その手の中には刃物があって…
「は?これどうなって…え?何で…」
「あんたなんか!死んじゃえ!」
ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!
俺が混乱している間も、女は刃物を抜いたり刺したりを繰り返している。
「あんたなんか!………………え?」
その女は、ようやく人違いに気が付いた。
そして、今更になって全身の色んな場所に強烈な痛みが襲って来た。腹の中が焼けるような。脳みそが沸騰するような。そんな痛みが
「があ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い全身を強烈な痛みが襲う
「なんで…その後ろ姿は……アイツじゃ……じゃあ私は……待って違…」
女が困惑している。俺の体は全身が冷えてきてもうすぐ死ぬことが分かる。
なんで!俺なんだよ。まだ何もしてないのに、まだ何もできてないのに!
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
段々と手と足の指先が冷たく動かなくなって来た
あぁもう死ぬんだと思ったら今までの出来事が走馬灯のように流れてきて、今更だけど親父とお袋はこんな俺でも愛していてくれた事が分かって、それなのに親より先に死んでしまう親不孝者でごめん。そう思いながら俺は俺の体を揺らす女に看取られて
静かに息を引き取った
あれからどの位の時間がたったのだろう。殺されてから100年かもしれない。もしくは、まだ一分かもしれない時間が分からなかった。
そして、自身の周りに意識を集中させると俺は今動けないことが分かった。
少しパニックになり慌てて辺りを見渡すと、どうやら俺は捕らえられているらしい
よく分からない奇妙な白い空間に
その白い空間には何もなかった
厳密にはナニカがいたが、それ以外は何も無かった
「やぁ、おはよう。で、いいのかな、突然だけど君には現代?異世界?
うーん…まあ並行世界が一番近いか、に転生してもらいます。」
ナニカが話し始めた、妙にハイテンションだ
「自己紹介がまだだったかな?僕は、@・::。
君が今から行く世界の…………神様?みたいな物だよ。…まあいいか。
一先ず、君がこれから行く世界には、決まった運命がある。
その運命を変えられる可能性があるのは、現状、これからその世界に行く君と、あと一人、その他に、その世界の例外が三人、計五人しかいない。
その内一人は、その世界の人だけど、結構強力な神の加護を持っている。
まぁそいつ自身が使い物にならないから意味が無いけどねけどね。
君を含めた五人の中の一人は、神を殺せる力があったんだけど…もう死んじゃったから実質三人だね。君たちの世界で言うなら…ハードモードだ」
神と名乗ったナニカは、ペラペラと喋っている
何故か分からないが、こいつの声を聴くと、気持ち悪い
「君は好きに生きていい。その世界の運命に抗ってもいいし、何も行動せず、
その運命が来るまで自由気ままに生きてもいい。これは、実験だからね。
加護を持たない転生者がいると、この世界にどう影響してくるのか?
彼らはどうするのか?死の直前の影響で、生きたいと強く願う転生者がどう生きるのか?
君の未来の先に待っているのは、世界にとっての絶望か?はたまた希望か?
好奇心が刺激されるんだ!君の運命は他の世界の魂だからか、僕や君が行く世界の神さえ完璧には、見えない!
君の生き死には、すべて君の行動次第だ。喜劇になることを期待しているよ」
ナニカは言いたいことは言ったのか、何やら作業をしている
(待ってくれ転生とは何のことだ、ネット小説の話か、
そもそもここはどこなんだ)
そう考え喋ろうとして違和感を覚えた
(喋れない?いやそもそも口がない!?)
「ん?あぁ人は、その状態じゃ喋れなかったね、あと転生は君が想像している物であっていると思うよ、僕に何か伝えたかったら、聞きたいことを考えればいいから」
ナニカがそういった
(これでいいのか)
「そうそうそんな感じ、で質問はあるかな?」
(転生する場所と時間と文明は?)
「場所は、日本こっちだと神聖国が付くけどね、時間は侵攻歴22年、西暦換算だと2040年くらいかな。
でも現代日本と文明はあまり変わらない、侵攻歴と付く様に約20年前にできた裂け目から出てくるモンスターの対処に手間取ったり、モンスターを倒すと出てくる魔石をエネルギーとして使えるかの研究をしてたりしたからね」
(転生する前の体の持ち主はどうなる?両親はどんな人だ?)
「前の体の持ち主の心配はいらないよ。そこは君の両親の運命をいじって、本来の第一子の三年前に君が生まれるようにしたから。両親はいい人だよ、友人の為に命を張れるくらいの善人だね、君が生まれることも祝福してくれると思うよ」
(家庭環境は?スキルや魔法はあるのか?)
「母方の祖父が名家の当主で、君の母親以外の子供が、第一次侵攻で死んでしまっているから君はその家の跡取りだね。父方の祖父母や兄弟も第一次侵攻や第二次侵攻で死んでいる。
魔法じゃなくて魔術があって、魔力を持っている人は誰でも使える。
スキルじゃないけど固有がある、固有はほかの人と同じものになる可能性もある。魔術はS~Fの七段階、固有はS~Dの五段階ある。
魔力は人類全体の八割が持っている。
なんで八割かと言うと、最初に裂け目が出来た時から魔力は使えたんだけど、
その時は、全人口の1割くらいしか使えなくて使えない人の九割が死んで、
裂け目が出来てから生まれた子供には必ず魔力があるから。
全体の人口も侵攻前の三割まで回復したからね。あぁそろそろ時間だ。
次の質問で最後だよ」
ナニカは、そう言ってほほ笑んだ
(じゃあ最後に一つ、お前は一体何なんだ?)
そう聞くとナニカは口が裂けたような、禍々しい笑みを浮かべ言った
「観測者であり、敵対者。
じゃあね、君とのおしゃべりは楽しかったよ。良い転生ライフを」
こうして俺は白い空間を後にした
読者の方が思っているよりモチベ向上になるので、面白いと思ったら
ブクマと☆評価をください。マジでお願いします(強欲)