出かける前に
急な変更
前日ギリギリまで便箋に何を書くか考えていた。使うかと思って多めに買っておいた大学ノートにこれを書こう、あれを書こうと悩みつつこれは違うとちぎってはぐちゃぐちゃにしていた。何とか当日までに書き終えた。
そして当日を迎えた。小さめのクリアファイルに書いた便箋と封筒で閉めて無くさないようにしていた。カバンは実夢に前買ってもらった前車両の秋田新幹線「こまち」のショルダーバッグに入れ、後は軽く食べられるお菓子とお水も詰めてちょっとしたピクニック感覚でいた。
日中に行こうという話だったが柚那ちゃん、実夢共に午前中は予定が入ってしまい夕方からじゃないと難しいとそれそれライン電話で報告がある。ならば先に雑貨屋で予約をしていたかわいいトートバッグとハンカチを取りに向かった。
少し寝ようとアラームをセットして布団に入る。
気がついたらいびきをかいていると呼鈴が鳴る。宅配を頼んだつもりはなく、本人受け取りの郵便かなと思ってドアを開ける。そこで和真は驚く。
そこに立っていたのは菜の花がプリントされた白いワンピースを着てツインテールにしている女の子。それは紛れもなく柚那ちゃんだった。
和真君はお寝坊さんだから少し早く迎えに来たよ。そう笑顔で話しているが、なぜ寝ていることが分かったのか全く理解が出来ない。理由を聞いても野暮なことは聞かないようにとはぐらかされる。
ついて行くと運転席に座っていたのは短い髪の毛にミニミニツインかわいいでしょと水色のトップスにピンクの桜柄のミニスカートを穿いていた。
予定時間より早いけどと再度聞いてみた。
なぜ寝ていることが分かったかというと和真君のスマホに位置情報のアプリを入れさせてもらったから。卒業が決まってアルバイトもない大学生がすることはスマホか寝るかくらいだからね。
人のスマホに勝手にアプリを入れたのか、それも分からない場所にひっそり隠れるような感じに置かれていた。だからなのか、スマホの容量が重くて電池の消費が激しく、動きが遅い時があって困っていたがそれが原因だった。
話を聞いていると女の子の中では位置情報アプリをお互いに入れて共有をするみたい。家にいて数時間スマホが稼働していなかったら寝ている、暇なら出かけようとか待ち合わせなどに使用するのが主な目的のようだ。
何のためにラインやツイッター、インスタグラムなどがあるのかなと思ってしまう。その上常に監視をされているような気がしてゆっくりしようとしている時に家にいて暇なら出かけようと言われるのもイヤだなと感じていた。
車内で問題の位置情報を消そうとした。だが柚那ちゃん、実夢からは消したらダメだよ。だって何時にどこで何をしているのかを把握しておきたいからと笑顔で言っているが全然笑える内容ではなかった。




