クリスタル
アリメカ大陸に位置している「天地五大国」
風の国・唯一生物兵器「四影」を持たない、五大国の中立となる国。
そんな国が、戦争を止めるべく、今も工夫を重ねていた。
謎の兵士「エレナ―」は、名防省から来た同い年ほどの少年ヒロとネルに懇願をした
「あなた達なら、きっと戦争を止めてくれるでしょう」
必死の願いを受け、ヒロとネルはこの風の国に残ることとした
「とりあえず、この顔を隠さなきゃじゃないか?俺らは一応この国に居ちゃいけないんだから」
「そ、そうですね!では、鎧を持ってきますね。ここで待っててください!」
エレナ―はそう言うと、お城の方へと向かった
「おいおい…あいつ城の方へ行ったぞ?どう考えても、一般人の子供が入れる場所じゃないだろ?」
「うん…何か怪しいな…あの子供。なぜか、戦争のことも知っていたし、四影のことなんてそう誰もが知っていることじゃないだろ?」
エレナ―は堂々とお城の中を歩いていた。王様の前も関係なく歩いていた
すると、王様がエレナ―に声をかけた
「おぉ!エレナ―よ。アルとイルを見なかったか?侵入者を外に追い出してから時間が経っているのだが、なかなか帰ってこないのでな…」
「ん?分からないけど、どっか行ってるんじゃない?」
「あぁ、私もそう思っていたが、やはりそうか…
ところで、この後時間はあるか?そろそろ五大国間の戦争が本格化してきてな…作戦を立てねばならん」
「ごめん…この後は、予定があるんだ」
「そうか…遅くなるのではないぞ」
少年は、部屋を後にし鎧を手に取り、ヒロたちの元へと帰った。
「いやー!重かったよー、さぁ、早く着てくれ!」
「こんなの初めて着たよ。重いし、ゴツゴツしているなぁ」
「逆に、動きづらそうだと思うんだけどな」
「まぁまぁ、顔を隠すためにもしょうがないって!それで、戦争のことなんだけど…」
と、エレナ―が話をしようとした時。
――明らかに不自然なほど強大な名力を持った者が風の国に降り立った気配がした
「おやおや…No,12を仲間にした時の国じゃないか…」
「この国は、唯一生物兵器どもを受け取らなかった国だ…私が手間暇かけて作ったというのにな…」
二人は、明らかにこの世の人物では無かった。
「まぁ、いい。いずれこの国も、ほかの四か国も滅ぼすのだからな…」
「ルシファー様の意向だ…しかし、なぜ今この国に飛ばせたのだ…?この国にはもう用などないだろう?」
二人は、ルシファーという人物の命令でここにいるらしい。
「なんだお前ら!!ここに何しに来た!!」
ヒロは、直感的にヨルが言っていた、強大な力を持った軍団がこいつらということが分かった
「ん~?なぜあの兵士からは名力の反応がないんだ?分かるかプルーフ?」
「さっぱりだな…まるで、Sネームを持たないようだ…」
「もしかして、ルシファー様が言っていたヒロという少年はあいつなんじゃないかな?」
「そーだな。聞いてみる価値はあるぞ?」
二人は、ヒロ達の方へ視線を戻した
「俺がヒロだ!!なんか文句あんのか!!」
ヒロは、謎の二人に堂々と自分の名前を叫んだ
「おい、セキスイ?どっちが行く?」
「俺が行くに決まってんだろ?」
そう、二人が意味深に会話をした、次の瞬間――
二人のうちの片方が、ヒロの方へと突っ込んできた。そのまま、目にもとまらぬ速さで
ヒロの腕を千切ったかと思われた
「おや…確実に腕を捥いだと思ったが…なんだ、その腕は…!」
「あぶねぇな…ヒロ!しっかり、あいつの動きを見ろ!」
ヒロの右腕に青龍が出てきていた。青龍は、攻撃を受け流していた
「あ、ありがとうな…青龍…!あいつら、見た目以上にやべぇやつらだぞ!」
「当たり前だ!あいつらの名力は3000を超えてやがる!」
「名力に、数値があるのか?」
「あぁ、あの神と崇められるほどのGネームでも2000ほどだ。あいつらは、それ以上だぜ…!」
「はぁ?!Gネームを超えるってそんなことあんのかよ…!」
「あぁ…はっきり言って俺らに勝ち目はねぇぜ…逃げるか、死かだ。」
ヒロは、ネルとエレナ―を抱え一目散に逃げだした
「おや…私たちから逃げられるとでも思っているのか?」
すると、筋肉ムキムキの大男は、体の二倍はあるような大きな斧を振り上げた
「死ね!《大地斬》!!」
プルーフが、振り下ろした瞬間、地面には大きな亀裂が入っていた。しかし、攻撃はヒロ達の目の前で消えていた
「おや?私の攻撃が防がれるとは…なかなかやるようだな小僧共」
大男の攻撃はある者によって防がれていた。そいつは、ヒロ達の前に立ち、攻撃を受け止めていた
そして、男はこう言った
「大丈夫ですか?ヒロ様!!」
「クリスタルか…!!よくやった!!」
ヒロは嬉しそうに、男に抱き着いた
「私の使命はヒロ様を守ることですから!遅くなってしまいました…」
突如として出てきた、謎の男にネルは戸惑っていた
「おいおい…?誰なんだあんた??」
「ヒロ様のお友達様ですか!申し遅れました。
私は今は無きジャポンの騎士団長をしていたクリスタルと申します!」
男の名は、クリスタルというらしい。クリスタルは不敵な笑みを浮かべながら自己紹介をした
「そうか…なんか、俺はあんたを見たのは初めてじゃない気がするぜ…?」
「そうですね…君とヒロ王子とは、あの日。レーテルの刑務所に捕まった二人を助けましたね」
「レーテルって、ケイと戦った国か!通りで見たことがある気がしたんだよ!」
「覚えていてくださり、光栄です。ところで、今はなぜこんなことに…!?」
クリスタルが先ほどの攻撃の主を見た
「お前らを殺しに来たんだよ!」
「待てプルーフ!!あの少年は生きて連れて帰るだろう!ルシファー様との約束を忘れたのか?」
「ルシファー…!!??」
クリスタルはその言葉に異様に反応した
「お前ら、ルシファーの手下か?」その声はとても低く、先程までの人物とは全くの別人に思えた。
しかし、その言葉に敵の二人は気にしていないようだった
「そんなことはどうでもいい!それより、俺の攻撃を受け止めたようだったな?
こんな屈辱は初めてだ!!やっぱりお前らをぶっ殺す!!」
というと、プルーフは巨体からは考えられないようなスピードでヒロ達に近づいた
「お前ら…ルシファーによろしく言っとけ…」
クリスタルはそう呟いた。その瞬間、プルーフの動きは空中で止まった。
「!?プルーフに何をした!?」
男が呼びかけるが、プルーフが動く気配は全くない。まるでプルーフだけ時が止められたような完全な静止だった。
「お前もこうなりたいのか…?」
「な、なにをした!?プルーフへかけた能力を解け!」
「今のその男の周りの空間の時間を止めた…そいつが動くことは永遠に無いよ…」
「なんだその能力は…!!プルーフ!もしあの技をしていれば防げていたのかもしれないのに…」
――ピクッ
「何…!?」
クリスタルは、今プルーフの右手が動いたかのように見えた
「間に合っていたのか!プルーフ!」
「ウガァァアアア!!!!」
プルーフは斧を振り回しながら暴れた。
「ど、どうやって私の、スペースタイムを解除した…!?」
「この技はできるだけ出したくなったのだがな…我が虚無の力の前に全ての能力は無効化される!!身体能力も貴様らを優に超えているぞ!死ぬがいい!虚無の斧!!!!」
プルーフは斧を振り回した。その一振りが、山を切り、谷を切り、空気までも切り刻んでいた
その光景に、ヒロ達はおびえていた。しかし、クリスタルだけは表情一つ変えていなかった
「お前が戦っている相手は…神だぞ?そんなもので倒せると思っているのか??
時牢!!」
クリスタルはヒロ達の周りにバリアのようなものを張った
「クリスタル!!この風の国も守ってほしいんだ!」
「了解しました。停滞世界!!」
その時、プルーフの攻撃は前へ全く飛ばなくなった。それどころか、斧すら振れないくらい、「何か」がプルーフに迫っている
「なんだあいつの能力は…!?これじゃあキリがないじゃないか…!」
「キリがないんじゃない…お前らを殺さないように、手加減をしているんだよ…
じゃあ…もう殺そうか…」
その言葉にプルーフ達は背中が凍り付いた
本能でこいつはやばいと感じ取ったのだ
「その前にお前らに聞きたいことがある。ルシファーはどこにいるんだ?」
「教えるもんか!!」
「ならば死ぬか?」
「……!!どこにいるかは言えない…」
「会えないのであれば、貴様を人質にするしかないようだな…」
「ギ、ギギギギ…!!!」
と、叫んだ。そして男は逃げようとした。しかし、周りには見えない壁があった
「お前らは逃がさない!さぁ、吐くんだ」
(おい、炎滅竜王イグニード…!?腐食王ファンガリス…!?早く集まれ!!なぜ先ほどから反応をしない!?)
男は、誰かに指令を送っていた。一方プルーフは斧を振り回していた。地面はもうボロボロになっていた
「ウガァァァアアア!!」
「五月蠅いぞ…」
クリスタルは、プルーフの口を指さした。その瞬間、プルーフは自分の口を押えた
「ン……!!オ…!!」
「お前はそのまま窒息死するんだな…」
そのまま、プルーフは地面に倒れてしまった
「プルーフ大丈夫か!!お前…俺の仲間を…!!」
(四影共…早く来い!!これは命令だ…!!!)
その時、空が真っ赤になったと同時にヒロたちは光で前がよく見えなくなってしまった。
「明るっ……!!??」
みんなが目を瞑った瞬間――
「カウンター!!」
プルーフはそう頭の中で唱え、ネルを指さした
「え」
クリスタルは、そのまま名防省に飛ばされてしまった
「なんだ…勝手に俺の能力が発動させられた気がするんだが…?」
プルーフの能力は、能力の無効化と暴走。ネルの能力を暴走させ、勝手に使わせたのだ
「プルーフ!よくやった!!これで邪魔者はいなくなった!!」
男の言葉と同時に、透明な壁は消えた。そして、目の前には二匹の巨大な獣が居た
「四影も来た…お前らに絶望を教えてやろう!!奈落十三印の恐ろしさを!!」




