第1話プロローグ1
白いヴァージンロード、年配の牧師様。
私達は、挙式する為に礼拝堂にいる。
私の参列者は友達のみで家族はいない。
もう全員死んでしまった。でも、私はもう後悔しない。
これからの自分の人生をしっかり生きてこそお兄ちゃんへの弔いになると思うから
「新郎 。あなたはここにいる を
病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、
妻として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい」
「新婦 。あなたはここにいる を
病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、
夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「はい」
「新郎 。あなたは を妻とし、
健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、
富める時も、貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い
その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい」
「新婦 。あなたは を夫とし、
健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、
富める時も、貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い
その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい」
「新郎 。あなたはここにいる を
悲しみ深い時も、喜びに充ちた時も、共に過ごし、
愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい」
「新婦 。あなたもまたここにいる を
悲しみ深い時も、喜びに充ちた時も、
共に過ごし、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい」
グローブを外すと、彼の左手によって私の左手が支えられる
肘を九十度にする事を意識しつつ、右手にも気を付ける
私の左手の薬指にダイヤモンドの指輪が嵌められる
ベールが上がり始め、視界がクリアになってくる。
それと同時に私の視線が彼の胸の高さになる位腰を落とし、首を少し曲げる。
彼がベールを上げ終わり、私が姿勢を戻す。
彼が一歩近づき、肘に手を添えられる。顔を少し上げ、その後彼にリードされる。
チュッ
少しすると、彼の顔が離れる。
緊張してしまい、つい変な事を口走ってしまう。
「ねえ…初夜はどうする?」
「ふぇ?」
その言葉が予想外だったのか…彼は、すごく変な顔をしている
「ふふっ」
「冗談?それとも本気?」
「冗談よ。その話は…帰ってからね」
「これからの生活で尻に敷かれる未来が見えたよ…」
挙式が終わり、鐘を鳴らす。
カーン カーン カーン
鐘の綺麗な音色だ。
視線を感じ、辺りを見渡すと、誰かがこちらを見ているようだ。
あれは…お兄…ちゃん?あれ?見間違いだったのかな?
お兄ちゃんが生きてたら…彼との結婚を祝ってくれたのかな?
祝ってくれると嬉しいな
挙式が終わり、披露宴が始まる。
今更だが、私が結婚したと言う実感が湧いて来る。
これを言うのは私の自己満足の為だと思う。それでも、例えこの言葉が届かないとしても、この言葉を言いたい。
「お兄ちゃん。いつも守ってくれて、いつも支えてくれてありがとう。これから私は彼と暮らします。だから…だから安心して。私は幸せになるから!誰よりも幸せになるから!お兄ちゃんに自慢できるような…そんな生活を送るから。あの世で待ってて、いっぱい!いっぱい!自慢してあげるから…今までありがとう。
それと…さようなら」
一瞬だけ、本当に一瞬だけ、お兄ちゃんが私に手を振っているのが見えた。
嬉しくて、少し涙が出てしまった。それに気付いたのか、彼が私の方に近付く。
「目が赤いよ…大丈夫?」
「大丈夫!それより…これからの人生この世の誰よりも幸せにしてね」
「もちろん!」
私達は披露宴の会場に向かう。
私と彼の間を温かい風が吹く、祝福されているようで嬉しくなった。
良し!がんばるぞ~お兄ちゃんにあの世でいっぱい自慢してやるんだから
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