コネクション
話し合い
同じ川崎星南女子大学に通う柚那ちゃんと実夢。学校近くにあるカフェで今後について話し合っていた。
粉飾決算をしているならばもしかしたら不渡りもしている可能性もある。その中で自分たちが卒業をしてそこに身を置いていい物なのかと経営に詳しくないながらもこれはヤバイと分かるほどだった。
ならばどうするかと考えた時、自分たちで会社を設立してバレエ教室をやりつつ発表会や公演に参加するしようかと案が出る。文化芸術学部の柚那ちゃんと実夢にとっては経営の事など何も知らないに等しいと頭を悩ませていた。
その時だった。
柚那ちゃんが中学まで、実夢が高校まで通っていたバレエ教室にいた女性講師から柚那ちゃんのすまほに電話がかかってきて元気にしているか。これから先はとうするのかと聞かれていた。
聞くだけタダだしとスマホをスピーカーにした柚那ちゃん。今自分たちのいる現状を伝えた。するとその女性講師は元々経営大学の出身だという。
力になれる事があればと同じ大学出身で経営に関するプロやコンサルタントで働いている人に声をかけてくれるとの事だ。
通っていた大分のバレエ教室は経営難で別の人に権利が渡ってしまったと聞いて少し寂しい気持ちでいた。すごい他力本願なような気もするが、自分たちで出来ることも限られている。
柚那ちゃんと実夢としては卒業論文でバレエのことについて書くからそれを提出をしてその後に決まればいいかな。泰然自若の気持ちで待とうと話していた。
恩師でもある女性講師が自分たちの動いてくれる。たとえ師弟関係だったとしても数年も顔を合わせていないのにそこまでしてくれる事に頭が上がらない気持ちだし、失礼のないようにと気構えていた。
数週間が経ち、柚那ちゃんのスマホが鳴る。
「柚那お疲れ様。友達が脱サラして会社を設立したいと言っている子と経営コンサルタントしている子がいて今回の話をしたら快く協力をしたい。イベント会社として自分たちのバレエ教室を運営しつつ営業で全国各地に行こうってなって」
詳しく聞いたらメンバー兼講師としての立ち位置として迎え入れてくれることが決まる。
前もって新興企業だから常に不安もあると思うけどそれでもよかったら。他の場所でって言うのなら気にしないで。昔からその子たちの中では会社設立を夢見ていたから。
自分たちのためにここまで動いてくれたのに断ってしまっては女性講師の顔を泥を塗ることになる。他にアテがない上、自分たちで会社設立から運営まで出来るはずもない。
せっかく船を持ってきてくれたのならばその船に乗るしかない気持ち。この船に乗らないという選択肢がなく、何かあれば女性講師と心中するくらいの気持ちでいようと決めた。




