自分たちの役割
アベック
同じ大学ではないものの中学生以来に大学生として被って何だか嬉しい気持ちになる。大学を卒業をしてから柚那ちゃん、そして実夢はどうするのだろうと思っていた。
大学生になって柚那ちゃんと再びデートが出来て嬉しい。だけど高校を卒業をしてからというものの実夢と会っていないなと感じて久しぶりにラインをする。
数分経ってラインの返事が返ってきた。
「せっかく柚那と再開出来たからラインをするの躊躇して中々連絡するべきなのかなって思ってさ。実夢に何か用事あった?」
用事……そう言われれば勉強を教えて欲しいみたいなこれと言った何か用事があったワケではない。この先の進路を考えているのかと尋ねる。
まだ決まりじゃないけれど実夢、関東では名の知れたバレエ団体から入団しないか。バレリーナとしてだけでなく、講師との兼任という形だけどね。まだウワサくらいの段階だからさ。
それをラインのメッセージを見て思わず電話をかけてウワサとはいえスゴい。実夢が今まで頑張ってきた努力の賜物だねと友達を祝福し、ホントに決まったらまた連絡して欲しいと伝えて電話を切った。
バレリーナと講師って実夢ならば出来るとずっと見てきた和真なら出来ると確信をしていた。懸念があるならばケガだけ。それ以外は何も心配をしていない。
柚那ちゃんはどうするのかなと電話をかける。
「実夢から聞いたか分からないけど、同じ関東のバレエ団体からよかったらこないかって話が来てるの。バレリーナ兼任講師としてね」
何だか聞き覚えのあるバレエ団体だと思ったら実夢と柚那ちゃんは同じ団体からオファーが来たのか。同じ舞台でやるのは何年ぶりになるのかな。
彼女とその友達がバレリーナと講師として背中を見せつつ教える立場になる。硬くてバレエは出来ないがバレエをやっている女の子、始めようとしている女の子たちからしたら憧れの人たちと同じ舞台に。教えてもらえると客観的に見ていた。
背伸びをして自分も頑張らなきゃと鼓舞をして寝ようとしている時、柚那ちゃんから電話がかかってきた。夜遅なんだろうと電話に出る。
「和真君、夜遅くゴメンね。ちょっと話を聞いて欲しくて電話かけちゃった。椎名様は性格も実力も申し分ないのですが、団体を運営をしている会社が粉飾決算が見つかって規模を縮小になり、今回の話なかったことにって言われちゃってさ……柚那どうしたらいい?」
柚那ちゃんが電話も含めて泣いている姿を見たのは何度目だろうか、それどころか初めてかもしれない。ヘタなアドバイスよりも聞くことしか出来ず、どこかで集まって話し合おうと伝えた。
その後、実夢からも電話がかかってきて同様の内容を聞いて柚那ちゃんと同じ対応をする。
柚那ちゃんと実夢にはバレリーナとして輝いて欲しいというのが和真の願い。出来ることとしてクラウドファンディングを立ち上げてまっさらな状態から場所や団員を集めて新団体を設立する。
集まる日にクラウドファンディングを持ちかけてお金が集まらないかも、団員が集まらないことも併せて伝えて提案をする。
自分たちで旗を掲げるのも面白いかも。この話に乗ることを決めた。




