改めて
顔合わせ
和真と柚那ちゃん、それぞれの家族に電話で結婚式することを伝えて後日改めて挨拶をすることを伝えた。
会えなかった期間があったものの幼馴染での結婚でそれも家が隣同士。日にちを合わせて羽田空港から大分空港を経由して地元の佐伯市に帰ろうという話になっていた。
大学時代に何度か高速バスや電車と新幹線を乗り継いで帰ったことはあるもののそれを含めても仕事をしてからはあまり帰れておらず、数年ぶりの帰郷になるなと和真は考えていた。
話を聞いてみると柚那ちゃんは和真以上に帰れておらず、公演で九州に行く機会があってもスグに移動しなきゃならずゆっくり実家に帰ってということが出来ずにいたとのこと。
時間のない中帰る。当然飛行機を乗って行く訳だが飛行機が苦手な和真。苦手だの嫌だの言っている場合ではない。前にも言ったかも知れないけど飛行機が苦手だから抱きついちゃうかもと前置きをした。
ニコリと笑う柚那ちゃん。
「和歌山県行った時に手を繋いでたり、握っていたりしていたから覚えているよ。あの時は実夢とかわいいってテンション上がってたことを思い出したよ。逆に克服してなくてよかった。いつでも言ってね」
そういえば途中の伊丹空港まで飛行機で行ってその時に柚那ちゃんと実夢に迷惑をかけたことを思いだしていた。
酔い止めを飲みつつも大分空港に降りたって高速バスに乗って佐伯駅へと向かう。バスから眺める光景を見て、和歌山県に行く途中や隣に座っている柚那ちゃんを見送る時と様々な場面で使ってきたこのバス。
泣きたいなと思いつつもガマンをしてバス停を降りて家に向かう。隣の家同士で挨拶をして翌日帰ろうかなと考えていた和真と柚那ちゃん。両家のご挨拶ということでその日にしゃぶしゃぶのお店に行くことになった。
本来なら小さい頃からの生い立ちを辿り、交友関係や家ではどういう方なのか話すことが多いかもしれないが小さい頃から隣の家で柚那ちゃんが単身イタリアに行ってからもご両親は和真のことを知っているため、その部分は割愛された。
結婚をすることになった椎名家と佐伯家だが、話す内容は柚那ちゃんがイタリアから帰ってきてからの経緯、和真の現在の状況を話していた。
時計を見ると高速バスの時間は過ぎてしまう。連休をもらっていた和真とバレエ教室の講師を務めている柚那ちゃん。電話で他の講師に翌日は帰れないことを伝え、休みを変わってもらっていた。
逆算してそれぞれの場所に戻るには何時の高速バスに乗って何時の飛行機に乗らなきゃいけないかを調べると午前中の少しの時間、大分の街を巡ることが出来ることが分かった。
これで正式に婚姻届を提出をしたら恋人ではなく、正式に家族になるのだと思うと今まで以上に責任が増すなと感じている和真だった。




