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5話 「魔法!まほーう!」

 



『では先程も少しだけ説明した「魔法」について、詳しく説明しましょう。魔法とは、魔力を使って様々な事象を起こします。と言うと、あまり感覚が掴みづらいかもしれませんが……ルルテさんの場合、今現在も魔法を使っているのですよ』


「え?わたしが?」


『人魂の身体は魔力によって維持されています。なので、ルルテさんは魔力を消費してその青い炎の身体を維持する魔法を発動している、と言えるのです』


「へー……」


 そう言われても、さっきまで魔法のまの字も知らなかったルルテにはよく分からなかった。

 魔法を今も発動しているという感覚もない。


 いまいちピンときていなさそうなルルテの様子に、ダンジョンコアは戸惑い気味に点滅した。


『うーん……少し分かりづらかったですね。えぇと……魔法は「魔力を使う感覚」さえ掴めればイメージで発動することができるので、ルルテさんも魔法を使っている自覚さえ持てれば他の魔法も使えるようになると思うんですよね……ルルテさん、魔力を食べたときの感覚は覚えていますか?』


「うん」


 長い間空白で穴の空いていた場所に、何かが入り込んできて埋まっていく感覚。いっぱいいっぱいに押し広げられて少し苦しい、そんな感覚は今でもルルテの真ん中あたりに残っている。


「まだあるよ」


『それが「魔力」です。魔力の自覚ができているなら、あとはそれを消費する感覚と、「魔法を発動する」というイメージですね』


「うーん……」


 消費、しょうひ……は、よくわからないが、先程よりも満腹で苦しい感じが少なくなっているような気はする。


『魔力の消費には……そうですね……ではルルテさん、身体を大きくしたり、形を変えたりすることはできますか?』


「えーと……ふん!」


 ルルテは胸を張るようにぐっと力を入れてみた。


『あ、できてますいい感じです!その状態で魔力を意識してみてください』


「ぬぅ……」


 ぐぐ、と少しだけルルテの炎が膨張する。


 ルルテの中にある魔力らしきものを意識して力を入れ続けていると、少しずつだが、それが減って小さくなっているような気がする。


「なんか、ちょっと、小さくなってる感じがする!」


『ルルテさんの身体は魔力で維持されているので、その形状を変えようとすれば魔力消費が激しくなるのです。ルルテさん、これが魔力を消費する、魔法を使う感覚ですよ』


 ダンジョンコアは得意げにピカーと光る。


 力を入れていると疲れてきたルルテは、力を抜くとしょんとひと回り小さくなった。

 ふぅ、と一息ついてからダンジョンコアに尋ねる。


「それで……魔法の感覚?は、わかったけど……どうやって魔法で戦うの?」


『いい質問です。先程も説明した通り、実は魔法は魔力とイメージさえあれば大抵のことはできてしまいます。ですが魔法のイメージはかなり鮮明でないと難しく、先程のような種族としての本能に近い魔法や簡単な魔法でない限り……特に攻撃魔法などは普段とは違う行為なので自力ではイメージが難しいのです……そこで!』


「そこで?」


『魔法陣というものを使います!』


「じん?」


 つまり、魔法をイメージするのが難しいから、「魔法陣」というものを使う、ということだろうか。


『魔法陣とは、魔法の発動イメージを助けるためのものです。例えば、水を出したいとしましょう。「水」を表す雫の形の模様を、魔力を使って目の前に描くように意識して……』


 ずず、と空中に模様が浮かび上がってくる。それは雫の形を作ると輝き出し、一瞬強く光ると水の塊に姿を変えた。


 バシャン、と水が落ちる。


「おぉー……」


『……こんな感じです。こめる魔力の量を調整することで威力を調節したり……あとは複数の模様を組み合わせて複雑な魔法を使ったり……あくまでも補助的なものなので、同じ模様を描けば同じ魔法が出るということでもないのですが、魔法陣を覚えれば魔法の発動はかなり簡単になります』


「わたしもその、書くやつできるの?」


『魔力を消費する感覚は理解できているので、ルルテさんもすぐにできるようになると思いますよ』


 魔法陣。なんかカッコイイ!


 そう思ったルルテはぐっと意識を集中させて空中に絵を描こうとしてみる。


 さっきの、体の中にある魔力みたいなものを、指先から出しながら絵を描く感じで…………

 ふにゃ、とルルテの前に線が現れる。


「むむ」


 唸りながらなんとか線を描き、完成したのはぐにゃぐにゃに歪んだ円だった。


 ぼやぁと弱く光るとほんの一滴、水が垂れた。


「むずかしい……」


『……初めてで線が書けるなんて、すごいことですよルルテさん。きっと練習すればもっと上手になれます!』


 ダンジョンコアがピカピカと光って褒めてくれる。


 ルルテは照れくさそうにふよふよと体を揺らした。


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