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神の名を求めて  作者: ササン木
神界編
37/51

ネルの覚醒




視点はネルたちに戻る



先ほどまでは水平線まで海が広がっていた場所にはありもしないはずの氷床の様なものが浮かんでおり、まるで南極のようなところになっていた。それは白虎によって行われていた。


「はぁ⋯はぁ⋯どうして、どうしてだよぉおお!」


ネルはその氷の上で泣き叫んでいた。そのネルの手には血だらけの女の子が居た。


「ネル⋯私を置いて逃げて⋯こいつは、強すぎる⋯ゲボッ」

エンは血を吐き血だらけになりながらも伝えた


「駄目だぁ!俺は、俺はエンちゃんを守るために、旅の目的を一緒に達成するために、守るんだ!こんな所で⋯こんな奴に負けていられない!!」


「フフッ⋯そういう所⋯好きだよ⋯」

エンは今すぐにでも眠ってしまいそうだった


「おいおい、お前らぁ?いつまで喋っとるんや?」

メルヘイヤの男は笑いながら見ていた


「殺す⋯こいつを絶対に殺す!!」

ネルは怒りでなのか。はたまた、能力によってか、神が逆立ち目の中が真っ暗になった。


「そーか、そーか。愛しの人が死んじまったんやなぁ

そりゃぁ怒ってしまうわぁ。でも、お前じゃ俺には敵わないんやなぁ」

メルヘイヤの男は煽り口調で余裕を見せていた


「覚悟しろ。ゲス野郎!」

ネルは氷の欠片を沢山投げた。それが落ちていく様は、まるで雪のようだった


「また、それかい。もう意味がないって、気づかんかい。」

メルヘイヤは余裕そうに見ていた


「お前の未来⋯真っ赤に染って綺麗だな」

ネルは不敵な笑みをこぼした。その顔はまるで悪魔のようだった。比喩ではない、まるで神殺しのルシファーのような。

堕天使になることを顧みずその場の衝動で自分を制御できていないようにすら見える


「グルル…」

その姿に白虎は低く、警戒するような声を出した。まるで、サバンナに住む我が子を守る母のような顔だ


「な、なんやこいつ⋯やっぱり、今すぐ殺すことにしよか!」

その様子にメルヘイヤの男も動揺を隠せない。白虎は爪を伸ばし、ネルに向かって振りかぶった。

しかし、そこには何も居ない。


「白虎!?何しているんや!?」

何故か、メルヘイヤの男は焦っている。ただ、ネルが能力を使い避けただけ。それは今までの戦いで分かっているはずなのに。


「おい!白虎!!?起きんかい!!なんでや⋯なんでやねん⋯ 」

なせだろう。なぜ、彼は白虎の心配をしているばかりでネルを見ないのだろうか。


「焦るだろな⋯突然白虎が倒れてるんだから。俺は少しも動いていないというのに…」

ネルは白虎を見た。白虎は頭に巨大な氷の塊がめり込んでいた


「お前⋯何したんや!!」


「俺の飛ばした氷の雪は、白虎の目に付いた。そこに、俺の足元にあった氷床を飛ばしただけだ」

ネルの能力は進化していた。1つは今まではネル経由で物を飛ばすしか無かった。しかし、その制約が消えて、物同士だけで能力を発動させることができるようになった。2つ目が投げなくても飛ばすことができるようになった。この2つにより、ネルは更なるパワーアップを手に入れた


「お、お前!?そんなこと反則やろ!!?!」

メルヘイヤの男は今にも泣きそうだった。その瞬間、自分の境遇を思い出した。


それは雨の降る夜だった。


メルヘイヤの男は、生まれたばかりの妹・エンの寝顔を見つめながら、ゆっくりと荷物をまとめた。

家には温もりがあった。母の笑顔も、弟の笑い声も。

だが、そこには求めた“力”がなかった。


家族は貧しく、街の者に馬鹿にされても黙って耐えるばかり。

父は病に伏し、母は働きづめ。家に帰れば、愚痴の嵐で安心することすらできなかった

毎日、毎日、周囲に「弱虫の家の子」と言われ、殴られ、奪われ、笑われた。


彼は、ただひとつの想いを胸に抱いていた。


「こんな世界で、生き残るには“力”しかない」


そして、彼は家を出た。


「いつか、“俺の力”で、この世界の頂点に立ってやる――」


その夜、妹の名を呼ぶ声が、心の奥に響いていた。


彼は彷徨った。

盗みもした。嘘もついた。血を流した。


飢えと寒さで死にかけた夜、古びた祠で倒れ込んだ彼の前に現れたのが――神獣・白虎だった。


獣は巨大で、美しく、そして冷酷な目をしていた。


『……生きたいか?』


その問いに、彼は震える声で答えた。


「生きたい……強くなりたい……誰にも負けたくない……!」


白虎は彼の魂を見て、微かに笑った。


『よかろう。お前に“選ばれし名”を授けよう。汝は“メルヘイヤ”となるのだ。』


その日、彼の体には神獣の刻印が刻まれた。

白虎の力は、彼に絶大な冷気と支配力を与えた。


「これが……“力”……!」


彼は初めて、誰にも奪われないものを手に入れた。


数年が経ち、彼は次々に仲間を探した。自分と同じ、”力”を求める者を。

時には救い、時には倒し、時には手を組んだ。


「共に世界を変えよう」

そう語りかけてきた彼の言葉は、確かに人を惹きつけた。


だが、彼の中には――常に「信じて裏切られた過去」が残っていた。


だからこそ、誰をも完全には信じなかった。


仲間は「駒」として扱われ、反発すれば消された。

だが、その“冷酷なリーダー像”こそ、他の者たちにはカリスマと映った。


やがて彼は、自身の部隊――「白紋結界はくもんけっかい」を結成し、

“白の王”と呼ばれるようになる。


「秩序は、力で築くもの。感情など、統治には不要だ」


それが、彼の信念だった。そして今まで彼は絶対的強者として君臨してきた。



白虎は意識が朦朧としている中でAと精神世界に入った


「A⋯お前を拾ったあの日から、今日まで、後悔した日が1日だけあった。二度とあんなことが起こらないようにと心に決めていたが、今日はその後悔をして見ようと思う。」

白虎は目を瞑りながらAに話しかける


「も、もしかして、”あれ”になるのか?」


「A、俺を選んでくれてありがとうな⋯だから、着いてきてくれ。」


「お、おい!待ってって!!」

Aの声は無視され、2人は精神世界を抜けた。

心做しかAの目は怯えているように見えた

「あれをやるのか?本当にやるのか?どうなっちまう?俺は?また”あの日”のようになってしまうのか?」

ブツブツと何かひとりで話している


「お、おい?大丈夫かぁ?お前。突然どうしたんだよ」

突然の男の変化に少し不気味さを感じた


そんな時白虎が立ち上がった。そして、Aに向けて手を出した、それに応じるかのようにAも重ねるように手を出した。

まばゆい光が二人を包んだ。その様子を薄眼で見るネルは光の中で確実に見た。二人の姿も違えば、種族も違う。

そんな二人が合体していくのだ。


???「この姿…なぜだろう…あの日とは違い、意識がある。」

光が収まり、そこに立っていたのは、先ほどのAとは全く違う姿になっていた。

手は白虎の白く、太い腕になっており、大きさは体の二倍もある。頭からお尻まで何本もの牙で覆われており、動きづらさまで感じてしまいそうな見た目であった。しかし、猫のように柔らかく、そしてよく伸びる。そんな矛盾まで抱えている姿となった


「この姿になるのは何年ぶりだろうか…アウローラ(天鎖の英騎士)

その声はAと白虎の低い声が重なり、まるで二人同時に喋っている様。


「そんなすがたになったところで…俺には勝てない!!!」

と、ネルが氷の欠片を投げた。Aはそれを横目で見ていた。まるで脅威ではないかのように。

そして、ネルが瞬間移動し、翻弄しようとした


「このスピードについてこれる奴はいねえよ!この隙にお前にたくさん欠片を付けてやる!」

ネルはAの周りを飛び回り、氷の欠片を投げようとした。が、


―ザシュッ

ネルは白虎の尻尾に捉えられてしまった

「ゴホッ――」


「さっきからぶんぶんぶんぶん、うっさいわー。蠅やないんやから堂々とせんかい。」

と、Aはネルを見たが体が切り裂かれ、血が飛び出ていた。


「って、こんな状態じゃ何言っても無駄やなぁ。」


「ネル…なんで、こんなの…ゴホッ、こんなのあんまりだよぉぉぉおおおお!!」

エンは泣き叫んだが、誰も返事をしてくれない。そこに助けはない。まるで、生き地獄だ。


Aは泣いているエンを見た。


「お前のその怒った顔…俺の母ちゃんにそっくりや…」

Aはエンの顔を見ておもむろに言った


「えっ―何言ってんのよ…」


「俺が母親にいじめられた時の顔にそっくりやで…その顔見ると虫唾走るねん。見逃してやろおもたけど、やっぱここで殺そか、」

Aは爪を伸ばした。


「あんたもしかして…!!」


―ドコン!!

海の中から、氷床を割って何かが出てきた


「誰や!!」

Aは振り向いた


「待たせたな…エン。そいつは俺がぶっ飛ばしてやるから安心しろ!」

目の錯覚かはたまた現実か、ヒロは太陽の日を浴び明るく光っていた。漆黒の羽衣を身につけて。

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