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神の名を求めて  作者: ササン木
神獣編
6/49

街の不穏な空気




―――次の日、リトはいつも通りサーカスの練習に励んでいた。

そのとき、団長のドンに呼び出される。


「お前は毎日よく頑張ってくれているな。入ったばかりで辛いことも多いだろう。だから――今日は久しぶりに、家に帰ってもいいぞ。きっとご両親もお前のことを心配しているだろう」


その言葉に、リトの胸が一気に熱くなった。


「……ほんとに、帰ってもいいんですか……!ありがとうございますっ!」


心からの笑顔でそう言って、リトは家へと向かった。


しかし――。


昼過ぎに帰ってみても、家には誰の姿もなかった。


「……あれ? まだ帰ってきてないのかな。お母さん、いつもこの時間には家にいるはずなんだけど……。買い物かな?」


軽く首をかしげながらも、どこか不安が胸の奥をかすめた。


1時間、2時間……待っても誰も帰ってこなかった。


「……なんか、変だな」


気になってヒロがいる図書館へと向かう。


「ヒロー!久しぶり!」


「おお、久しぶりだな。今は忙しいのに、外に出してもらえたんだな」


「うん、団長が『家に帰れば?』って言ってくれて。でも……家に誰もいなかったの」


「買い物とかじゃないか?わざわざ来なくても……」


「お父さんは仕事だけど……お母さん、もう一週間くらい帰ってきてないの。お父さんに聞いても『すぐ帰ってくるよ』って、それだけ……。あんまりにも軽くて、心配してるの、私だけみたいで……」


言葉の最後は、少し震えていた。


「……それは心配だな。さすがに様子がおかしいよ。……でも、大丈夫。なんとかなるよ」


ヒロの励ましに、リトは小さくうなずくしかなかった。


けれど――その“なんとかなる”は、儚くも崩れ去る。


その日の夕方。


ヒロのもとに、ひどく焦った様子の老人がやってきた。


「君!リトと一緒にいた子だね? リトはどこだ!? 急がないと……!」


話を聞いたヒロの顔が、真っ青になる。


そしてリトが居る、サーカスの所へと走った。その途中―


「号外ー!号外ー!ほら、ほら君も見て行きなよ!」

新聞売りの男がヒロに話しかけた。


「す、すみません!今急いでいるので!」

ヒロは無視していこうとしたが、強引に腕を掴まれた


「あの、ジャポンの国王が変わったんだよ??」


「そんな国知らないですよ!」


「ジャポンは世界で1番歴史がある古い国さ。

簡単に言えば、エンペラー!」


「はぁ、そうですか、先急いでいるのですみません。」


「噂では、王国丸々一個が、破壊されたらしいよ?

国民もみんな死んじゃってなぁ、犯人はまだ見つかっていないらしいぜ⋯」


「それは、ひどいですね!じゃあまた」


「号外ー!号外ー!」


道中何かあったが、やっとリトの元へと着いた。

そして、ヒロはリトを呼びこう言った


「リト!!! お母さんが……水死体で見つかったって……!!」


その言葉を聞いた瞬間、世界の色が消えた。


「……え?」


何を言われているのか分からなかった。

頭が真っ白になった。

息ができなかった。

目の前の光景も、音も、ただ遠ざかっていくようで――


リトは、その場で倒れ、意識を失った。


目を覚ましたのは次の日の朝。

布団の中で、静かに目を開けたとき、もう涙は出なかった。出し尽くしてしまったのだろう。

けれど、胸の奥にぽっかりと空いた穴は、消えることはなかった。


ドンは何も言わず、そっとリトを家へ帰した。


家に戻ったリトのもとへ、ヒロとあの老人が訪ねてきた。

老人の名はハタ。母の親しい知人だった。


空気は沈みきっていた。誰も言葉を発せず、ただ重い沈黙が続く。


けれど、そんな空気を切り裂くように、リトが顔を上げた。


涙ではない、怒りと決意に満ちた瞳で――


「……絶対に、犯人を見つけてやる。ヒロ、分かった? 絶対に、絶対に……お母さんの仇を取る!」


その言葉に、ヒロは一瞬、息を呑んだ。


リトの声には、悲しみを超えた「願い」がこもっていた。

愛する母を奪われた少女の、強くて脆くて、でも確かな――生きる力が。


リトの決意に、ヒロは何も言えなかった。


ただ、握りこぶしを固く握るその小さな背中を、そっと見つめるしかできなかった。


「……リトちゃん」


ハタが、静かに声をかける。


「お母さんのこと……話しても、いいかのう?」


リトはゆっくりと頷いた。

その顔には、もう涙はなかった。けれど、唇は噛み締められ、指は震えていた。


「ワシが見つけたときには、もう……海水で……面影が分からんほどじゃった。けれど、胸に抱えていたペンダントが――君との家族写真が入っていた、それで、すぐに分かったんじゃ」


ハタの手の中には、小さな銀のペンダントがあった。

潮に焼けて、少しだけ黒ずんでいたけれど、確かに、それは母がいつも首にかけていたものだった。


リトは手を伸ばし、それを手に取る。


写真の中には、笑顔の三人がいた。

自分と、父と、そして――あの、優しかった母の顔があった。


「……どうして……どうして、こんなことに……」


リトは震える声でそう言い、ペンダントを胸に抱きしめた。


「わかってる、今さら泣いても戻ってこないって……でも……でも……!」


ぐっと目を閉じ、歯を食いしばる。


「お母さんは、あの日、どこに行ったの……? なんで、港に……」


「それが、ワシにもわからんのじゃ」


ハタの顔も、苦しそうだった。


「最後に見かけたのは、一週間ほど前。何かを言いかけて――やめたような、そんな様子だった。気になることがあったんじゃろうが……」


リトは黙って、じっとペンダントを見つめていた。


「……港の方に行くの、見た人はいませんか?」


「……実はな、その日……同じように姿を消した人間が、何人かおったんじゃ」


ヒロが顔を上げた。


「え? 他にも……?」


「町の若い連中の親御さんも、その頃に失踪してな。最近戻ってきたんじゃが――どこか、様子が変での。痩せ細って、目も焦点が合わず、まるで抜け殻のようであったらしい」


「まさか……お母さんも、その何かに巻き込まれたのか……?」


リトはぎゅっとペンダントを握りしめた。


「……教えて。何があったの。何が、みんなをあんな目に遭わせてるの?」


ハタは、少し考え込むようにして、そして静かに口を開いた。


「――この町では、毎月第2月曜日の夜、港で“大人たちだけの集まり”があるという噂があるんじゃ。誰が始めたのかは知らん。ただ、それに参加した者は、なぜか皆――記憶が曖昧で、帰ってくると……どこか、おかしくなっておる」


「お母さんは……その集まりに?」


「断言はできん。けれど、可能性は高い」


リトは、拳を握りしめたまま、顔を上げた。


「ヒロ、ハタさん……お願い。私に力を貸して。お母さんがなぜ殺されたのか、絶対に突き止めたい。誰がこんなことをしたのか……絶対に許さない。お母さんのために……私は、戦う」


その瞳には、もう迷いはなかった。

たった一人、家族を失った少女の――けれど、その想いは世界を変えるほど、強く、真っ直ぐだった。


ヒロは、ゆっくりとうなずいた。


「……もちろん。一緒にやろう。リト、お前一人に背負わせないよ」


ハタも、静かに頷いた。


「ワシにできることがあれば、なんでもするぞ」


そうして、三人は――

まだ見ぬ真実を暴くために、動き始めた。


そして、リトの心には、ずっと消えない言葉が残っていた。


「おかあさん、待ってて。私は、あなたの真実を見つけるから――」


「ワシが見つけた時にはもう海水の影響で面影もなかった、あの家族の写真が入ったペンダントで分かったよ。死亡推定時刻は一週間前ぐらいかの、、」


「なるほどな。その時ら辺にお母さんはなんか変なことでもしてなかったか?」


「なにもしていないと思うけど、、、」


「しかし、何故海に行っていたのか気がかりじゃな、、」


「街の人に聞いてみよう。なにかわかるかもしれない。」

そうして3人は街に出てみた


すると、3人組ぐらいの若い集団が居た

聞いてみると、その人達の親も一週間前ぐらいに行方不明になってつい最近帰ってきたという。しかし、帰ってきたのは別人かのように変わった姿であったらしい。痩せ細っており、目も虚ろ虚ろしていたらしい、


リトのお母さんと似たような境遇でありそうだ。聞き込みを続けていると町長に会えた


とても困った顔をしていて聞いてみると、毎月の第2月曜日ら辺に港に大人が集まって、変なパーティーをしている。といった目撃情報が多いそうだ。しかも、みんな目の焦点が合ってなくて怖かったという。


そうして、3人はこの街に不可解な出来事が起きていることを確信した。そして、リトのお母さんもそれの被害者なのだろう。


「なにか、その人たちに共通点がないか調べよう。」


そうして調べていくと、みんなはその前日にドンのサーカスを見に行っていることが分かった。


「共通点はざっと「大人だけ」なのと「前日にサーカスを見ている」「目が変」の3つぐらいかのう。」


「つまり、ドンのサーカスを見てからみんな様子が変になったってことだな。」


「ま、まだわかんないでしょ!?」

リトは声を少し荒げて言った。まるでドンをかばっているかのようだった。


「あ、ご、ごめん。」


「ま、まぁ、犯人の候補には入れておこうか」

ヒロはリトの精神状態を気にしていた、


そうしてリトはその夜サーカスに戻った


「今日はハンバーグ!!おいしそー」

と、リトが嬉しがって食べていると団員のニルの声が聞こえた

サーカス団に務めて3年になるという


「けっ、アイツだけいいの食べやがって」

「ドンのお気に入りはさぞ楽しいんだろうな」

「あいつといい、()()といい、ほんとずるいよな、、」


「ほんとそうだぜ。俺らも()()なら特別になれたのにな、」


「なにはなしてるのー?」

と、言うもばつが悪いようにみんなどこかへ行ってしまった


モヤモヤするなぁ、最近はみんなに避けられてる気がするし、なにか悪いことでもしたのかな 

少しでもこの拙い文章を「面白い!」「続きが読みたい!」と思って頂ければぜひ星を付けてたり、ブックマークなどして貰えると作者が泣いて喜びます感想もいっぱい待ってます\^^/

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