絶望と切望
少しでもこの拙い文章を「面白い!」「続きが読みたい!」と思って頂ければぜひ星を付けてたり、ブックマークなどして貰えると作者が泣いて喜びます感想もいっぱい待ってます\^^/
Sネームのルール
1.Sネームは一人一個まで
2.Sネームは生まれた赤ん坊に親がつける
(例外もある)
3. Sネームは持っていても名前が分からなければ使うことはできない
ヒロ――「神獣が盗まれたって本当かよ!? な、なんで!?」
ネス――「俺だって分からない。だが、ここに一般人が入れるはずがない。……つまり、強力な能力を持った人物の仕業である可能性が高い」
ヒロ――「そうなのか……。でも、なんでSネーム持ちが神獣なんか盗むんだ? 必要ないと思うんだが」
ネス――「神獣は神界に行くための存在……それだけじゃない。莫大な価値がある。資源として、力として、あるいは――何かの儀式に使うためかもしれない。
さっきインコが犯人の特徴を教えてくれた。服装はタキシード。そして……六十代くらいの男だと」
ネスは苦しげに拳を握りしめる。
「こんなことを君に頼むのは、本当に申し訳ない……だが――僕の代わりに犯人を探してくれないか? 俺はこの島の動物たちを守らなければならない。二度と同じ過ちは繰り返したくないんだ!」
ヒロ――「……分かった。必ず無事に取り戻してくる!」
……とは言ったものの、見当なんて全然つかなかった。
一時間ほど歩いた頃、ようやく街が見えてきた。
情報を集めようと何人もの人に尋ねてみたが――「そんな人物は知らない」と皆が首を振るばかり。
ヒロ――「そんな簡単に見つかるわけねぇか……」
やがて街を出て山道へ。日は落ち、辺りは漆黒の闇に包まれていた。
道に迷ったヒロは、水も食料も尽き、数日間さまようことになる。
ヒロ――「やばい……このままだと……死ぬ……」
膝が砕け、土に倒れ込む。もはや体を動かす力すら残っていなかった。
「……誰か……助けてくれ……」
そう呟いた時だった。目の前に光が差し込む。
ヒロ――「……リト……!? リトなのか……?」
希望に縋った瞬間、耳に届いたのは――エンジン音。
それは車のライトだった。
「……リトじゃないのか……。でも、人だ!」
ヒロは必死に叫んだ。
「助けてくれ!! ここだ!!」
車は止まり、中から酒臭い中年男がふらつきながら降りてきた。
???――「ん……? こんなとこで何してんだガキ?」
ヒロ――「すみません! 山で迷子になって……助けてください!」
???――「はぁ? なんで俺様が知らねぇガキなんか助けなきゃならねぇんだ! 俺だってよぉ、酒で道間違えてここに来ちまったんだ! ……それより、金目のもんは持ってねぇのか?」
ヒロ――「ほんとに……助けてください……お願いします!」
久々に人間に出会った安心感で、ヒロの瞳には涙が溢れていた。
だが――。
???――「チッ……うるせぇんだよ! 触んなガキ! ……お? 背中の剣……いいモン持ってんじゃねぇか」
ヒロ――「これは渡さない! じいちゃんの形見なんだ!!」
???――「さっさと渡せって言ってんだよォ!」
男はヒロを蹴り飛ばした。
衰弱した体では抗うこともできず、大事な剣を奪われてしまう。
???――「チッ、手こずらせやがって……ガキが」
ヒロ――「あ……あぁ……もう無理だ……」
意識が遠のく。
頬を伝った涙は、何よりもしょっぱかった。
――水の感覚。冷たい。息ができない。
「……溺れる……? やば……ぶぶぶ……」
◇
目を覚ますと――そこは見知らぬ部屋のベッドの上だった。
ヒロ――「ど、どこだ……!? 痛っ……! じじいに蹴られたとこがまだ……」
???――「あぁ、起きましたか」
声の方を見ると、隣の部屋のキッチンで三十代ほどの男が料理をしていた。
???――「初めまして。私の名はケイと申します。君を助けたのは私ですよ」
ヒロ――「やっぱり……あんたが……! 本当にありがとうございます!」
ケイ――「いえいえ。当然のことをしたまでです。山で偶然君を見つけてね。水筒の水を飲ませたら意識が戻りそうだったので……運んでここまで来たんです。いやぁ、大変でしたよ。でも、本当によかった。最悪の事態になるところでした」
ヒロ――「……あの、あの時の“水の感覚”は……水筒の水だったんですね……」
ケイ――「そういうことです。まだ身体は回復してないでしょう? ゆっくり休んでください」
ヒロ――「……本当にありがとうございます!」
ケイ――「……では、私は仕事に行ってきます。ああ、そうそう――大事なことを言い忘れていました」
ふと、ケイの顔が笑顔から影のある表情へと変わる。
ケイ――「この部屋からは――絶対に出ないでください」
ヒロ――「……え?」
ケイは何事もなかったかのように微笑み直し、手を振って部屋を後にした。
ケイ――「じゃあ、行ってきます。帰ったらまたお話しましょう」
部屋に残されたヒロは――胸に奇妙なざわめきを抱えたまま、再び瞼を閉じた。




